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犬の肝臓病の食事|ALT・銅制限と避けたい食材

犬の肝臓病と食事管理ガイド

「肝臓の数値が高いね」——健康診断や定期検査でそう言われたあと、家のフードや人間の食卓のおすそ分けを見直すべきか、不安になる飼い主さんは多いです。WANPAKU 診断システムを使ったうち、シニア犬の飼い主(n=939)の 20.9% が食欲不振、消化トラブルは 26.6% と、肝臓のサインと重なる領域は珍しくありません。ひとりで抱えこむ必要はありません。

この記事をお読みいただく前に

  • 本記事は、愛犬に合ったフードを見つけるための参考情報です。特定の病気の治療・予防を目的としたものではありません。
  • 病気の診断・治療は必ず獣医師にご相談ください。食事の変更も獣医師の指導のもとで行ってください。
  • 記載内容は公開時点の研究データに基づいていますが、個々の犬の状態によって最適な対応は異なります。
  • 重篤な疾患は獣医師指示の療法食が最優先です。本記事は獣医師指示のもとで通常フード選びを検討する場合の参考情報です。

🚨 受診を急ぎたいサイン

「黄疸(白目や歯ぐきが黄色い)」「急にぐったりしている」「繰り返す嘔吐」「混乱・徘徊などの肝性脳症のサイン」「腹部が膨らんでいる(腹水)」——これらは肝不全の進行や PSS のサインの可能性があります。速やかに動物病院を受診してください。

💡 この記事の結論

肝臓病の食事は「肝細胞保護」「銅・タンパク質の質と量」「抗酸化栄養素の補完」が出発点。診断・治療・処方はかかりつけ獣医師の指示に従ってください。

  • ALT 上昇は肝細胞障害のサイン - 単独でなく超音波・生検と総合判断[1]
  • 銅蓄積性肝炎は犬種ごとの素因 - 4,559 頭で 19% が銅 >1000 ppm[3]
  • 食事中の銅・亜鉛バランスが肝銅濃度に影響 - ラブラドール研究[5]
  • SAMe・シリビンが補助療法に - 肝細胞保護への寄与[7]
  • 完治より「進行を遅らせる」が現実的目標 - 慢性肝炎は長期管理[1]

📌 銅・脂質で見る食材早見表へ銅管理で選ぶ療法食 vs 手作りへALT 上昇前のシニア犬悩みデータへ

⚠️ この記事をお読みいただく前に

  • 本記事は愛犬に合うフードを見つけるための参考情報です。特定の病気の治療・予防が目的ではありません。
  • 診断・治療・食事の変更は必ず獣医師の指導のもとで行ってください。
  • 個々の犬の状態によって最適な対応は異なります。

肝臓の数値が高いと言われたら、何から始めればいい?

原因の特定(薬剤性・銅蓄積・感染性等)と、食事の見直し、サプリの検討を並行で進めます。重症度に応じて獣医師と段階的に。

犬の肝臓病とはどんな病気?

犬の肝臓病は 急性肝炎 / 慢性肝炎 / 銅蓄積性肝炎 / 門脈シャント(PSS)/ 胆汁うっ滞 / 肝臓腫瘍など多様です。ACVIM(米国獣医内科学会)コンセンサス[1]では、診断には血液検査と画像・肝生検を組み合わせた評価が推奨されています。

肝臓病はどう分類される?

急性 / 慢性 / 銅蓄積 / PSS / 胆汁うっ滞 / 腫瘍。WSAVA(世界小動物獣医師会)Liver Standardization Group[8]の臨床・組織病理分類を参考に、原因と進行で食事方針が変わります。

肝臓病の分類
肝臓病の主な分類。実際の判断は獣医師にご相談を。
分類主な特徴食事方針の方向性
急性肝炎薬剤・毒物・感染で急に発症原因除去 + 肝細胞保護食 + 抗酸化サプリ
慢性肝炎数か月〜年単位で進行、線維化長期肝臓ケア食 + SAMe / シリビン補助
銅蓄積性肝炎ベドリントン他、犬種素因が強い低銅食 + 亜鉛・キレート薬の併用検討
門脈シャント(PSS)先天性が多く、若齢で症状低タンパク・高消化性食 + 外科的治療検討

血液検査の数値(ALT・AST・ALP・ビリルビン)はどう読む?

ALT は肝細胞、ALP は胆汁うっ滞や薬剤、ビリルビンは黄疸の指標。単独でなく組み合わせて読みます。

肝酵素の解釈図
主な肝酵素の解釈。検査機関ごとに基準値が異なるため獣医師相談で。

📊 検査票で見つけたい主な指標

  • ALT(アラニンアミノ転移酵素):肝細胞障害の代表マーカー。上昇は肝細胞ダメージを示唆
  • AST(アスパラギン酸アミノ転移酵素):肝臓のほか筋肉・心筋にも存在。ALT との比で読む
  • ALP(アルカリホスファターゼ):胆汁うっ滞、薬剤性(ステロイド等)、副腎皮質機能亢進症で上昇
  • ビリルビン:上昇は黄疸の評価が必要
  • 胆汁酸(食前・食後):肝機能の重要な指標

ACVIM コンセンサス[1]では、血液検査単独で診断せず、超音波・必要に応じて肝生検と組み合わせて総合判断するとされています。

ALT/AST/ALP/ビリルビンを家庭で記録する 3 つのコツ

肝酵素は 絶対値より「推移」と「比」 を見ると、急性期か慢性期か・薬剤性が疑われるかなどの区別がしやすくなるとされます[1]。受診ごとに表で残すのがおすすめです。

📋 家庭記録テンプレ(8 項目)

  1. 検査日(yyyy-mm-dd)
  2. ALT U/L / AST U/L(AST/ALT 比を電卓計算)
  3. ALP U/L
  4. 総ビリルビン mg/dL
  5. 胆汁酸(食前/食後)μmol/L
  6. 体重 kg / 食欲スコア(1〜5 自己評価)
  7. 便の色・形状(白色便は胆汁うっ滞のサインの可能性)
  8. 服薬・サプリ歴(ステロイド開始日・SAMe 開始日など)

スマホ家計簿アプリや Google スプレッドシート 1 シートで運用可能。AST/ALT 比は単純な割り算でも傾向把握に役立ちます。

タンパク質の質と量はどう設計する?

慢性肝炎では良質タンパク質を維持。肝性脳症があるときは制限が選択肢。獣医師の判断が前提です。

肝臓病でのタンパク質設計は症状で大きく異なります。慢性肝炎で肝性脳症がない場合は、過度な制限は筋肉量低下を招くため、良質なタンパク質を維持するのが一般的方針[1]。一方、肝性脳症(混乱・徘徊・痙攣)が出ている場合は、植物性・乳製品由来の易消化性タンパク質を中心に、量も慎重に調整します。NRC 2006[6]のタンパク質要求量は健康犬の基準で、肝臓病では病態に応じた調整が必要です。

銅制限はどう判断する?

ベドリントンテリア・ラブラドール等は遺伝的素因あり。肝生検 4,559 頭の研究で 19% が銅 >1000 ppm と報告されています[3]

初期の研究[4]では、ベドリントンテリアの遺伝性銅蓄積症が古典的に報告されています。後の 4,559 頭の肝生検データ[3]では 50% で肝銅 >400 ppm、19% で >1000 ppmと報告され、ラブラドール・ダルメシアン・ドーベルマン・ウエストハイランドホワイトテリアなどでも銅蓄積が知られています。食事の銅・亜鉛バランスが肝臓銅濃度に影響することも報告されています[5]

犬種別 銅蓄積リスク表

上記の犬種解説をリスク区分で視覚化したのが下表です。歴史的研究[4]と近年の肝生検データ[3]を踏まえ、銅蓄積素因として知られる代表犬種を整理しました。リスクは個体差・雑種化で変動する点にご留意ください。

犬種リスク背景
ベドリントンテリア★★★(高)遺伝性銅蓄積症が古典的に報告[4]
ラブラドールレトリーバー★★(中〜高)食事銅・亜鉛バランスとの関連が報告[5]
ダルメシアン★★(中〜高)肝生検データで銅蓄積が確認[3]
ドーベルマン★★(中〜高)同上
ウエストハイランドホワイトテリア(WHWT)★★(中)同上
その他犬種★(注意)4,559 頭中 50% が肝銅 >400 ppm[3]と、犬種によらない蓄積もあるとされる

※ リスクが高い犬種では、若いうちからの定期肝酵素検査と銅含有量を意識した食事選びが推奨されます[1]

銅制限が必要な犬で避けたい食材

  • レバー(牛・豚・鶏):銅含有量が極めて多い
  • 貝類(牡蠣・あさり等):銅源
  • チョコレート・ナッツ:犬には毒性、銅も含有
  • マルチビタミン剤の銅成分:成分表確認

銅含有量チェック表(食材別 mg/100g)

食材の銅量は mg/100g で並べると比較が容易です。日本食品標準成分表(参考値)を基に代表素材を整理しました。食事の銅・亜鉛バランスが肝銅濃度に影響することも報告されています[5]

カテゴリ素材例銅量(mg/100g 目安)銅制限犬での扱い
超低銅(活用しやすい)白米(炊飯)・鶏ささみ(茹で)0.10〜0.21 / 0.03主食・トッピングに使いやすい
低銅加熱卵白・茹でキャベツ約 0.02〜0.10少量・獣医師相談で活用可
中銅豚レバー0.99銅制限犬では避けたい
高銅(避けたい)牡蠣1.04銅制限犬では基本 NG
高銅(避けたい)アーモンド1.17毒性 + 銅両面で NG
超高銅(禁忌)牛レバー9.8銅蓄積素因犬は厳禁

※ 含有量は加工方法・産地で変動。獣医師処方の療法食を主軸にしてください。

SAMe・シリビンなど抗酸化サプリは活用する?

SAMe(S-アデノシルメチオニン)とシリビンは肝細胞保護への寄与が報告。獣医師相談で検討します。

Center 2005[7]では、SAMe をプレドニゾロン投与犬に併用したときの肝臓・全身への影響が評価され、肝細胞保護への寄与が報告されました。Center 2004[2]では、肝胆道疾患の管理における代謝・抗酸化・栄養素・プロバイオティクス・ハーブ療法の包括的レビューが示されています。シリビン(ミルクシスル由来)も抗酸化作用が注目されており、ACVIM コンセンサス[1]でも補助療法として言及があります。

肝臓病で避けたい食材と与えやすい食材は?

高銅・高脂質・添加物の多い食材は避け、白米・茹で鶏ささみ・卵白等は獣医師相談で活用可。

肝臓病で避けたい食材と与えやすい食材
避けたい食材(左)と肝臓ケアで配慮したい食材(右)。
避けたい食材具体例理由
レバー(内臓)牛・豚・鶏のレバー銅含有量が高い
貝類牡蠣・あさり・しじみ銅含有量が高め
脂質の多い肉バラ肉・霜降り・ベーコン消化負担と脂質代謝への影響
添加物の多いおやつ市販ジャーキー・着色料入り解毒負担を増やすリスク
チョコレート・ナッツカカオ製品・ピーナッツ等犬には毒性 + 銅含有
ぶどう・レーズン急性腎障害の中毒、絶対 NG

⚠️ 「絶対」と「強く避けたい」の使い分け

本記事で「絶対 NG」と表記しているのは、ブドウ・キシリトール・チョコレート・ネギ類・ユリ科植物などの毒性が確定している食材のみです。それ以外の食材は「強く避けたい/控えたい」と表現を分けています(playbook v0.9.2 §絶対表現ルール準拠)。

肝臓ケアで配慮したい食材(獣医師相談で)

  • 茹でた鶏ささみ・鶏むね肉(皮と脂身を除く):低脂質・高消化性
  • 白米・おかゆ:消化に優しいエネルギー源
  • 白身魚(タラ・カレイ等の茹で):低脂質のタンパク源
  • 無塩プレーンヨーグルト(少量):植物性以外の代替タンパクとして少量
  • 加熱した卵白(少量):脂質ほぼゼロの良質タンパク(卵黄は脂質が多いので避ける)
  • 茹でたかぼちゃ・薄切りりんご(少量):抗酸化作用が注目される自然食材

肝臓病の療法食 vs 手作り食、銅・脂質管理でどう判断する?

肝臓病では銅・亜鉛バランスと脂質量を一定に保つ難度が高く、療法食を主軸にする家庭が多いとされます。最終判断はかかりつけ獣医師との相談で。

肝臓病の療法食 / 補完 / 完全手作り 中立比較
肝臓病の食事 3 選択肢の中立比較(獣医師相談で判断)
選択肢メリット留意点
① 肝臓ケア療法食銅・タンパク質・脂質を精密設計。ACVIM コンセンサス[1]でも長期管理の中心と位置付けられています食いつきが下がる例があり、獣医師指示が前提
② 療法食 + 低銅・低脂質トッピング鶏ささみ・卵白等で食いつき改善レバー・貝類・脂質食材を含むトッピングは避ける
③ 完全手作り食食材アレルギー対応の柔軟性ボード認定獣医栄養学者の処方が必須。食事の銅・亜鉛バランスが肝銅濃度に直結すると報告され[5]、家庭での再現は容易でないとされます

移行は 7〜30 日で段階的に(25→50→75→100%)が一般的目安。汎用論や栄養素の不足リスクは手作りごはんの栄養リスクに集約しています。

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肝臓ケアで食欲が落ちたとき、脂質と銅を増やさず工夫するには?

肝臓ケアでは「脂質と銅を増やさない」を最優先に、温め・ふやかし・低脂質ウェット切替・少量頻回・低銅低脂質トッピングの 5 つを獣医師相談で組み合わせます。

肝臓病で食欲が落ちたときの 5 つの工夫
肝臓ケアの食欲低下時 5 つの工夫(獣医師相談で実施)。

肝臓ケアで食欲低下時の 5 つの工夫

  1. 温める:人肌程度(37〜38℃)で香りを引き出す
  2. ふやかす:ぬるま湯で消化負担を軽減
  3. 低脂質ウェット活用肝臓ケア療法食のウェットを混合し、消化負担を抑えながら水分も補給
  4. 少量頻回給餌:1 日量を 4〜5 回に分け、肝臓と消化器の負担を分散
  5. 低銅低脂質トッピング:白米・茹でた鶏ささみ(皮と脂身を除く)・加熱卵白少量。レバー・貝類・チーズ・人間用おすそ分けは絶対 NG(必ず獣医師相談)

⚠️ すぐに獣医師へ相談すべきサイン

食後に混乱・徘徊・舐め行動が増えた、繰り返す嘔吐、黄疸、腹部の膨らみは肝性脳症や肝不全進行の可能性があります。速やかに受診してください。

食欲低下の全般的な原因は食べないときの 6 つの原因と対処法へ。

肝性脳症のサインはどう気づく?

混乱・徘徊・舐め行動・痙攣・食後のぐったりは要注意。すぐ受診を。

肝性脳症は、肝臓が解毒できなかったアンモニアなどが脳に影響する状態です。食後数時間で混乱・徘徊・空中を見つめる・痙攣・舐め行動などが出たら速やかに動物病院を受診してください。タンパク質量の見直しと薬物療法(ラクツロース等)が必要になります。

WANPAKU 診断 4,161 回から見える、ALT 上昇前に出やすいシニア犬の悩み

食欲不振 20.9%・消化トラブル 26.6% は ALT 上昇に先行して出やすい悩み。早期の血液検査が予後を左右します。

WANPAKU 診断 4,161 回のうち、シニア犬飼い主(n=939)を集計すると、食欲不振 20.9%・消化トラブル 26.6% が肝臓病と関連する悩みとして上位に並びます。肝酵素上昇は無症状で見つかることも多く、これらの「うちの子の小さな変化」が ALT 上昇の早期サインになる場合があるとされます[1]

シニア犬(7 歳以上)の悩み ─ 肝臓病関連視点

※ WANPAKU 診断システム集計(n=939 シニア犬、2025年9月〜2026年5月

消化トラブル(肝関連サイン)
26.6%
体重管理
23.5%
食欲不振(肝関連サイン)
20.9%

📚 もっと深く:肝臓病に関連する話題を spoke 記事で

肝臓病の受診前に整理しておきたい銅・脂質・薬剤の項目は?

フード・体重・肝酵素推移に加え、レバー・貝類・人間のおすそ分け歴・服薬歴をまとめると診察がスムーズです。

家族のライフスタイル別の食事管理

  • 共働き世帯: 朝晩 2 回 + 昼の自動給餌器を活用、おやつのカロリー記録を家族で共有
  • 多頭飼い: 個別給餌で盗食防止(別室 or タイミング差し替え)。療法食の場合は特に厳格に
  • 留守番が長い家庭: 知育玩具で食事時間を延長、スローフィーダー活用
  • シニア犬: 食欲低下を毎日記録、24 時間以上食べない場合は受診

✅ 肝臓病 受診前チェックリスト

  • 現在の主食フード・1 日給与量・脂質と銅の含有量(乾物ベース %)。パッケージごと持参が理想
  • おやつ・サプリの内容と頻度(特に レバー・貝類・チーズ・マルチビタミン中の銅成分)
  • 体重の変化(過去 3 か月)、食欲・嘔吐・黄疸・食後の混乱や徘徊の有無
  • 過去の血液検査結果:ALT・AST・ALP・ビリルビン・胆汁酸(食前/食後)の推移表
  • 服用中の薬(ステロイド・てんかん薬・抗生剤・サプリ)
  • 家族の食卓からのおすそ分け頻度(チョコ・ナッツ・ぶどう接触歴を含む)

💰 治療費の目安(参考値)

  • 軽度(経過観察):3〜5 万円(血液検査・超音波・初期投薬)
  • 中等度(慢性管理):月 5,000〜15,000 円(療法食 + 投薬)
  • 重度(入院・肝生検・手術):10〜30 万円以上

※ 動物病院・地域・併発処置で大きく変わります。ペット保険対象も確認しましょう。

よくある質問

犬の肝臓病で食べてはいけないものは何ですか?

銅蓄積性肝炎では銅含有量の多いレバー・貝類・チョコレート・ナッツを避けます[3][4]。肝性脳症では高アンモニア食材(赤身肉の過剰摂取等)に注意。一般的には脂質の多い揚げ物・加工肉・添加物の多いおやつも避けたい食材です。ACVIM コンセンサス[1]を参考に、獣医師相談で食事を組み立てましょう。

犬の肝臓病の寿命や予後は?

疾患の種類・重症度で大きく異なります。急性肝炎で原因が除去できれば肝臓の再生能力により回復につながる可能性があります。慢性肝炎・肝硬変は完治は難しく、食事管理と薬物療法で進行を遅らせ QOL を維持するのが治療目標になります[1]。PSS(門脈シャント)は外科手術が選択肢。早期発見・継続的なモニタリングが予後を左右します。

肝臓病の犬に与えてもよいおやつは?

脂質と銅の少ない素材をごく少量、獣医師相談で。例:茹でた鶏ささみ少量、白米、無塩プレーンヨーグルト少量、薄切りりんご(少量・芯と種除く)、加熱した卵白少量。レバー・貝類・チョコレート・ナッツ・ぶどうは避けたい食材です。1 日のおやつカロリーは総摂取の 10% 以下を目安に。

ALT・AST・ALP の値はどう読めばいいですか?

ALT(肝細胞障害の代表マーカー)は肝細胞が壊れたとき血液中に出る酵素で、上昇は肝細胞ダメージを示唆します。AST は肝臓のほか筋肉・心筋にも存在。ALP(アルカリホスファターゼ)は胆汁うっ滞や薬剤性、副腎皮質機能亢進症でも上昇。ビリルビンが高ければ黄疸の評価が必要です。ACVIM コンセンサス[1]では血液検査単独で診断せず、超音波・肝生検と組み合わせて総合判断するとされます。

肝臓病の犬の銅制限は何犬種で気をつける?

ベドリントンテリア(遺伝的に銅蓄積)は古典的[4]、4,559 頭の肝生検データ[3]では 半数で銅 >400 ppm、19% で >1000 ppmと報告され、ラブラドール・ダルメシアン・ドーベルマン・ウエストハイランドホワイトテリア等でも銅蓄積が知られています。食事の銅・亜鉛バランスが肝臓銅濃度に影響することも報告されています[5]

SAMe(S-アデノシルメチオニン)やシリビンは肝臓に有効ですか?

Center 2005[7]では、SAMe をプレドニゾロン投与犬に併用したときの肝臓・全身への影響が評価され、肝細胞保護への寄与が報告されています。シリビン(ミルクシスル由来)も抗酸化作用が注目されており、ACVIM コンセンサス[1]でも補助療法として言及があります。サプリの種類・用量は必ず獣医師相談で決めてください。

肝臓病の犬に手作り食はOK?

完全な手作りは銅・タンパク質・脂質などの精密管理が難度高く、ボード認定獣医栄養学者の処方なしでは慎重な判断が求められます[1]。療法食 + 補完トッピングの形が現実的な選択肢になりやすいです。食事中の銅・亜鉛バランスが肝臓銅濃度に影響することも報告されており[5]、家庭での再現は容易ではありません。

フードの切り替え期間はどれくらい?

目安は 7〜30 日。1〜3 日目は新フード 25%+現行 75%、4〜7 日目は 50% ずつ、8〜14 日目は新フード 75%、15 日目以降は完全切替。食欲低下や嘔吐が出たら一段階戻して 2〜3 日様子を見ましょう。肝臓病では食欲低下が QOL に直結するため、ゆっくり進めることが重要です。

まとめ

犬の肝臓病の食事は、「ALT 等の肝酵素を超音波・生検と組み合わせて総合判断する」「銅制限は犬種素因と肝生検結果で個別判断」「SAMe・シリビン等の抗酸化サプリを獣医師相談で活用」「療法食を中心にレバー・貝類・脂質の多い食材を避ける」が土台です。ACVIM コンセンサス[1]を参考に、獣医師との連携で長期管理を進めましょう。

4,559 頭の肝生検データ[3]が示すように、銅蓄積はベドリントン以外の多くの犬種でも見られる重要なリスクです。早期発見と継続的なモニタリングで、進行を抑える管理を目指しましょう。

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参考文献を表示(全 8 件)
  1. Webster CRL, Center SA, Cullen JM, et al. "ACVIM consensus statement on the diagnosis and treatment of chronic hepatitis in dogs." J Vet Intern Med. 2019;33(3):1173-1200. doi:10.1111/jvim.15467
  2. Center SA. "Metabolic, antioxidant, nutraceutical, probiotic, and herbal therapies relating to the management of hepatobiliary disorders." Vet Clin North Am Small Anim Pract. 2004;34(1):67-172.
  3. Center SA, Richter KP, Twedt DC, et al. "Demographic and histopathologic features of dogs with abnormally high concentrations of hepatic copper." J Vet Intern Med. 2022;36(6):2016-2027. doi:10.1111/jvim.16580
  4. Twedt DC, Sternlieb I, Gilbertson SR. "Clinical, morphologic, and chemical studies on copper toxicosis of Bedlington Terriers." J Am Vet Med Assoc. 1979;175(3):269-275.
  5. Fieten H, Hooijer-Nouwens BD, Biourge VC, et al. "Association of dietary copper and zinc levels with hepatic copper and zinc concentration in Labrador Retrievers." J Vet Intern Med. 2014;28(3):822-827. doi:10.1111/jvim.12342
  6. National Research Council (NRC). "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." Washington, DC: National Academies Press; 2006.
  7. Center SA, Warner KL, McCabe J, Foureman P, Hoffmann WE, Erb HN. "Evaluation of the influence of S-adenosylmethionine on systemic and hepatic effects of prednisolone in dogs." Am J Vet Res. 2005;66(2):330-341. doi:10.2460/ajvr.2005.66.330
  8. World Small Animal Veterinary Association (WSAVA) Liver Standardization Group. "WSAVA Standards for Clinical and Histological Diagnosis of Canine and Feline Liver Diseases." 2006.