犬に卵は大丈夫?生卵と加熱の違い・1日の適量を解説

犬に卵を与えても大丈夫?生卵と加熱の違い・適量を解説

この記事の結論

犬に卵は「加熱すれば安全」。研究データに基づく5つのポイントをまとめました。

  • 結論:加熱した卵はOK - 卵はASPCAの有毒食品リストに含まれておらず、加熱調理すれば犬に安全な食品です[5]
  • 生卵はリスクあり - 生卵にはサルモネラ菌の感染リスクと、ビオチン吸収を阻害するアビジンが含まれるため、必ず加熱してから与えましょう[2]
  • 栄養面のメリット - 卵は「完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養豊富。良質なタンパク質(12.6g/100g)、ビタミンA・D・B群、必須アミノ酸をバランスよく含みます[1]
  • 体重別の適量 - 小型犬(5kg)で卵1/3個/日、中型犬(10kg)で1/2個/日。1日の総カロリーの10%以内が目安
  • 油・調味料はNG - ゆで卵やスクランブルエッグは油や塩などの調味料を使わずに調理すること

体重別の適量目安と安全な与え方を、下記で詳しく解説しています

「卵を調理していたら愛犬が興味津々…犬に卵をあげても大丈夫なのかな?」そんな疑問を持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、加熱した卵は犬に安全な食品です。ASPCA(米国動物虐待防止協会)の有毒食品リストにも卵は含まれていません[5]。卵は「完全栄養食品」とも呼ばれるほど栄養バランスに優れており、犬の健康にも多くのメリットがあります。

ただし、生卵にはサルモネラ菌やアビジンといったリスクがあるため、必ず加熱して与えることが大切です。この記事では、研究データに基づいて、犬に卵を与える際の適量・生卵と加熱卵の違い・注意点を詳しく解説します。

卵の栄養素と犬への効果

「完全栄養食品」としての卵

卵はビタミンCと食物繊維を除く、ほぼすべての栄養素を含む食品として知られています。犬に必要な必須アミノ酸10種をすべて含んでおり、タンパク質の質を示すアミノ酸スコアは100(満点)です。NRC(米国学術研究会議)の「犬と猫の栄養素要求量」でも、卵は犬にとって消化吸収率の高い優れたタンパク質源として位置づけられています[3]

ゆで卵に含まれる主な栄養素

USDA(米国農務省)のFoodData Centralによると、ゆで卵(固ゆで)100gあたりの栄養成分は以下のとおりです[1]

栄養素100gあたりの含有量犬への期待効果
エネルギー155kcal効率のよいエネルギー補給
タンパク質12.6g筋肉・被毛・皮膚の維持
脂質10.6gエネルギー源・脂溶性ビタミンの吸収
ビタミンA149μg(RAE)視力・免疫機能・皮膚の健康
ビタミンD2.2μgカルシウム吸収の促進・骨の健康
ビタミンB121.11μg神経機能・赤血球の生成
セレン30.7μg抗酸化作用・甲状腺機能のサポート
コリン294mg脳の発達・肝機能のサポート

タンパク質:筋肉と被毛の健康をサポート

卵のタンパク質は犬にとって消化吸収率が非常に高い(約95%)ことが特徴です[3]。タンパク質は犬の筋肉量の維持だけでなく、被毛の艶や皮膚のバリア機能にも不可欠な栄養素です。特にシニア犬の筋力低下予防や、被毛トラブルを抱える犬にとって、卵は優れたタンパク質補給源になります。

ドッグフードのタンパク質源について詳しく知りたい方は、ドッグフードのタンパク質比較ガイドもあわせてご覧ください。

ビタミンA・D:免疫と骨の健康に

卵黄に豊富に含まれるビタミンAは、犬の視力・免疫機能・皮膚の健康維持に重要な役割を果たします。また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨や歯の形成に不可欠です[3]。犬はビタミンDを日光浴で合成する能力が低いため、食事からの摂取が重要です。

コリン:脳と肝臓をサポート

卵はコリンの最も優れた食品源のひとつです。コリンは犬の脳の発達や認知機能の維持、さらに肝臓の脂肪代謝に深く関わっています。特に成長期の子犬やシニア犬の認知機能低下予防に役立つ栄養素です。

卵の栄養まとめ

卵は良質なタンパク質、必須アミノ酸、ビタミンA・D・B群、コリン、セレンなど、犬の健康に有益な栄養素を幅広く含んでいます。ぶどうやレーズン、玉ねぎ、チョコレートのように犬に有毒な成分は含まれていません[2]。ただし、脂質やカロリーもそれなりに含むため、あくまで「おやつ・トッピング」として適量を与えましょう。犬に与えてはいけない食べ物も確認しておくと安心です。

生卵 vs 加熱卵の違い

卵を犬に与える際、最も重要なのは「生」か「加熱済み」かの違いです。結論として、犬に与える卵は必ず加熱してください。

生卵のリスク1:サルモネラ菌

生卵の最大のリスクはサルモネラ菌による食中毒です。サルモネラ菌は卵殻の表面だけでなく、卵の内部にも存在する可能性があります。犬がサルモネラ菌に感染すると、嘔吐、下痢(血便を含む場合あり)、発熱、食欲不振、腹痛、無気力などの症状が現れることがあります。

Cortinovis & Caloni(2016)の研究でも、犬に対する生の動物性食品のリスクとして、サルモネラ菌を含む細菌汚染の問題が指摘されています[2]

生卵のリスク2:アビジン(ビオチン吸収阻害)

生の卵白には「アビジン」というタンパク質が含まれています。アビジンはビタミンB群の一種であるビオチン(ビタミンB7)と強く結合し、腸からのビオチン吸収を阻害します。

ビオチンは犬の皮膚や被毛の健康に欠かせない栄養素です。生卵白を長期間にわたって大量に与え続けると、ビオチン欠乏症を引き起こし、皮膚炎、被毛の劣化、成長障害などの症状が出る可能性があります[3]

加熱でリスクは解消される

良いニュースは、加熱調理によって上記のリスクはどちらも解消されるという点です。

  • サルモネラ菌:70℃以上で1分以上加熱すれば死滅します。しっかり火を通したゆで卵やスクランブルエッグであれば安全です。
  • アビジン:加熱によりタンパク質構造が変性し、ビオチンとの結合能力を失います。つまり、加熱した卵白にはアビジンの問題はありません
項目生卵加熱卵(ゆで卵等)
サルモネラ菌リスクありなし(加熱で死滅)
アビジンの影響あり(ビオチン吸収阻害)なし(加熱で不活性化)
タンパク質の消化率約50%約91〜95%
犬への推奨度非推奨推奨

生卵は犬に与えないでください

生卵にはサルモネラ菌感染のリスクとアビジンによるビオチン吸収阻害のリスクがあります。卵は必ず十分に加熱してから犬に与えましょう。半熟卵も中心部が十分に加熱されていない可能性があるため、固ゆで卵やしっかり火を通したスクランブルエッグが安心です。

体重別の適量目安

「1日の総カロリーの10%以内」が基本ルール

犬のおやつの適量は、1日の総摂取カロリーの10%以内が推奨されています[3]。ゆで卵1個(約50g)あたり約77kcalなので、体重ごとの目安量を下表にまとめました。

体重1日の必要カロリー目安おやつ上限(10%)卵の適量(目安)
3kg(超小型犬)約200kcal約20kcal約1/4個
5kg(小型犬)約300kcal約30kcal約1/3個
10kg(中型犬)約500kcal約50kcal約1/2個
20kg(大型犬)約900kcal約90kcal約1個
30kg(大型犬)約1,200kcal約120kcal約1.5個

※上記は避妊・去勢済みの成犬が標準的な活動量の場合の目安です。子犬やシニア犬、持病のある犬は個別に調整が必要です。愛犬の正確なカロリー計算については小型犬のカロリー計算ガイドも参考にしてください。

与えすぎのサイン

  • 軟便・下痢:脂質の過剰摂取による消化不良
  • 嘔吐:一度に大量に食べた場合に起こりやすい
  • 体重増加:卵は100gあたり155kcalとカロリーが高めです

これらの症状が見られたら、卵の量を減らすか、一時的に中止して様子を見ましょう。

卵の与え方

1. ゆで卵(最もおすすめ)

ゆで卵は犬に卵を与える最も安全でシンプルな方法です。油や調味料を一切使わず、サルモネラ菌もアビジンも完全に不活性化できます。

  • 沸騰したお湯で10〜12分しっかりゆでる(固ゆで推奨)
  • 完全に冷ましてから殻をむく
  • 愛犬の体格に合わせて小さくカットまたはつぶして与える
  • 特に小型犬は喉に詰まらせないよう、細かく刻むこと

2. スクランブルエッグ(油・調味料なし)

スクランブルエッグは食感が柔らかく、シニア犬や子犬にも食べやすい調理法です。ただし、必ず油・バター・塩・胡椒などの調味料なしで調理してください。

  • テフロン加工のフライパンを使えば油なしでも調理可能
  • 弱火でゆっくりかき混ぜながら、しっかり火を通す
  • 人間用に味付けしたスクランブルエッグは絶対に与えない

3. 卵黄のみ

アビジンは卵白に含まれるため、加熱した卵黄だけを与える方法もあります。卵黄にはビタミンA、D、コリンなどの栄養素が集中しているため、少量でも栄養価が高い与え方です。ゆで卵の黄身だけを取り出して、フードにトッピングするのもおすすめです。

トッピングの工夫についてはドッグフードのトッピングガイドに詳しくまとめています。

4. 薄焼き卵(油なし)

テフロン加工のフライパンで油を使わずに薄く焼く方法も有効です。焼いた後に小さくカットすれば、手作りトレーニングトリーツとしても活用できます。

卵を与えるときのチェックリスト

  • 十分に加熱したか(生・半熟はNG)
  • 油・バター・調味料を使っていないか
  • 愛犬の体格に合ったサイズにカットしたか
  • 1日のおやつカロリーの範囲内か
  • 初めての場合、少量からスタートしているか

こんな犬には注意

卵は多くの犬に安全な食品ですが、以下に該当する犬には与えないか、かかりつけの動物病院に相談してからにしましょう。

膵炎の犬・膵炎の既往歴がある犬

卵は100gあたり脂質約10.6gを含みます。膵炎の犬は脂質を制限する必要があるため、卵(特に卵黄)は膵炎の悪化を招くリスクがあります。膵炎と診断されている犬や、過去に膵炎を発症したことがある犬には、卵を避けるか、与える場合は卵白のみにして必ず獣医師に相談してください。

卵アレルギーの犬

犬にも卵アレルギーは存在します。卵は犬の食物アレルギーの原因として報告されている食品のひとつです。初めて卵を与えた後に、皮膚のかゆみ、発赤、嘔吐、下痢、耳の炎症などの症状が見られた場合は、卵アレルギーの可能性があります。食物アレルギーについて詳しくは犬のアレルギー完全ガイドをご覧ください。

肥満・ダイエット中の犬

卵は100gあたり155kcalと、おやつとしてはカロリーが高めの食品です。カロリー制限中の犬には、卵の量を通常よりもさらに少なくするか、卵白のみ(約17kcal/個)にするなどの工夫が必要です。

卵を控えるべき犬

  • 膵炎・膵炎の既往:脂質が膵臓に負担をかける
  • 卵アレルギー:皮膚症状や消化器症状に注意
  • 肥満・ダイエット中:カロリーオーバーの原因に
  • 腎臓病:タンパク質制限が必要な場合がある
  • 消化器が弱い犬:脂質による軟便・下痢に注意

よくある質問

犬に卵を毎日あげても大丈夫ですか?

健康な成犬であれば、加熱した卵を毎日少量与えること自体は問題ありません。ただし、卵1個(約50g)あたり約77kcal・脂質約5.3gを含むため、おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内が目安です。体重5kgの小型犬であれば1日に卵1/3個程度が適量です。毎日与える場合は、その分ほかのおやつを控えるか、主食のフード量を調整しましょう。

卵の殻は犬に食べさせても大丈夫ですか?

卵の殻はカルシウムの補給源として与えること自体は可能ですが、注意が必要です。殻の鋭い破片が口腔内や消化管を傷つけるリスクがあるため、与える場合は殻をよく洗い、しっかり加熱してからミルやすり鉢で細かいパウダー状にしてください。ただし、総合栄養食のドッグフードを主食にしている場合、カルシウムは十分摂取できているため、殻をあえて与える必要はありません。カルシウムの過剰摂取は逆に健康を害する可能性があります[4]。フードの種類について知りたい方はドッグフードの種類ガイドも参考にしてください。

犬が生卵をなめてしまいました。大丈夫ですか?

少量なめた程度であれば、多くの場合は大きな問題にはなりません。ただし、生卵にはサルモネラ菌が含まれている可能性があるため、なめた後24〜72時間は下痢、嘔吐、発熱、食欲不振などの症状がないか注意して観察してください。これらの症状が見られた場合は、速やかに動物病院を受診してください。特に子犬やシニア犬、免疫力が低下している犬は注意が必要です。

うずらの卵は犬に与えても大丈夫ですか?

うずらの卵も加熱すれば犬に与えることができます。うずらの卵は鶏卵と比べて1個あたりのサイズが小さく(約10g)、カロリーも約18kcalと控えめなので、小型犬のおやつとして量の調整がしやすいメリットがあります。鶏卵と同様に必ず加熱してから与え、生のまま与えないようにしましょう。初めて与えるときは少量から始めて、アレルギー反応がないか観察してください。

まとめ

卵は犬にとって非常に栄養価の高い食品であり、良質なタンパク質(アミノ酸スコア100)、ビタミンA・D・B群、コリン、セレンなど、犬の健康に有益な栄養素を豊富に含んでいます[1]。ASPCAの有毒食品リストにも含まれておらず、適量であれば健康的なおやつ・トッピングになります[5]

最も重要なポイントは「必ず加熱してから与える」ことです。生卵にはサルモネラ菌のリスクと、アビジンによるビオチン吸収阻害のリスクがあります[2]。ゆで卵やスクランブルエッグ(油・調味料なし)など、しっかり加熱した卵を与えてください。

体重5kgの小型犬で1日1/3個程度を目安に、膵炎・卵アレルギー・肥満のある犬には控えるか、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。愛犬の体質や体調に合わせて、卵を安全で栄養豊富なおやつとして取り入れてみてください。

参考文献を表示(全5件)
  1. USDA FoodData Central. "Egg, whole, cooked, hard-boiled." FDC ID: 173424.
  2. Cortinovis C, Caloni F. "Household Food Items Toxic to Dogs and Cats." Front Vet Sci. 2016;3:26. DOI: 10.3389/fvets.2016.00026
  3. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006.
  4. Dillitzer N, Becker N, Kienzle E. "Intake of minerals, trace elements and vitamins in bone and raw food rations in adult dogs." Br J Nutr. 2011;106 Suppl 1:S53-6. DOI: 10.1017/S0007114511002765
  5. ASPCA Animal Poison Control Center. "People Foods to Avoid Feeding Your Pets."

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