犬の糖尿病と食事管理|血糖値を安定させるフード選びと食事のコツ

犬の糖尿病と食事管理ガイド

この記事の結論

犬の糖尿病管理は、高繊維・低GI食を基本とし、インスリン治療と食事の連携が最も重要です

  • 高繊維食が基本 - 食物繊維が糖の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急上昇を抑える[3]
  • 低〜中程度の脂肪 - 糖尿病の犬は膵炎を併発しやすいため、脂肪の摂りすぎに注意[1]
  • 良質なタンパク質で筋肉量を維持 - 糖尿病による筋肉の分解を防ぎ、体重と体力を保つ
  • 食事の一貫性が最重要 - 毎日同じ時間に同じ量を与え、インスリン投与と食事のタイミングを連動させる[2]
  • 高糖質の食べ物は厳禁 - 白米、パン、甘い果物など血糖値を急激に上げる食品は避ける

研究データに基づく食事管理の具体的なポイントと療法食の選び方は下記をご覧ください

「糖尿病ですね。インスリン注射が必要です」──動物病院でそう告げられたとき、多くの飼い主さんが不安を感じるとともに、「食事はどう変えればいいのか」と疑問に思われるのではないでしょうか。

犬の糖尿病は、インスリン療法と食事管理の両輪で血糖値をコントロールする疾患です。適切な食事管理によってインスリンの効果を最大化し、血糖値の乱高下を防ぐことが、愛犬の生活の質(QOL)を大きく左右します[1]

この記事では、AAHA(米国動物病院協会)の糖尿病管理ガイドラインや査読付き論文の研究データに基づいて、糖尿病の犬に適した食事管理のポイントをわかりやすくまとめました。

重要なお知らせ

糖尿病の食事管理は必ず獣医師の指導のもとで行ってください。この記事は研究データに基づく情報提供を目的としており、個々の犬への医療的アドバイスではありません。愛犬のインスリン投与量や食事プランの調整は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

犬の糖尿病の基礎知識

糖尿病とは

糖尿病(Diabetes Mellitus)とは、膵臓から分泌されるインスリンが不足する、またはインスリンが正常に機能しないことで、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる疾患です。インスリンは、細胞がブドウ糖をエネルギーとして取り込むために不可欠なホルモンです。インスリンが不足すると、細胞はエネルギーを得られず、血液中にブドウ糖が溢れる状態が続きます。

犬の糖尿病は1型が大多数

人間の糖尿病には1型と2型がありますが、犬の糖尿病はほとんどが1型(インスリン依存性糖尿病: IDDM)です[5]。1型糖尿病では、免疫系の異常(自己免疫反応)や膵炎などによって膵臓のベータ細胞が不可逆的に破壊され、インスリンの分泌がほぼ完全に失われます。そのため、生涯にわたるインスリン注射が必要です。

Catchpoleら(2005)の研究では、犬の糖尿病には自己免疫性の機序が関与していることが示されており、人間の1型糖尿病との類似点が指摘されています[5]。なお、猫では2型糖尿病(インスリン非依存性)が多いため、犬と猫では治療アプローチが異なります。

リスクの高い犬

糖尿病はどの犬にも発症する可能性がありますが、以下の条件に当てはまる犬は特にリスクが高いとされています[1][2]

  • 肥満の犬:肥満はインスリン抵抗性を高め、糖尿病の発症リスクを増大させる
  • 避妊未実施のメス犬:発情期に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)がインスリン抵抗性を引き起こすため、未避妊のメス犬は糖尿病リスクが高い
  • 中〜高齢犬:7歳以降に発症率が上昇する
  • 膵炎の既往がある犬:膵臓の炎症がベータ細胞を破壊し、糖尿病を引き起こすことがある

犬種別のリスク

以下の犬種は、遺伝的に糖尿病を発症しやすいことが報告されています[5]

リスクが高い犬種 特記事項
サモエド 糖尿病の発症率が特に高い犬種の一つとして報告されている
ミニチュア・プードル 小型犬種の中でもリスクが高い
ミニチュア・シュナウザー 膵炎を併発しやすく、それが糖尿病の引き金になることがある
ビション・フリーゼ 近年の疫学研究でリスクの高さが指摘されている
ケアーン・テリア テリア系の中でも糖尿病の報告が多い
オーストラリアン・テリア 小型テリアとして比較的高いリスクが報告されている

ただし、上記は統計的な傾向であり、リスクが低い犬種でも糖尿病は発症します。定期的な健康診断と血糖値のチェックが早期発見の鍵です。犬種別の食事管理については犬種別フードガイドもご参考ください。

糖尿病の食事管理の3つの柱

糖尿病の犬の食事管理において、研究データに基づく3つの重要な柱があります。これらはいずれも血糖値の安定化とインスリン療法の効果最大化を目的としています。

柱1: 高繊維食 -- 血糖値の急上昇を抑える

食物繊維は、糖尿病の犬の食事管理で最も重視される栄養素の一つです。食物繊維は消化管内で糖の吸収速度を遅くする働きがあり、食後の血糖値の急激な上昇(血糖スパイク)を抑制します。

Nelsonら(1998)の研究では、不溶性食物繊維を多く含む食事を与えた糖尿病犬において、食後の血糖値の上昇が有意に抑えられたことが報告されています[3]。この研究は、自然発症の糖尿病犬を対象としたもので、高繊維食の有効性を示した重要なエビデンスです。

食物繊維の種類と役割

  • 不溶性食物繊維(セルロース、ヘミセルロースなど):消化管内で水分を吸収して膨張し、糖の吸収を物理的に遅らせる。便通改善にも寄与
  • 水溶性食物繊維(ペクチン、ガム類など):消化管内でゲル状になり、糖の吸収をさらに緩やかにする。腸内環境の改善にも貢献

糖尿病用の療法食は、通常のフードと比較して食物繊維含有量が大幅に高く設定されています。乾物ベースで粗繊維10%以上を含む製品が多く、これにより食後血糖値の安定化が図られています。

低GI食とは?

GI(Glycemic Index:グリセミック・インデックス)とは、食品が血糖値を上昇させる速度を数値化したものです。低GI食品(大麦、レンズ豆、さつまいもなど)は糖の吸収が緩やかで、食後の血糖値スパイクを起こしにくいのが特徴です。糖尿病の犬の食事には、白米やとうもろこしなどの高GI食品よりも、大麦やソルガムなどの低GI穀物が適しています。

柱2: 低〜中程度の脂肪 -- 膵炎リスクも考慮

糖尿病の犬の食事では、脂肪含有量を低〜中程度(乾物ベースで8〜15%程度)に抑えることが推奨されています[1]。その理由は主に2つあります。

  • 膵炎の併発リスク:糖尿病の犬は膵炎を併発しやすく、高脂肪食は膵炎の誘因となりうる。特にミニチュア・シュナウザーでは高脂血症と膵炎のリスクが高い
  • 肥満の予防・管理:肥満はインスリン抵抗性を高めるため、カロリー密度の高い高脂肪食は避ける必要がある

ただし、脂肪は重要なエネルギー源でもあるため、過度に制限すると体重減少やエネルギー不足を招きます。特にすでに痩せている糖尿病犬では、適切なカロリーを確保しつつ脂肪量を調整することが大切です。

柱3: 良質なタンパク質 -- 筋肉量の維持

糖尿病では、インスリン不足により細胞がブドウ糖をエネルギーとして利用できないため、代わりに筋肉のタンパク質を分解してエネルギーを得ようとする状態が起こります。これにより、未治療の糖尿病犬では体重減少と筋肉量の低下(サルコペニア)が見られます。

そのため、糖尿病の犬の食事では良質なタンパク質を十分に摂取させ、筋肉量を維持・回復させることが重要です[2]。タンパク質は血糖値への影響が炭水化物より緩やかであり、糖尿病犬にとって安全なエネルギー源でもあります。

糖尿病犬の理想的な栄養バランス(目安)

  • タンパク質:乾物ベースで25〜35% -- 良質な動物性タンパク質を中心に
  • 脂肪:乾物ベースで8〜15% -- 膵炎リスクを考慮して控えめに
  • 食物繊維:乾物ベースで10〜20% -- 血糖値の安定化に不可欠
  • 炭水化物:低GI穀物を中心に、全体の20〜30%程度

注意:上記はあくまで一般的な目安です。個々の犬の体重、活動量、併発疾患の有無によって最適な栄養バランスは異なりますので、獣医師と相談してください[4]

犬に必要なタンパク質の基礎知識については犬のタンパク質比較ガイドで詳しく解説しています。糖尿病犬では、良質なタンパク質の確保が筋肉量維持の鍵となります。

食事のタイミングとインスリン投与の連携

糖尿病の食事管理において、何を食べるかと同じくらい「いつ・どのように食べるか」が重要です。AAHA(2018)のガイドラインでは、食事の一貫性(consistency)が糖尿病管理の成功の鍵であると強調されています[1]

同じ時間に同じ量を -- 一貫性が最重要

糖尿病の犬には、毎日決まった時間に、決まった量の同じフードを与えることが大原則です。これはインスリンの作用時間と食事からの糖の吸収を同期させるためです。

  • 食事回数:1日2回の等間隔(12時間おき)が基本。例えば午前7時と午後7時
  • 食事量:毎回同じ量を計量して与える。目分量は禁物
  • フードの種類:同じ製品・同じロットが理想。フードの切り替えは血糖値に影響するため、獣医師と相談のうえ慎重に行う

インスリン注射のタイミングと食事の関係

多くの場合、インスリン注射は食事の直前または食事と同時に投与されます[1]。これにより、食事で摂取した糖が血中に吸収されるタイミングと、インスリンが作用し始めるタイミングが合致し、血糖値の急上昇を防ぎます。

食事とインスリンの基本スケジュール例

  • 午前7:00:1回目の食事 → 食べ始めを確認後にインスリン注射
  • 午後7:00:2回目の食事 → 食べ始めを確認後にインスリン注射

重要:犬が食事を食べなかった場合、通常どおりのインスリン投与は危険です(低血糖のリスク)。食べなかった場合の対応は、事前に獣医師と取り決めておきましょう。

低血糖の危険サイン

インスリンの効きすぎや食事量の不足により低血糖が起こることがあります。以下の症状が見られたら、すぐに少量のハチミツやガムシロップを歯茎に塗り、速やかに動物病院を受診してください。

  • ふらつき、よろめき
  • 元気がなくぐったりしている
  • 震え(振戦)
  • けいれん、意識消失(重症の場合)

おやつの管理

糖尿病の犬にとって、おやつは「想定外の糖分摂取」となり、血糖コントロールを乱す原因になりえます。Fleeman & Rand(2001)は、おやつを与える場合も一貫性を保つことの重要性を指摘しています[2]

  • おやつを与える場合:毎日同じ種類・同じ量・同じタイミングで
  • おすすめのおやつ:茹でたブロッコリー、きゅうり、少量のにんじんなど低GI・低糖質のもの
  • おやつのカロリー:1日の総摂取カロリーの10%以内に抑え、その分フードを減量
  • 避けるべきおやつ:ジャーキー以外の糖質が高いおやつ(クッキー、ボーロ、パンの切れ端など)

避けるべき食べ物

糖尿病の犬の血糖コントロールを維持するために、血糖値を急激に上昇させる食品は厳禁です。以下の食品は特に注意が必要です。

避けるべき食品 理由
白米 GI値が非常に高く、食後血糖値を急上昇させる。大麦やオートミールに置き換えが望ましい
パン・小麦製品 精製された炭水化物は消化吸収が早く、血糖スパイクの原因になる
甘い果物(バナナ、ブドウ、マンゴーなど) 糖分が多く血糖値を急上昇させる。特にブドウ・レーズンは犬にとって中毒の危険があり絶対に与えてはいけない
市販の犬用おやつ(クッキー、ボーロ等) 砂糖や小麦粉が多く含まれ、糖質が高い。原材料表示の確認が必須
ジャガイモ 高GI食品。さつまいもの方がGI値は低いが、量に注意
人間の食べ物全般 味付けされた食品は塩分・糖分・脂肪が多く、血糖コントロールを乱す。特にケーキ、アイスクリーム、チョコレート(犬に有毒)は厳禁
半湿性フード(セミモイスト) 保湿のために糖類(プロピレングリコールやコーンシロップ)が添加されていることが多く、糖尿病犬には不適切

比較的安全な食品

以下の食品は低GI・低糖質で、糖尿病犬のおやつや食事のトッピングとして比較的安全に使えます(ただし、量は獣医師と相談してください)。

  • 緑黄色野菜:ブロッコリー、いんげん、きゅうり、ほうれん草(少量)
  • 低GIの果物:ブルーベリー(少量)、りんご(皮をむき種を除いて少量)
  • タンパク質系:鶏ささみ(茹で)、白身魚(茹で)を少量

ドッグフードの成分表の読み方については原材料表示の読み方ガイドも参考にしてください。糖質の含有量を確認する際に役立ちます。

糖尿病対応のおすすめ療法食

糖尿病用の療法食は、高繊維・低脂肪・低GI炭水化物・良質なタンパク質が精密に設計された特別なフードです。療法食の選択・開始は必ず獣医師の指示に基づいて行ってください。

以下は、日本で入手しやすい代表的な糖尿病対応の療法食です。

ヒルズ プリスクリプション・ダイエット w/d 犬用

ヒルズ w/d 犬用 糖尿病・体重管理療法食
対象糖尿病・体重管理・消化管の健康サポートが必要な犬
主原料トウモロコシ、セルロース、鶏肉(チキン、ターキー)
成分タンパク質18.3% / 脂質8.8% / 粗繊維14.5% / カロリー約269kcal/100g
特徴高繊維低脂肪低カロリーL-カルニチン配合

研究データに基づくポイント

  • 粗繊維14.5%と非常に高く、食後の血糖値上昇を緩やかにすることが報告されている
  • 脂肪8.8%と低脂肪設計で、膵炎リスクのある糖尿病犬にも配慮
  • L-カルニチン配合により、脂肪の代謝をサポートし体重管理にも寄与

ロイヤルカナン 糖コントロール 犬用

ロイヤルカナン 糖コントロール 犬用
対象糖尿病の犬
主原料大麦、家禽ミート、タピオカ
成分タンパク質37.0% / 脂質11.0% / 粗繊維16.4% / カロリー約302kcal/100g
特徴高繊維高タンパク低GI原料大麦使用

研究データに基づくポイント

  • タンパク質37.0%と高タンパク設計で、糖尿病による筋肉の分解を防ぎ、体力維持をサポート
  • 大麦を主原料とすることで低GIの炭水化物源を実現し、食後の血糖値スパイクを抑制
  • 粗繊維16.4%と高い食物繊維量で、糖の吸収をさらに緩やかにする設計

スペシフィック CED-DM エンドクライン サポート 犬用

スペシフィック CED-DM エンドクライン サポート 犬用
対象糖尿病の犬
主原料米、トウモロコシ、魚粉、豚脂
成分タンパク質29.0% / 脂質10.0% / 粗繊維7.5% / カロリー約304kcal/100g
特徴高繊維中程度脂肪オオバコ種皮配合L-カルニチン配合

研究データに基づくポイント

  • オオバコ種皮(サイリウム)を配合し、水溶性食物繊維による血糖値の安定化を図る
  • L-カルニチン配合で、脂肪燃焼をサポートし体重管理にも貢献
  • タンパク質29.0%と適度に高いタンパク質量で筋肉量の維持をサポート

療法食の切り替えは7〜10日かけて徐々に行います。急な変更は消化器トラブルを引き起こすだけでなく、血糖コントロールを不安定にする原因にもなります。フードの切り替え方法についてはドッグフードの切り替え方ガイドも参考にしてください。

体重管理との関係

肥満と糖尿病には密接な関係があります。肥満はインスリン抵抗性を引き起こす最大のリスク因子の一つであり、肥満犬の減量は糖尿病管理の改善に直結します[1]

肥満が糖尿病を悪化させるメカニズム

体脂肪が増加すると、脂肪組織から分泌されるアディポカイン(脂肪由来ホルモン)がインスリンの作用を妨げます。つまり、同じ量のインスリンを投与しても、肥満の犬では血糖値を十分に下げられないのです。これがインスリン抵抗性です。

減量によるメリット

  • インスリン感受性の改善:体重が適正範囲に戻ると、インスリンが効きやすくなり、必要なインスリン投与量が減少する可能性がある
  • 血糖コントロールの安定化:インスリン抵抗性が低下することで、食後の血糖値の乱高下が緩和される
  • 併発疾患のリスク低減:関節への負担軽減、心血管系の健康改善、膵炎リスクの低減

安全な減量のポイント

糖尿病犬の減量は、急激に行うと低血糖やケトアシドーシスのリスクがあるため、獣医師の管理下で段階的に行う必要があります。

  • 目標体重:獣医師がBCS(Body Condition Score)に基づいて設定
  • 減量ペース:1週間あたり体重の1〜2%の減量が安全な目安
  • 食事の調整:糖尿病用の低カロリー療法食を使用し、給餌量を徐々に調整
  • 運動:無理のない範囲での散歩を毎日同じ時間・同じ程度で行う。運動量も一貫性が大切
  • インスリン量の再調整:体重が変わるとインスリンの必要量も変わるため、定期的な血糖曲線検査が必要

犬の体重管理の詳しい方法については犬の体重管理ガイドもご参照ください。糖尿病の犬の場合は通常の減量プランよりもさらに慎重なアプローチが必要です。

よくある質問

糖尿病の犬でもおやつをあげていいですか?

糖尿病の犬にもおやつを与えることは可能ですが、いくつかの条件があります。まず、おやつは毎日同じ種類・同じ量・同じタイミングで与えること。血糖値の急上昇を招く高糖質のおやつ(クッキー、パン、甘い果物など)は避け、低GIで高繊維の食材(茹でたブロッコリー、きゅうり、少量のブルーベリーなど)を選びましょう。おやつのカロリーは1日の総摂取カロリーの10%以内に抑え、その分フードの量を調整してください。インスリン投与のスケジュールに影響しないよう、必ず獣医師に相談のうえで管理してください。

糖尿病の犬に手作り食を与えてもいいですか?

糖尿病の犬への手作り食は原則として推奨されません。糖尿病の食事管理では、毎日同じ栄養組成・同じカロリーの食事を同じ時間に与える「一貫性」が最も重要です。手作り食では食材の水分量やGI値がバッチごとに変動しやすく、血糖値のコントロールが不安定になるリスクがあります。また、食物繊維量や脂肪量の正確な計算も困難です。どうしても手作り食を希望する場合は、獣医栄養学の専門家にレシピを処方してもらい、毎回同じ食材・同じ分量で調理することが必須です。手作りごはんの栄養面のリスクについては犬の手作りごはんの栄養リスク解説もご確認ください。

犬の糖尿病は完治しますか?

犬の糖尿病の大多数は1型(インスリン依存性)であり、残念ながら完治することは基本的にありません。膵臓のベータ細胞が破壊されているため、生涯にわたるインスリン療法と食事管理が必要です[5]。ただし、発情期に関連して一時的に糖尿病を発症したメス犬の場合、早期に避妊手術を行うことでインスリン抵抗性が解消し、糖尿病が寛解するケースが報告されています。いずれの場合も、適切な食事管理とインスリン療法を継続すれば、多くの犬が良好なQOL(生活の質)を維持できます

犬の糖尿病はインスリンなしで食事だけで管理できますか?

犬の糖尿病は食事管理だけでコントロールすることは基本的にできません。犬の糖尿病の大多数は1型糖尿病であり、膵臓からのインスリン分泌がほぼ完全に失われているため、外部からのインスリン投与が不可欠です[1]。食事管理はインスリン療法の効果を最大化し、血糖値の安定を助けるための重要な補助的手段ですが、単独での治療手段にはなりません。インスリン注射をやめると、糖尿病性ケトアシドーシスという命に関わる合併症のリスクが高まります。必ず獣医師の指示に従ってインスリン療法を継続してください。

まとめ

犬の糖尿病の食事管理は、「高繊維食」「低〜中程度の脂肪」「良質なタンパク質」の3つの柱を基本とし、何よりも食事の一貫性(毎日同じ時間に同じ量を)とインスリン投与との連携が成功の鍵です[1]

Nelsonら(1998)の研究が示すように、高繊維食は食後の血糖値上昇を有意に抑制し、血糖コントロールの安定化に貢献します[3]。また、肥満がある場合は獣医師の指導のもとで段階的な減量を行うことで、インスリン感受性が改善し、糖尿病管理全体が向上する可能性があります。

糖尿病は生涯にわたるケアが必要な疾患ですが、適切な食事管理とインスリン療法の継続により、多くの犬が良好な生活の質を維持できます。高糖質の食べ物を避け、療法食を中心とした食事プランを獣医師と一緒に構築しましょう。血糖曲線検査やフルクトサミン検査による定期的なモニタリングも忘れずに。

WANPAKUでは、研究データに基づくエビデンスベースの情報提供を心がけています。愛犬の糖尿病管理でお悩みの方は、まずかかりつけの獣医師にご相談いただき、この記事の情報を参考に最適な食事管理を見つけてください。

参考文献を表示(全5件)
  1. Behrend E, Holford A, Lathan P, Rucinsky R, Schulman R. "2018 AAHA Diabetes Management Guidelines for Dogs and Cats." J Am Anim Hosp Assoc. 2018;54(1):1-21. doi:10.5326/JAAHA-MS-6822
  2. Fleeman LM, Rand JS. "Management of canine diabetes." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2001;31(5):855-880. doi:10.1016/S0195-5616(01)50003-0
  3. Nelson RW, Ihle SL, Lewis LD, et al. "Effect of dietary insoluble fiber on control of glycemia in dogs with naturally acquired diabetes mellitus." J Am Vet Med Assoc. 1998;212(3):380-386.
  4. National Research Council (NRC). "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." Washington, DC: National Academies Press; 2006.
  5. Catchpole B, Ristic JM, Fleeman LM, Davison LJ. "Canine diabetes mellitus: can old dogs teach us new tricks?" Diabetologia. 2005;48(10):1948-1956. doi:10.1007/s00125-005-1921-1

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