⚠️ お読みいただく前に
- 本記事はフード選びの参考情報です。特定の病気の治療・予防を目的としたものではありません。
- 診断・治療や食事変更は獣医師にご相談ください。
腎臓の数値が高いと言われたら、何から始めればいい?
CKD と診断されたら、まずは食事の見直しから。リン・タンパク質・ナトリウムを段階的に整える流れが基本です。
慢性腎臓病(CKD)とは
CKD は腎臓のはたらきが3か月以上低下したままの状態[9]。一度失われたネフロン(腎臓の機能単位)は戻らず、シニア犬で発症しやすい病気です。
気づきのサイン
- 多飲多尿(最も早く出やすい)
- 食べているのに体重が減る、食欲のムラ・吐く回数増
- 口臭がアンモニア臭く(尿毒症の兆候)
- 毛づや・毛量の低下
食事の見直しが中核となる理由
CKDでは老廃物蓄積が尿毒症(老廃物が体内に溜まり中毒症状を起こす状態)・高血圧・骨ミネラル代謝の崩れを招き悪循環に陥りがちです。腎不全犬の RCT[3]では療法食群で尿毒症クリーゼ(尿毒症の急激な悪化)が少なく生存期間が長かったと報告。シニア犬の栄養管理ガイドも参考に。
CKD のステージ(IRIS 2023)はどう分類される?
IRIS は血液検査値で 4 ステージに分類。ステージごとに食事方針も生存期間目安も変わります。
IRIS(国際獣医腎臓病学会)はクレアチニンと SDMA で4ステージに分類する国際ガイドライン[1]。以下は IRIS 2023 改訂版に基づきます。
| ステージ | クレアチニン (mg/dL) | SDMA (μg/dL) | 臨床的特徴 | 食事の方針 / 生存期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| ステージ 1 | < 1.4 | < 18 | 症状はほぼ無し、構造的異常あり | リン制限検討、高品質タンパク維持。数年の経過例も多い |
| ステージ 2 | 1.4〜2.7 | 18〜35 | 軽度の老廃物蓄積、多飲多尿 | 療法食検討、リン制限強化。1〜数年の維持 |
| ステージ 3 | 2.8〜5.0 | 36〜54 | 食欲低下・体重減・嘔吐など尿毒症 | 療法食継続、さらなる制限、オメガ3。数か月〜1年 |
| ステージ 4 | > 5.0 | > 54 | 顕著な尿毒症、貧血、脱水 | 食欲維持優先、輸液併用、QOLを重視。個体差大 |
※生存期間は目安で個体差・併発疾患・管理状況で変動します[3]。ステージごとの段階的アプローチが良く[5]、早期の過度なタンパク制限は筋肉量減少のリスクがあります。
IRIS ステージ別 食事プロトコル早見表
上記の IRIS 早見表(臨床的特徴と食事方針)を素材レベルへ落とし込んだものが下表です[5]の段階的アプローチを参考に、「主食 / 補完 OK 素材 / 禁忌素材 / 水分量目安」を整理しました。実際の処方は獣医師相談が前提です。
| ステージ | 主食(療法食カテゴリ) | 補完 OK 素材(獣医師相談) | 禁忌素材 | 水分量目安 |
|---|---|---|---|---|
| Stage 1 | 通常食 or 軽度リン制限療法食 | 白米・きゅうり・加熱卵白少量 | レバー・煮干し・チーズ | 50〜100 mL/kg/日 |
| Stage 2 前期 | 腎臓病療法食 or リン制限フード | 白米・きゅうり・大根・茹でキャベツ | 骨・卵黄・小魚・加工肉 | 60〜100 mL/kg/日 |
| Stage 2 後期〜3 | 腎臓病療法食(リン強化制限)+ オメガ 3 | 白米・きゅうり・少量鶏ささみ | バナナ・かぼちゃ・さつまいも(高カリウム) | 70〜120 mL/kg/日 |
| Stage 4 | 嗜好性最優先(食べられるものを優先) | 獣医師指示の流動食・ウェット混合 | 個別判断(基本は前ステージ準拠) | 輸液併用検討 |
※ 表は一般的目安です。腎臓だけでなく心臓・関節・併発症があるとプロトコルは個別調整が必要となります。
血液検査の数値(クレアチニン・SDMA・BUN)はどう読む?
クレアチニンとSDMAは腎機能の指標、BUNはタンパク代謝の老廃物。SDMAが早期発見に有効です。
📊 検査値の読み方の基本
- クレアチニン:筋肉由来の老廃物。腎機能 75% 低下まで正常範囲のため早期発見は苦手
- SDMA(腎機能を示す血液検査の値):早期マーカー。腎機能 25〜40% 低下時点で上昇[10](猫の研究が中心、犬でも同様の傾向の報告あり)
- BUN(尿素窒素):タンパク代謝の老廃物。脱水・絶食・高タンパク食でも上がるためクレアチニン・SDMA とセットで読む
リン・カリウム・尿比重・尿タンパク/クレアチニン比(UPC)もCKDで重要。検査前は絶食指示を守ってください。
BUN/CRE/SDMA を家庭で記録する 3 つのコツ
検査値の単発スナップショットではなく 「推移」 を見ると、IRIS ステージが進んでいるのか維持できているのかが獣医師にも判断しやすくなります[5]でも段階的アプローチには定期モニタリングが推奨されています。
📋 家庭記録テンプレ(8 項目)
- 検査日(yyyy-mm-dd)
- クレアチニン(CRE) mg/dL
- SDMA μg/dL
- BUN mg/dL
- リン mg/dL
- カリウム mEq/L
- 体重 kg / 飲水量 mL/日(計量カップ目視で可)
- 尿比重・尿タンパク/クレアチニン比(UPC)
スマホ家計簿アプリや Google スプレッドシート 1 シートで運用できます。受診時はスクリーンショットを獣医師にお見せください。受診前のまとめ方は本文末の 受診前チェックリストへ。
飲水量はステージ 1〜2 では 体重 1 kg あたり 50〜100 mL/日 が一般的目安。急に倍増した・半減したという変化は、ステージ移行のサインの可能性があります[9]。
リン制限が重視される理由は?
リン管理は腎臓病ケアの中心。乾物ベースで0.2〜0.5%に抑えるのが基本の目安です。
CKD ではリン排出機能が低下し血中リン濃度が上がりやすくなります(高リン血症)。血中リン濃度を IRIS 目標範囲に保つことは生存期間・臨床所見の改善に寄与する可能性が研究[7]で示唆されています。
📊 高リン血症の影響
- カルシウム調整ホルモン乱れ(二次性副甲状腺機能亢進症)
- 腎性骨異栄養症で骨が脆くなる
- 軟部組織の石灰化で腎機能をさらに悪化
- CKD進行が早まる悪循環
NRC[6]・Polzin[8]では乾物ベース 0.2〜0.5%が一般目安。通常フード(0.5〜1.5%)からの療法食切り替えが基本で、骨・乳製品・卵黄・レバー・小魚は特にリンが多めです。
リン量で見る食材ランキング(乾物 mg/100g)
食材のリン量は 乾物ベース mg/100g で並べると比較が容易です。NRC 2006[6]と日本食品標準成分表(参考値)から代表素材を整理しました。
| カテゴリ | 素材例 | リン量(mg/100g 目安) | CKD での扱い |
|---|---|---|---|
| 低リン(積極活用) | きゅうり・キャベツ(茹で) | 20〜35 | 低カリウムなら獣医師相談で OK |
| 低リン(エネルギー源) | 白米(炊飯) | 34 | 主食補完素材として一般的 |
| 低リン(タンパク源) | 加熱卵白 | 11 | 少量なら活用しやすい |
| 中リン | 鶏ささみ(茹で) | 240 | 少量・獣医師相談 |
| 高リン(避けたい) | レバー・卵黄 | 340〜570 | CKD では基本 NG |
| 超高リン(禁忌) | 煮干し・チーズ | 1,500〜700 | 避けたい食材 |
※ 含有量は加工方法・産地で変動。獣医師処方の療法食を主軸にしたうえでの補完素材として活用してください。
タンパク質はどのくらい制限すべき?
ステージ別に「適度に」。過度な制限はサルコペニア(筋肉量の減少)を招きQOLを下げます[8]。
ステージ別の目安
- ステージ 1〜2 前期: 過度な制限は不要、良質タンパクで筋肉量維持
- ステージ 2 後期〜3: 乾物ベース約 14〜20%、症状で調整[5]
- ステージ 4: 食欲と栄養状態の維持も両立
「量」と同じく「質」も重要で、消化率の高い鶏ささみ・白身魚は老廃物が少なめです。
選び方はタンパク質比較ガイドで 5 種を中立に比較しています。
ナトリウム制限と高血圧、どう繋がる?
高血圧は腎臓を更に悪化させるため、乾物ベースで0.1〜0.3%を目標に。
CKD犬は高血圧合併が多く腎ダメージを悪化させます。ACVIM(米国獣医内科学会)合意声明[2]ではナトリウム過剰摂取を避けることが推奨され、療法食は乾物ベース 0.1〜0.3%(通常フード 0.3〜1.0%)が一般的[8]。加工食品・味付き肉・パン・塩分おやつは避けたい食材で、急なナトリウム制限は脱水リスクのため段階的に。
その他に意識したい栄養素
オメガ 3(EPA・DHA)は糸球体圧力調整に寄与する可能性が報告されており[4]療法食に強化配合、カリウムは CKD 進行で変動するため定期検査、水分摂取はウェット活用や冬の水分補給ガイドのテクニックが目安になります。
腎臓病で避けたい食材と与えやすい食材は?
リン・ナトリウム高値は避け、白米・ささみ・きゅうり等の低リン食材は獣医師相談で活用可。茹でこぼしでカリウムを減らす工夫も。
| 避けたい食材 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| リンが多い食品 | 骨、卵黄、レバー等内臓肉、煮干し・ししゃも | 高リン血症を招き腎機能悪化を加速 |
| 乳製品 | チーズ、ヨーグルト、牛乳 | リン・ナトリウム多く腎負担大 |
| 加工肉・味付き肉 | ジャーキー類、ハム、ソーセージ、ベーコン | 塩分が非常に高く高血圧悪化 |
| 高タンパクおやつ | ジャーキー、チーズスティック、牛皮ガム | BUN蓄積で尿毒症リスク |
| カリウムが多い食品 | バナナ、カボチャ、さつまいも、ほうれん草 | CKD後期は高カリウム血症リスク |
比較的与えやすい食品(獣医師相談で)
- 白米・おかゆ:低リンのエネルギー源
- 鶏ささみ少量:低脂肪・消化良好(量注意)
- きゅうり・大根:水分多・低リン低ナトリウム
- 加熱卵白少量・キャベツ/ブロッコリー(茹でこぼし):卵黄は除く、野菜は茹で汁を捨てる
「茹でこぼし」と「おやつ」の考え方
カリウム多めの野菜は茹でこぼし(5〜10 分・茹で汁を捨てる)で 20〜40% 減が目安(判断は獣医師相談)。おやつは 1 日カロリーの10% 以下に抑え、具体的素材は前項の info-box を参照してください。
腎臓病の療法食 vs 手作り食、リン管理でどう判断する?
腎臓病ではリン量を乾物ベースで毎食一定に保つ精密設計が中心になります。家庭での再現難度が高いため、療法食を主軸にする家庭が一般的です。
| 選択肢 | メリット | 留意点 |
|---|---|---|
| ① 腎臓病療法食 | リン乾物 0.2〜0.5%、タンパク・ナトリウムを精密設計[3]では生存期間が長かったと報告 | 食いつきが下がる例があり、獣医師指示が前提 |
| ② 療法食 + 低リン補完トッピング | 白米・きゅうり等で食いつき改善と水分補給を両立 | カリウム・ナトリウムを含む素材は獣医師相談必須 |
| ③ 完全手作り食 | 食材アレルギー対応の柔軟性 | ボード認定獣医栄養学者の処方が必須[11]。家庭でリン乾物 mg を毎食計算するのは現実的でないとされます |
移行は 7〜30 日で段階的に(25→50→75→100%)が一般的目安。汎用論や栄養素の不足リスクは手作りごはんの栄養リスクに集約しています。
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診断する →CKD で食欲が落ちたとき、リンを増やさず工夫するには?
CKD では「リンとカリウムを増やさない」を最優先に、温め・ふやかし・ウェット切替・少量頻回・低リン低カリウムトッピングの 5 つを獣医師相談で組み合わせます。
CKD 進行で食欲が落ちることがあります。WANPAKU 診断ではシニア犬の食欲不振 20.9%が報告されており、消化トラブルの悩みも26.6%です。
CKD で食欲低下時の 5 つの工夫
- 1. 温め:10〜15 秒レンジか 37〜38℃ ぬるま湯で香りを引き出す
- 2. ウェット活用:ウェット腎臓ケア療法食/混合で水分摂取も増やす
- 3. 少量頻回:1 日 2 回を 3〜4 回に分割(吐き気時に有効)
- 4. 低リン低カリウムトッピング:白米・きゅうり少量など。かぼちゃ・さつまいも・バナナはカリウムが多めのため後期は要相談
- 5. 食事環境:静かな場所、関節痛は食器台で姿勢負担を軽減
1 日量の決め方とステージ 4 の方針
RER=体重(kg)0.75×70kcalを起点に、ステージと活動量で調整するのが一般的目安です。ステージ 4 では QOL を最優先に「食べられるだけ」へ切り替え、食欲増進薬の選択肢は獣医師に相談してください。
⚠️ すぐに獣医師へ相談すべきサイン
食事をほぼ摂らない(高齢犬は半日〜1日でも要注意)、急激な体重減少、頻繁な嘔吐、ぐったりは速やかに受診を。脱水・電解質異常が急速進行する可能性があるとされます。
食欲低下の全般的な原因は食べないときの 6 つの原因と対処法へ。
WANPAKU 診断 4,161 回から見える、腎臓関連で気をつけたいシニア犬の悩み
CKD で見落としやすい体重 23.5%・食欲不振 20.9% が上位。リン蓄積による食欲低下サインを早めに拾えます。
WANPAKU 診断 4,161 回のうちシニア犬飼い主(n=939)を集計すると、CKD と関連する 体重 23.5%・食欲不振 20.9%・消化トラブル 26.6% が代表的な悩みとして上位に並びます。リン蓄積→FGF-23 上昇→食欲低下の悪循環は早期に拾うほど食事介入が効きやすいとされます[7]。
シニア犬(7 歳以上)の悩み TOP3 ─ CKD 関連視点
※WANPAKU 診断 n=939(2025年9月〜2026年5月)
食欲不振 20.9%・消化トラブル 26.6% は CKD 早期サインの可能性。
📚 もっと深く:腎臓病に関連する話題を spoke 記事で
- シニア犬の食事ガイド:7 歳からの栄養管理の基本
- 小型犬の関節ケア:シニア期に併発しやすい関節悩み
- 皮膚・被毛ケアのフード選び:CKD で目立ちやすい毛づや低下に
- 軟便・下痢のフード選び:消化器併発時の食事調整
- 食べないときの 6 つの原因:食欲低下時の対処法
CKD 受診前に整理しておきたい腎臓病ならではの項目は?
フード・体重・飲水量・尿の様子に加え、過去のクレアチニン・SDMA・リン値推移をまとめると診察がスムーズです。
家族のライフスタイル別の食事管理
- 共働き世帯: 朝晩 2 回 + 昼の自動給餌器を活用、おやつのカロリー記録を家族で共有
- 多頭飼い: 個別給餌で盗食防止(別室 or タイミング差し替え)。療法食の場合は特に厳格に
- 留守番が長い家庭: 知育玩具で食事時間を延長、スローフィーダー活用
- シニア犬: 食欲低下を毎日記録、24 時間以上食べない場合は受診
✅ CKD 受診前チェックリスト
- 現在の主食フード(療法食銘柄を含む)・1 日給与量・リン/タンパク質の含有量(乾物ベース %)。パッケージごと持参が理想
- おやつの内容と頻度(無塩白米煎餅・きゅうり等の低リン素材か、ジャーキー等の高リン素材かを申告)
- 体重の変化(過去 3 か月)、飲水量・排尿回数・尿の色や濃さの変化
- 食欲・嘔吐・口臭(アンモニア臭)・元気のなさの有無
- 過去の血液検査結果:クレアチニン・SDMA・BUN・リン・カリウム・尿比重・尿タンパク/クレアチニン比(UPC)の推移表
※ 日々の記録は 血液検査の数値セクションの「家庭記録 8 項目」を月 1 でまとめる運用が便利です。
よくある質問
犬の腎臓病で食べてはいけないものは何ですか?
避けたいのはリン高(骨・乳製品・卵黄・レバー・煮干し)、ナトリウム高(加工食品・味付き肉・パン)、高タンパクおやつ(ジャーキー・チーズ)。療法食を中心に、おやつ含めた全体のリン・ナトリウム・タンパク質量を見直します。
犬の腎臓病の寿命や余命はどれくらいですか?
ステージと個体差で大きく異なります[3]では療法食群の生存期間が有意に長かったと報告され、ステージ 1〜2 は数年単位、3〜4 は数か月〜1 年が一般的な目安です。
腎臓病の犬に与えてもよいおやつはありますか?
低リン・低ナトリウム素材を 1 日カロリーの10% 以下で、獣医師相談のうえ少量を目安に。無塩白米煎餅・薄切りりんご・加熱卵白少量・きゅうりなどが選択肢で、ジャーキー・チーズ・牛皮ガムなど高タンパク・高塩分系は避けたい食材です。
リン制限は何%が目安ですか?
腎臓病犬のリン摂取量は乾物ベース0.2〜0.5%が一般目安[6][8]。通常の成犬用フードは0.5〜1.5%のため療法食への切り替えが基本。骨・乳製品・卵黄・内臓肉・小魚はリンが特に多めです。
腎臓病の犬にはどれくらいのタンパク質量が適切ですか?
ステージで変わり、1 は通常量、2 は約 20%、3〜4 は 14〜20%が一般目安[5]。過度な制限はサルコペニアを招くため獣医師の指示が前提です。
BUN やクレアチニンの値はどう読めばいいですか?
BUN はタンパク代謝、クレアチニンは筋肉代謝の老廃物。クレアチニンは腎機能 75% 低下まで正常範囲のため、より早期に上昇する SDMA との併用が推奨されています[10]([10] は猫の研究が中心、犬でも同様の傾向の報告あり)。
ステージが上がった(進行した)と言われたら食事はどう変えればいい?
ステージ 1 → 2 への移行ではリン制限の強化と療法食検討、2 → 3 ではタンパク質を乾物ベース約 14〜20% へ調整、3 → 4 では QOL を重視して食欲維持を優先するのが一般的な流れです[5]。急な切り替えは食欲低下を招くため7〜30 日かけて段階的に移行し、定期的な血液検査で数値の変化を追いながら獣医師と方針を共有してください。
腎臓ケアでサプリメントは使ってもいいですか?
サプリメントは必ず獣医師に相談のうえで検討してください。CKD で取り上げられやすいのはオメガ 3(EPA・DHA)(糸球体圧力調整に寄与する可能性[4])、リン吸着剤(食事と一緒に与える処方薬)、カリウム補給(CKD 後期で低カリウム傾向のとき)など。市販のマルチサプリは余分なリン・ミネラルを含むことがあるため、療法食と併用する際は処方内容との重複に注意が必要です。
まとめ
犬の腎臓病(CKD)の食事は「リン制限」「適度なタンパク質」「ナトリウム制限」の 3 本柱が基本です。IRIS 2023 のステージ別アプローチに沿い、早期からの過度な制限は避けつつ[5]、療法食・補完トッピング・手作りから獣医師相談で愛犬に合う組み合わせを選びます。定期的な血液検査でステージ変化に合わせた調整を続けることが、穏やかな日々を支える土台になります[3]。
参考文献を表示(全 11 件)
- IRIS (International Renal Interest Society). "IRIS Staging of CKD"(2023 改訂版). iris-kidney.com.
- Brown SA, Atkins C, Bagley R, et al. "Guidelines for the identification, evaluation, and management of systemic hypertension in dogs and cats." J Vet Intern Med. 2007;21(3):542-558. doi:10.1111/j.1939-1676.2007.tb03005.x
- Jacob F, Polzin DJ, Osborne CA, et al. "Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs." J Am Vet Med Assoc. 2002;220(8):1163-1170. doi:10.2460/javma.2002.220.1163
- Brown SA, Brown CA, Crowell WA, et al. "Beneficial effects of chronic administration of dietary omega-3 polyunsaturated fatty acids in dogs with renal insufficiency." J Lab Clin Med. 1998;131(5):447-455. doi:10.1016/s0022-2143(98)90146-9
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- Polzin DJ. "Chronic Kidney Disease in Small Animals." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2011;41(1):15-30. doi:10.1016/j.cvsm.2010.09.004
- Bartges JW. "Chronic kidney disease in dogs and cats." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2012;42(4):669-692. doi:10.1016/j.cvsm.2012.04.008
- Hall JA, Yerramilli M, Obare E, Yerramilli M, Jewell DE. "Comparison of serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine as kidney function biomarkers in cats with chronic kidney disease." J Vet Intern Med. 2014;28(6):1676-1683. doi:10.1111/jvim.12445
- Larsen JA, Parks EM, Heinze CR, Fascetti AJ. "Evaluation of recipes for home-prepared diets for dogs and cats with chronic kidney disease." J Am Vet Med Assoc. 2012;240(5):532-538. doi:10.2460/javma.240.5.532