犬の食物アレルギー|除去食試験6〜8週間の進め方と加水分解タンパク食

犬の食物アレルギーガイド|除去食試験 6〜8 週間の進め方

「うちの子、最近やたらと耳を掻いている」「足の裏をずっと舐めてしまう」——皮膚のかゆみが続くと、フードのアレルギーかもしれないと不安が頭をよぎる飼い主さんは少なくありません。WANPAKU 診断システムでも、アレルギーに関する悩みは飼い主の 31.5% が抱えており、珍しいトラブルではありません。本記事では ACVD(米国獣医皮膚科学会:American College of Veterinary Dermatology)系のガイドライン[1][3][5]に沿って、家庭でできる見極めと除去食試験の進め方を整理します。

この記事をお読みいただく前に

  • 本記事は、愛犬に合ったフードを見つけるための参考情報です。特定の病気の治療・予防を目的としたものではありません。
  • 病気の診断・治療は必ず獣医師にご相談ください。食事の変更も獣医師の指導のもとで行ってください。
  • 記載内容は公開時点の研究データに基づいていますが、個々の犬の状態によって最適な対応は異なります。
  • 重篤な疾患は獣医師指示の療法食が最優先です。本記事は獣医師指示のもとで通常フード選びを検討する場合の参考情報です。

🚨 緊急の方はまずこちらへ

「顔が急に腫れた」「呼吸が荒い」「広範囲のじんましん」「嘔吐と下痢が同時に止まらない」——これらの症状は急性アレルギー反応(アナフィラキシー含む)の可能性があり、本記事を読み込む前に速やかに動物病院を受診してください。除去食の話はその後で十分間に合います。

💡 この記事の結論

食物アレルギーの確定診断はガイドライン上「除去食試験+再導入」が中核。検査単独では判断せず、6〜8 週間の食事管理で見極めます。

  • 主症状はかゆみと再発性外耳炎 - 食物アレルギー犬の多くで認められる[3]
  • 確定診断は除去食試験 6〜8 週間 - ACVD ガイドラインの標準[1]
  • 第一選択は加水分解タンパク質食 - 食歴不明でも使いやすい[7]
  • IgE 血液検査は補助 - 感度・特異度ともに限定的[6]
  • 頻度上位 8 食材 - 牛肉・乳製品・鶏肉・小麦・羊肉・大豆・トウモロコシ・卵[2]

📌 除去食 6〜8 週間プロトコルへアレルゲン候補と再導入手順へ診断データで見るアレルギー悩みへ

⚠️ この記事をお読みいただく前に

  • 本記事は愛犬に合うフードを見つけるための参考情報です。特定の病気の治療・予防が目的ではありません。
  • 診断・治療・除去食試験の開始は必ず獣医師の指導のもとで行ってください。
  • 個々の犬の状態によって最適な対応は異なります。

愛犬のかゆみが気になったら、何から始めればいい?

まずノミ・寄生虫・感染症の除外と、症状記録の開始から。食物アレルギーの確定診断は除去食試験で行うため、思い込みでフードを変える前に獣医師相談を。

食物アレルギー(CAFR)とはどんな病気?

食物アレルギーは、獣医皮膚科の領域では CAFR(食物有害反応:Cutaneous Adverse Food Reaction) と呼ばれ、特定の食材タンパク質に対して免疫システムが過剰に反応してかゆみや皮膚炎、消化器症状を引き起こす疾患群です[3]。本来は無害なタンパク質を「敵」と誤認識し、IgE 抗体や T 細胞性の反応で炎症が起こります。

気づきのサイン(早めに獣医師に相談したい症状)

  • 耳・顔・足先・お腹・脇のかゆみが 2 週間以上続く
  • 再発性の外耳炎(年に数回繰り返す)
  • 足先を執拗に舐める、肉球が赤茶色に変色する
  • 慢性的な軟便・下痢や週 1 回以上の嘔吐を併発
  • 1 歳未満からかゆみが始まっている

食事の見直しが診断の中核と言われる理由

Olivry・Mueller らによる ACVD 系のレビュー[1]では、食物アレルギーの確定診断は除去食試験+再導入試験のみとされています。理由は、血液検査・パッチテスト・唾液検査いずれも単独では感度・特異度が不十分なため[6]。「血液検査で陽性が出た食材を避けたら治る」という単純な構図にはなりにくく、家庭で食事を 6〜8 週間管理することが診断の中核になります。

かゆみの原因は食物だけではない

慢性的なかゆみの原因は食物アレルギーだけではありません。Hensel らの ACVD ガイドライン[5]では、まずノミアレルギー性皮膚炎・疥癬(カイセン:ヒゼンダニによる感染症)・細菌性膿皮症・マラセチア(皮膚の常在酵母)の除外が前提とされ、それらが除外されてから食物アレルギーと環境アレルギー(犬アトピー性皮膚炎:CAD)の鑑別に進みます。

食物アレルギーと環境アレルギー、どう違う?

症状は似ていますが、年齢・季節性・部位・併発症状が手がかり。Hensel らの ACVD ガイドライン[5]の鑑別ポイントを整理します。

食物アレルギー(CAFR)と犬アトピー性皮膚炎(CAD)の鑑別比較表
食物アレルギー(CAFR)と犬アトピー性皮膚炎(CAD)の鑑別ポイント。最終判断は獣医師にご相談を。
鑑別ポイント食物アレルギー(CAFR)犬アトピー性皮膚炎(CAD)
初発年齢年齢を問わず発症(1 歳未満も多い)6 か月〜3 歳の若齢発症が中心[5]
季節性通年性季節変動を示すことがある(花粉・ダニ等)
主な部位顔・耳・足先・腹部・肛門周囲顔・耳・足先・腋窩・鼠径部(CAFR と類似)
消化器症状2〜3 割で併発(軟便・嘔吐)原則として併発しない
確定診断除去食試験+再導入試験[1]除外診断+アレルゲン特異 IgE 検査
初期治療原因食材の特定と除去環境ケア+抗炎症薬・免疫療法

両者は併発も多く、CAFR と診断された犬の 20〜30% は CAD も併発すると報告されています[5]。除去食でかゆみが部分的に改善した場合、残ったかゆみは CAD 由来の可能性があり、最終判断は獣医師の総合評価で行います。

食物アレルギーの長期管理と予後

Olivry らのガイドライン[3]では、適切な除去食試験 + 再導入で多くの犬で症状コントロールが可能とされています。完全治癒は稀ですが、原因食材を特定すれば長期的に皮膚悩みを抑えられる慢性管理型の疾患です。

  • 短期(6〜8 週間): 除去食試験で原因食材を特定
  • 中期(3〜6 ヶ月): 安全な食材リストを構築
  • 長期(年単位): 新規アレルゲン獲得に備え、定期的な再評価が推奨

除去食試験は 6〜8 週間でどう進める?

原則は「単一の新規タンパクまたは加水分解タンパクを 6〜8 週間、それ以外は一切与えない」。Olivry らのプロトコル[1]に沿って準備期から段階的に進めます。

除去食試験 8 週間の進行スケジュール
除去食試験 8 週間のスケジュール例。実際の進め方は獣医師の指示に従ってください。

除去食試験の 4 原則

  1. 単一の新規タンパク質または加水分解タンパク質食のみを与える
  2. 6〜8 週間継続(皮膚症状の改善は中央値 5〜6 週、消化器症状はより早期)[1]
  3. おやつ・サプリ・人の食べ物・フレーバー付き薬・歯磨きペースト・牛皮ガムは一切禁止
  4. 症状改善後に元のフードや単一食材を再導入(チャレンジ)して確定診断
段階期間意識すること
準備期開始 1 週前獣医師と除去食種類を決定、家族全員でルール共有、症状記録シート準備
切替期1〜7 日目7 日かけて旧フードから除去食へ。便の様子を観察
第 1〜2 週2〜14 日目多くの犬は症状継続。記録を欠かさない
第 3〜4 週15〜28 日目消化器症状はこの時期に改善が出やすい
第 5〜8 週29〜56 日目皮膚症状が落ち着いてくる時期。中央値 5〜6 週[1]
再導入57 日目以降元のフードを与え 1〜14 日以内の再燃を確認[1]

⚠️ 試験中に強く避けたい行動

  • 家族・来客からのおすそ分け(拾い食い対策含む)
  • ジャーキー・ガム・ボーロ・歯磨きガム類
  • フレーバー付きフィラリア薬・関節薬・歯磨きペースト(ノンフレーバー処方への変更を相談)
  • 散歩中の他犬・他人からのおやつもらい
  • 子どもの落とした食べこぼし

加水分解タンパク質食はどう判断する?

食歴が不明な犬や複数アレルゲンが疑われる犬では加水分解タンパク食が第一選択。タンパク質を酵素で小さなペプチドに分解し、IgE が認識しにくい状態にしています[7][8]。

加水分解タンパク質食は、鶏肉・大豆・羊肉などの原料タンパクを酵素で 3,000〜10,000 ダルトン未満の小さなペプチドに分解した療法食です[7][8]。本来 IgE が結合する立体構造を壊すことで、免疫反応が起きにくい状態を目指しています。

📊 加水分解タンパク食の主なメリット・留意点

  • 食歴に依存しない:保護犬や食事履歴が不明な犬でも採用しやすい
  • 複数アレルゲン疑い例にも対応:単一アレルゲンの特定が困難なケースで有用
  • 処方食レベルの製造管理:表示外タンパクの混入が報告されにくい
  • 留意点 1:もともと反応が強い犬では加水分解後の残存ペプチドにも反応する例あり[7]
  • 留意点 2:嗜好性が低めで、温める・ふやかす等の工夫が必要なことがある
  • 留意点 3:価格は通常フードより高め(1 kg あたり 2,500〜5,000 円程度)

製品選定は獣医師の指示のもとで行い、複数の選択肢から愛犬の嗜好や症状に合うものを試すのが現実的です。WANPAKU では加水分解処方食の取り扱いはありませんが、アレルギー対応フード比較ガイドでは市販の低アレルゲン設計フードを整理しています。

新規タンパク質食はどう選ぶ?

「これまで食べたことのない単一動物性タンパク+単一炭水化物」が原則。鹿・カンガルー・ウサギ・馬・ダチョウなどが代表例です。

新規タンパク質食(NPD:Novel Protein Diet)は、愛犬がこれまで一度も食べたことがないタンパク源を使う食事療法です。市販のドッグフードが鶏・牛・羊・魚を主に使うため、それ以外のタンパク源が選ばれます。

新規タンパク源の例(食歴次第)

  • 鹿肉(ベニソン):北米・欧州由来の療法食で採用例あり
  • カンガルー肉:オーストラリア産、低脂肪で消化性が高い
  • ウサギ肉:欧州系療法食で採用例あり
  • 馬肉(ホース):日本では入手しやすい
  • ダチョウ肉:他のタンパク源との交差反応が少ないと考えられる
  • 白身魚(タラ・ヒラメ等):鶏・牛未食の犬では選択肢になり得る

市販フードでの注意点

Olivry らの調査[3]では、市販の「鹿肉」「ベニソン」表示フードのうち一定割合で表示外タンパク(牛・鶏・羊等)が混入していたと報告されています。除去食試験用には、療法食レベルの管理品質をもつ製品を獣医師と相談して選ぶのが安全です。Mueller らの最新総説[2]でも、市販フードを除去食試験に用いる場合の混入リスクが繰り返し指摘されています。

交差反応(クロスリアクション)にも注意

同じ動物分類に属するタンパクは、抗原構造が似ているため交差反応を起こすことがあります。たとえば鶏肉アレルギーの犬では七面鳥・ダチョウ・卵に、牛肉アレルギーではバイソンや乳製品にも反応する可能性があり、新規タンパクとしての成立が難しい場合があります。

タンパク源の比較は5 大タンパク源の比較ガイドもご覧ください。

アレルギー検査の信頼性はどれくらい?

血清 IgE 検査・唾液検査・パッチテスト単独では確定診断はできません。Mueller らのレビュー[6]では血清 IgE 検査の感度は概ね 30〜60% と報告されています。

食物アレルギー各種検査の感度・特異度の比較
各種食物アレルギー検査の感度・特異度の概観。最終診断は除去食試験で行います。
検査感度の目安特異度の目安位置づけ
血清 IgE 検査30〜60%[6]中程度補助的・除去食前のスクリーニング目的に限る
唾液 IgA/IgM 検査低い(健常犬でも陽性多数)[6]低い診断に推奨されない
毛・糞便検査不明(科学的根拠が乏しい)不明診断に用いるべきでない
パッチテスト研究途上研究途上専門施設で限定的に使用
除去食試験+再導入事実上のゴールドスタンダード確定診断の中核[1]

「血液検査で 20 食材陽性と出た」とご家族の不安は強くなりますが、Mueller らのレビュー[6]では IgE 検査の偽陽性率が高く、健常犬でも陽性が複数出る例が多いと報告されています。検査結果のみで多数の食材を除外せず、獣医師と相談のうえで除去食試験に進むのが現実的です。

アレルゲン候補食材と再導入手順は?

Mueller らの 2016 年メタ解析[2]では牛肉・乳製品・鶏肉・小麦・羊肉・大豆・トウモロコシ・卵が頻度上位。再導入は 1 食材ずつ 1〜2 週間かけて確認します。

犬の食物アレルゲン頻度上位 8 食材
Mueller らのメタ解析[2]で報告された頻度上位食材の概観。個体差が大きく、絶対 NG ではありません。
順位食材報告頻度の目安[2]備考
1牛肉34%長期に主食採用される製品が多く感作機会も多い
2乳製品17%カゼイン・ホエイ蛋白が抗原。乳糖不耐性とは別
3鶏肉15%主原料採用が多く、長期摂取例で感作報告
4小麦13%グルテン蛋白。大麦・ライ麦と交差反応の可能性
5羊肉(ラム)5%かつて低アレルゲンと言われたが普及で感作増加
6大豆6%植物性タンパクとして配合される
7トウモロコシ4%頻度は限定的。穀物全般を一律避ける根拠は乏しい
84%卵白アルブミンが主な抗原

再導入(チャレンジ)試験の手順

除去食で症状が改善したら、Olivry らのプロトコル[1]に沿って再導入を進めます。

  1. 元のフードを再開:1〜14 日以内にかゆみや消化器症状が再燃すれば「食物アレルギー」と確定診断
  2. 単一食材チャレンジ:再開で再燃したら、再び除去食に戻し落ち着いた段階で頻度上位食材を 1 食材ずつ 1〜2 週間与える
  3. 記録:かゆみスコア・便の様子・耳の赤みを毎日記録
  4. 原因特定後:その食材を除いた長期維持食を獣医師と決定

⚠️ 「絶対」と「強く避けたい」の使い分け

頻度上位食材は絶対 NG ではなく「強く避けたい候補」です。本当に「絶対」与えてはいけないのは、ブドウ・レーズン・キシリトール・チョコレート・ネギ類など中毒性が確立された食材で、これらは食物アレルギーの文脈とは別に、いつでも厳禁です。詳しくは犬に絶対あげてはいけない食べ物 15 選をご覧ください。

療法食と手作り食、どう判断する?

除去食試験の段階では療法食または家庭調理新規タンパクの単純食が中心。長期維持食の選択肢は獣医師と一緒に組み立てるのが安全です。

選択肢メリット留意点
① 加水分解タンパク療法食食歴不明でも採用可、複数アレルゲン疑い例に対応嗜好性が低めの場合あり、価格は高め、獣医師処方が前提
② 市販新規タンパク食嗜好性が比較的良好、入手しやすい表示外タンパクの混入リスク報告あり[3]、療法食より管理品質に幅
③ 家庭調理単純食素材を完全に把握できる、嗜好性も調整可除去食試験中の短期使用が前提。長期は栄養設計が難しく、獣医栄養学者との相談が必要

フード移行は 7 日〜2 週間で段階的に

除去食への切替は急がず段階的に。下痢や食欲低下が出たら一段階戻します。

期間新フード現行フード注意点
1〜3 日目25%75%少量混合で香り・味に慣らす
4〜7 日目50%50%便の様子・食欲・かゆみを記録
8〜10 日目75%25%嫌がる場合は前段階に戻す
11 日目〜100%0%完全切替後に除去食試験スタート

家庭調理食を長期維持に使う場合、Larsen らの研究[4]では市販書籍やインターネット上の犬用手作りレシピの多くが栄養学的に不十分(カルシウム・微量元素不足等)と報告されており、慢性疾患の食事療法では同様の傾向が指摘されています。長期使用する際はボード認定獣医栄養学者の処方を受けることが安全です。詳細は手作りごはんの栄養リスク解説へ。

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かゆみケアの工夫は?

除去食と並行して、シャンプー・保湿・環境ケアでかゆみの総量を下げます。掻破による二次感染対策も大切です。

食物アレルギーが確定しても、かゆみが完全にゼロになるまでには時間がかかります。かゆみが続くと掻破による二次的な細菌感染(膿皮症)や、爪での自己外傷を起こすため、家庭でできるかゆみケアを並行しましょう。

家庭でできるかゆみケア 5 つの工夫

  1. 低刺激シャンプー:かかりつけ獣医師が推奨する弱酸性または保湿系シャンプーで週 1〜2 回(やりすぎは皮膚バリア低下)
  2. 足先のケア:散歩後にぬるま湯で洗い、十分にタオルドライ(指間炎の予防)
  3. 耳の観察:週 1 回耳の赤み・におい・耳垢を確認、こすらず観察のみ
  4. 環境管理:ノミ予防の継続、寝具の週 1 回洗濯、絨毯のこまめな掃除
  5. 掻破対策:爪を短めに保つ、就寝時のソフトカラーやベビー用靴下の活用

抗炎症薬・免疫抑制薬の位置づけ

除去食試験中は、原則として抗ヒスタミン薬や全身性ステロイド・オクラシチニブ(JAK 阻害薬)等の抗炎症薬は使用を控えることが望ましいとされます[1]。理由は、薬で症状が抑えられると除去食の効果判定が難しくなるため。ただしかゆみが我慢できないレベルなら、獣医師の判断で短期投与する場合もあります。自己判断で人用の抗ヒスタミン薬を与えるのは強く避けたい行為です。

シャンプーケアの基本は犬のシャンプー頻度ガイドもご覧ください。

WANPAKU 診断 4,161 回から見えるアレルギー悩みとは?

アレルギー悩みは 31.5%。皮膚悩みとの併発が 65.7% と突出し、涙やけ・消化器・食欲不振も 3 割台で重なるケースが多めです。

WANPAKU 診断 4,161 回のうち、アレルギーに関連する悩みを抱える飼い主は 1,312 回(31.5%)。柴犬・フレンチブルドッグ・ウェスティ等の好発犬種では平均より高めに分布します。

4,161 回の診断データから見える、アレルギー悩みの併発パターン

※ WANPAKU 診断システム集計(n=1,3122025年9月〜2026年5月

皮膚との併発
65.7%
涙やけとの併発
38.5%
消化器との併発
35.0%
食欲不振との併発
34.8%

アレルギー悩みは皮膚・涙やけ・消化器と密接に関連。複数領域を同時に観察すると診察精度が上がります。

📚 もっと深く:アレルギーに関連する話題を spoke 記事で

受診前に整理しておきたいことは?

フード歴・症状の出方・併発症状・過去の検査結果を記録しておくと、診察と除去食試験の設計がスムーズになります。

家族のライフスタイル別の食事管理

  • 共働き世帯: 朝晩 2 回 + 昼の自動給餌器を活用、おやつ・拾い食いを家族で記録
  • 多頭飼い: 除去食試験中は個別給餌で盗食防止(別室 or タイミング差し替え)が必須
  • 留守番が長い家庭: 環境アレルゲンの軽減(掃除・空気清浄)も並行
  • シニア犬: 食欲低下や慢性かゆみの長期記録が診察で役立つ

✅ 受診前チェックリスト

  • これまでに与えたフードの種類(直近 1 年程度、できれば全期間)
  • 現在のフードの種類・量、おやつの内容と頻度
  • かゆみの部位・タイミング(食後/散歩後/夜間など)
  • かゆみが始まった時期と季節性の有無
  • 消化器症状(軟便・嘔吐)の有無と頻度
  • 過去の血液検査・IgE 検査結果(あれば持参)
  • 使用中の薬(フィラリア薬・関節薬・歯磨きペースト含む)と味付き有無
  • 家族構成・拾い食い癖・他のペットとの食事共有の有無

💰 検査・治療費の目安(参考値)

  • 初診+皮膚スクリーニング:5,000〜10,000 円(皮膚搔爬検査・細胞診等)
  • 除去食フード(療法食 1 か月分):5,000〜15,000 円(体重・製品により幅)
  • IgE 血液検査(実施した場合):15,000〜30,000 円(補助検査の位置づけ)
  • 二次感染治療(必要時):3,000〜10,000 円(抗菌薬・薬用シャンプー等)

※ 動物病院や地域、合併症で大きく変わります。ペット保険のアレルギー対象範囲も確認しておくと安心です。

フードアレルギーリスクチェッカー

愛犬が気をつけたいアレルゲン(鶏肉・牛肉・乳製品・小麦・大麦・ラム・大豆・七面鳥・トウモロコシ・卵・豚肉・魚の 12 種)を選択し、フードを検索すると、そのフードにリスク成分が含まれているかをチェックできます。

よくある質問

犬の食物アレルギーで避けたい食材は何ですか?

もっとも報告が多いのは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦・羊肉・大豆・トウモロコシ・卵で、Mueller らの 2016 年メタ解析[2]では犬の食物有害反応(CAFR)の原因の 7 割以上をこれら 8 食材が占めると報告されています。ただし「絶対 NG」ではなく、愛犬個別のアレルゲン特定は除去食試験と再導入で行います。家族の食卓からのおすそ分けは試験中は強く避けたい行動です。

除去食試験はどれくらいの期間が必要ですか?

ACVD(米国獣医皮膚科学会)系のガイドラインでは 6〜8 週間が標準で、Olivry らのレビュー[1]では 8 週間で犬の食物有害反応のおおよそ 80〜90% が検出可能と報告されています。残る一部は 12 週間まで延長します。試験中は指定食以外(おやつ・フレーバー薬・人の食べ物・歯磨きペースト等)を一切与えないことが診断の精度を左右します。

加水分解タンパク質食とは何ですか?

加水分解タンパク質食はタンパク質を酵素で小さなペプチドに分解した療法食で、分子量を概ね 10,000 ダルトン未満(製品により 3,000〜6,000 ダルトン未満)まで下げ、IgE が認識しにくい状態にしています[7][8]。Olivry らの除去食試験プロトコル[1]では、食歴が不明確な犬や複数アレルゲンが疑われる犬への第一選択として広く採用されています。

アレルギー検査(IgE 血液検査)だけで診断できますか?

現時点の獣医皮膚科では、IgE 血液検査・パッチテスト・唾液検査単独で食物アレルギーを確定診断することは推奨されていません。Mueller らのレビュー[6]では血清 IgE 検査の感度は概ね 30〜60%、特異度も中程度にとどまり、偽陽性・偽陰性が無視できないと報告されています。確定診断は除去食試験+再導入試験で行います。

除去食中におやつや薬を与えてもいいですか?

おやつ・人の食べ物・フレーバー付き薬・牛皮ガム・歯磨きペーストは試験中は強く避けたい対象です。ACVD 系ガイドライン[1][3]では、試験中の食事逸脱が診断精度を最も下げる要因とされています。心臓薬・関節薬等で味付きを服用中の場合、ノンフレーバー処方への変更や除去食フードに包んで服用させる方法を獣医師と相談しましょう。

新規タンパク質食はどう選びますか?

新規タンパク質食は「愛犬がこれまで食べたことのない単一動物性タンパク源+単一炭水化物源」で構成されたフードを指します。鹿・カンガルー・ウサギ・馬・ダチョウなどが選ばれますが、市販フードでは表示外タンパクの混入が複数研究[3]で報告されているため、療法食レベルの管理品質の製品を獣医師と相談して選ぶのが安全です。

改善後にどうやってアレルゲンを特定しますか?

症状が落ち着いたら、元のフードや疑わしい単一食材を再導入する『チャレンジ試験』を行います。Olivry らのレビュー[1]では、再導入後 1〜14 日以内にかゆみが再燃すれば食物アレルギーと診断、症状が出なければ次の食材に進む手順が標準とされています。1 食材ずつ 1〜2 週間かけて確認するため、計画的に進めましょう。

食物アレルギーと環境アレルギー(アトピー)はどう違いますか?

症状はかゆみで似ていますが、季節性・年齢・分布に違いがあります。Hensel らの ACVD ガイドライン[5]では、犬アトピー性皮膚炎は 6 か月〜3 歳発症が多く季節変動を伴うことがあるのに対し、食物アレルギーは年齢を問わず通年性で消化器症状を併発しやすい点が鑑別ポイントとされています。両者は併発も多く(CAFR 犬の 20〜30%)、最終判断は獣医師の総合評価で行います。

まとめ

犬の食物アレルギーは、「他の原因の除外 → 除去食試験 6〜8 週間 → 再導入による確定診断」の 3 ステップが土台です。Olivry・Mueller・Hensel らによる ACVD 系ガイドライン[1][2][5]では、血液検査単独での診断は推奨されず、家庭での 6〜8 週間の食事管理が確定診断の中核とされています。

頻度上位食材は牛肉・乳製品・鶏肉・小麦・羊肉・大豆・トウモロコシ・卵[2]ですが、これは「絶対 NG」ではなく愛犬個別のチャレンジ試験で確認すべき候補です。除去食には加水分解タンパク質食または管理品質の高い新規タンパク質食を選び、試験中は指定食以外を一切与えない運用が成功の鍵を握ります。並行してシャンプー・保湿・環境ケアでかゆみの総量を下げ、二次感染を防ぎましょう。具体的なフード選定や除去食プロトコルは、必ずかかりつけ獣医師と一緒に組み立ててください。

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※ 診断結果は参考情報です。アレルギーが疑われる場合は獣医師にご相談のうえご検討ください。

参考文献を表示(全 8 件)
  1. Olivry T, Mueller RS, Prélaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (1): duration of elimination diets." BMC Vet Res. 2015;11:225. doi:10.1186/s12917-015-0541-3
  2. Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats." BMC Vet Res. 2016;12:9. doi:10.1186/s12917-016-0633-8
  3. Olivry T, Mueller RS. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (3): prevalence of cutaneous adverse food reactions in dogs and cats." BMC Vet Res. 2017;13(1):51. doi:10.1186/s12917-017-0973-z
  4. Larsen JA, Parks EM, Heinze CR, Fascetti AJ. "Evaluation of recipes for home-prepared diets for dogs and cats with chronic kidney disease." J Am Vet Med Assoc. 2012;240(5):532-538. doi:10.2460/javma.240.5.532
  5. Hensel P, Santoro D, Favrot C, Hill P, Griffin C. "Canine atopic dermatitis: detailed guidelines for diagnosis and allergen identification." BMC Vet Res. 2015;11:196. doi:10.1186/s12917-015-0515-5
  6. Mueller RS, Olivry T. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (4): can we diagnose adverse food reactions in dogs and cats with in vivo or in vitro tests?" BMC Vet Res. 2017;13(1):275. doi:10.1186/s12917-017-1142-0
  7. Olivry T, Bizikova P. "A systematic review of the evidence of reduced allergenicity and clinical benefit of food hydrolysates in dogs with cutaneous adverse food reactions." Vet Dermatol. 2010;21(1):32-41. doi:10.1111/j.1365-3164.2009.00761.x
  8. Cave NJ. "Hydrolyzed protein diets for dogs and cats." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2006;36(6):1251-1268. doi:10.1016/j.cvsm.2006.08.008

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