犬にヨーグルトは大丈夫?乳酸菌の効果と正しい与え方

犬にヨーグルトを与えても大丈夫?乳酸菌の効果と安全な選び方を解説

この記事の結論

犬にヨーグルトは「無糖プレーンなら少量OK」。研究データに基づく5つのポイントをまとめました。

  • 結論:無糖プレーンなら食べてOK - ヨーグルトはASPCAの有毒食品リストに含まれておらず、無糖プレーンであれば犬に安全です[1]
  • 乳酸菌のメリット - プロバイオティクスが腸内フローラを改善し、下痢の軽減や免疫力向上に寄与することが研究で示されています[4]
  • 栄養面の利点 - タンパク質(5.3g/100g)、カルシウム(183mg/100g)が豊富で、骨や筋肉の健康をサポート[2]
  • キシリトール入りは絶対NG - 人工甘味料キシリトールは犬に有毒で、低血糖や肝不全を引き起こす危険があります[1]
  • 乳糖不耐症に注意 - ヨーグルトは発酵で乳糖が一部分解されるため牛乳より安全ですが、個体差があるため少量から試すこと

体重別の適量目安と安全なヨーグルトの選び方を、下記で詳しく解説しています

「ヨーグルトを食べていたら愛犬がおねだりしてきた。犬にあげても大丈夫なのかな...?」そんな疑問を持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、無糖プレーンヨーグルトであれば、犬に少量与えても安全です。ASPCA(米国動物虐待防止協会)の有毒食品リストにもヨーグルト自体は含まれていません[1]

さらに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌(プロバイオティクス)は、犬の腸内環境を整える効果が研究で報告されています[4]。ただし、選び方を間違えると健康被害につながるケースも。この記事では、研究データに基づいて、犬にヨーグルトを与える際の正しい選び方・適量・注意点を詳しく解説します。

ヨーグルトの栄養素と犬への効果

ヨーグルトに含まれる主な栄養素

USDA(米国農務省)のFoodData Centralによると、プレーン低脂肪ヨーグルト100gあたりの栄養成分は以下のとおりです[2]

栄養素100gあたりの含有量犬への期待効果
エネルギー63kcal低カロリーなおやつとして活用
タンパク質5.3g筋肉の維持・修復
カルシウム183mg骨や歯の健康維持
リン144mg骨の形成・エネルギー代謝
ビタミンB120.56μg神経機能の維持・赤血球の生成
カリウム234mg筋肉・心臓機能の維持
乳糖約4g(発酵で一部分解)(乳糖不耐症の犬は注意)

タンパク質とカルシウム:体の基盤を支える

ヨーグルトは良質なタンパク質とカルシウムを同時に摂取できる食品です。NRC(米国学術研究会議)の「犬と猫の栄養素要求量」によると、成犬は体重1kgあたり約1日1gのタンパク質を最低限必要とし、カルシウムも骨格の維持に欠かせないミネラルとされています[3]

主食の総合栄養食で基本的な栄養は十分まかなえますが、ヨーグルトを少量のおやつとして加えることで、タンパク質とカルシウムの自然な補給が期待できます。特にシニア犬では、骨密度の維持にカルシウム補給が役立つ場合があります。

プロバイオティクス:腸内環境を整える乳酸菌の力

ヨーグルトの最大の特長は、生きた乳酸菌(プロバイオティクス)を含んでいることです。プロバイオティクスとは、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを改善する微生物のことを指します。

Bybee SNらの研究(2011)では、プロバイオティクスの一種であるEnterococcus faecium SF68を投与された犬において、下痢の発生率が有意に低下したことが報告されています[4]。また、Schmitz & Suchodolski(2016)のレビュー論文では、犬の腸内細菌叢がプロバイオティクスやプレバイオティクスによって有益に変化しうることが示されており、消化器の健康維持や免疫機能のサポートにつながる可能性が指摘されています[5]

ただし、市販のヨーグルトに含まれる菌の量や種類は製品によって異なります。「プロバイオティクス効果」を過度に期待するのではなく、あくまで腸内環境を穏やかにサポートするおやつとして位置づけるのが適切です。消化器の健康が気になる飼い主さんは、小型犬の消化器ケアフード比較も参考にしてください。

ヨーグルトの栄養まとめ

ヨーグルトはタンパク質・カルシウム・プロバイオティクスを含み、犬の健康をサポートする栄養素が豊富です。ぶどうやチョコレートのように犬に有毒な成分は含まれていません[1]。ただし、必ず無糖プレーンを選び、あくまで「おやつ」として適量を与えましょう。

犬に安全なヨーグルトの選び方

1. 無糖プレーンヨーグルトが必須

犬に与えるヨーグルトは、必ず無糖・プレーンタイプを選んでください。加糖ヨーグルトやフルーツ入りヨーグルトは、砂糖が多く含まれており、犬の肥満や歯周病の原因になります。フレーバーヨーグルトには犬に不要な添加物が含まれていることもあるため、余計な成分が入っていないシンプルなプレーンタイプが安心です。

2. キシリトール含有製品は絶対NG

これがヨーグルト選びで最も重要なポイントです。近年、「砂糖不使用」「カロリーオフ」をうたうヨーグルトの中に、人工甘味料のキシリトールが使われている製品があります。

キシリトールは犬にとって極めて危険な物質です。犬がキシリトールを摂取すると、急激なインスリン分泌が起こり、重篤な低血糖を引き起こします。さらに大量摂取では肝不全に至るケースも報告されています[1]。ヨーグルトを購入する際は、必ず原材料表示を確認し、キシリトール(xylitol)が含まれていないことを確かめてください。犬に危険な食べ物の詳細は犬に危険な食べ物一覧でも解説しています。

キシリトール中毒の主な症状

  • 嘔吐:摂取後30分〜数時間以内に発症
  • 脱力・ふらつき:低血糖による症状
  • 痙攣・意識障害:重症の場合
  • 肝不全:大量摂取の場合、72時間以内に発症する可能性

キシリトールを含む製品を犬が摂取した場合は、量に関わらず速やかに動物病院を受診してください。

3. 低脂肪タイプが無難

全脂肪ヨーグルトは脂質が高く(約3.3g/100g)、犬の消化器官に負担をかけやすいほか、膵炎のリスクがある犬には脂質の多い食品は禁忌です。低脂肪ヨーグルト(約1.5g/100g)であれば脂質を抑えながら、タンパク質やカルシウム、乳酸菌の恩恵を受けられます。

4. ギリシャヨーグルトは高タンパクでおすすめ

ギリシャヨーグルト(水切りヨーグルト)は、通常のヨーグルトに比べてタンパク質が約2倍(約10g/100g)含まれ、逆に乳糖は水切り工程で一部除去されるため、乳糖が少なめという利点があります。

無糖プレーンのギリシャヨーグルトは、タンパク質を効率よく補給しつつ乳糖の心配も少ないため、犬におやつとして与えるのに適した選択肢です。ただし、脂質が高い製品もあるため、なるべく低脂肪タイプを選びましょう。

犬に安全なヨーグルト選びのチェックリスト

  • 無糖・プレーンタイプであるか
  • 原材料にキシリトール(xylitol)が含まれていないか
  • 低脂肪タイプであるか
  • フルーツ・フレーバー・着色料が添加されていないか
  • 生きた乳酸菌(「生菌」「プロバイオティクス」)が含まれているか

体重別の適量目安

「1日の総カロリーの10%以内」が基本ルール

犬のおやつの適量は、1日の総摂取カロリーの10%以内が推奨されています[3]。プレーン低脂肪ヨーグルトは100gあたり約63kcalなので、バナナ(89kcal/100g)やチーズ(約300kcal/100g)と比べて比較的低カロリーです。体重ごとの目安量を下表にまとめました。

体重1日の必要カロリー目安おやつ上限(10%)ヨーグルトの適量(目安)
3kg(超小型犬)約200kcal約20kcal約30g(大さじ2)
5kg(小型犬)約300kcal約30kcal約45g(大さじ3)
10kg(中型犬)約500kcal約50kcal約80g(大さじ5)
20kg(大型犬)約900kcal約90kcal約140g(約3/4カップ)
30kg(大型犬)約1,200kcal約120kcal約190g(約1カップ)

※上記は避妊・去勢済みの成犬が標準的な活動量の場合の目安です。子犬やシニア犬、持病のある犬は個別に調整が必要です。愛犬の正確なカロリー計算については小型犬のカロリー計算ガイドも参考にしてください。

ただし、上記は「カロリーだけで見た上限」であり、初めて与える場合や乳製品に慣れていない犬は、上限の半分以下からスタートすることをおすすめします。乳糖による消化器トラブルが起きないか、少量で様子を見てから徐々に増やしましょう。

与えすぎのサイン

  • 軟便・下痢:乳糖や脂質の過剰摂取による消化不良
  • おなかの張り・ガス:乳糖が腸内で発酵して生じるガスが原因
  • 嘔吐:一度に大量に食べた場合に起こりやすい
  • 体重増加:継続的に与えすぎた場合、肥満につながる

これらの症状が見られたら、ヨーグルトの量を減らすか、一時的に中止して様子を見ましょう。

乳糖不耐症とヨーグルトの関係

犬は乳糖の分解が苦手

多くの成犬は、乳糖(ラクトース)を分解する酵素「ラクターゼ」の分泌量が子犬期に比べて減少しています。そのため、乳糖を多く含む牛乳を飲むと、消化しきれない乳糖が大腸に到達し、下痢・腹部膨満・ガスなどの消化器症状を引き起こすことがあります。

これが「犬に牛乳をあげてはいけない」と言われる理由であり、多くの飼い主さんが乳製品全般に不安を感じる原因です。

ヨーグルトは牛乳より乳糖が少ない

しかし、ヨーグルトは牛乳とは事情が異なります。ヨーグルトは発酵の過程で乳酸菌が乳糖の20〜30%を分解するため、牛乳(乳糖約5g/100g)に比べてヨーグルト(乳糖約4g/100g)は乳糖の含有量が少なくなっています。

さらに、ヨーグルトに含まれる乳酸菌自体が腸内でも乳糖の分解を助けるため、牛乳を飲むとお腹を壊す犬でも、ヨーグルトなら問題ないケースが少なくありません

それでも個体差がある

とはいえ、乳糖不耐症の程度には大きな個体差があります。ヨーグルトの少量(小さじ1杯程度)でもお腹を壊してしまう犬もいます。初めてヨーグルトを与える際は、ごく少量から始めて24時間は便の状態を観察してください。

軟便や下痢が見られる場合は、その犬にはヨーグルトが合わない可能性があります。無理に与える必要はなく、乳酸菌を摂取させたい場合は犬用のプロバイオティクスサプリメントという選択肢もあります。同じ乳製品でも犬にチーズを与える場合は、ヨーグルトとは注意点が異なるため、あわせてご確認ください。

牛乳 vs ヨーグルト:犬にとっての違い

  • 牛乳:乳糖が約5g/100gと多く、多くの成犬で下痢の原因に
  • ヨーグルト:発酵で乳糖が一部分解(約4g/100g)、乳酸菌が消化を助ける
  • ギリシャヨーグルト:水切り工程でさらに乳糖が減少、より安心

いずれの場合も、初めて与える際は少量からスタートしましょう。

こんな犬にはヨーグルトを控えて

ヨーグルトは多くの犬に安全な食品ですが、以下に該当する犬には与えないか、かかりつけの動物病院に相談してからにしましょう。

乳製品アレルギーの犬

乳製品(カゼインやホエイタンパク質)にアレルギーを持つ犬には、ヨーグルトを与えるべきではありません。食物アレルギーの症状としては、皮膚のかゆみ・発赤、嘔吐、下痢、耳の炎症などが挙げられます。乳製品を含むアレルギー対策について詳しくは犬のアレルギー完全ガイドをご覧ください。

膵炎の犬

膵炎の犬は脂質の摂取を厳しく制限する必要があります。低脂肪ヨーグルトでも脂質を含んでいるため、膵炎の既往歴がある犬には注意が必要です。必ず獣医師に相談してから与えてください。

肥満・体重管理中の犬

ヨーグルトは比較的低カロリーですが、おやつの合計カロリーが1日の摂取量の10%を超えないよう管理が必要です。すでにほかのおやつを与えている場合は、その分ヨーグルトの量を減らしましょう。体重管理の詳しい方法は犬の体重管理ガイドを参考にしてください。

ヨーグルトを控えるべき犬

  • 乳製品アレルギー:カゼイン・ホエイへのアレルギー反応
  • 膵炎:脂質制限が必要なため、少量でも注意
  • 肥満・ダイエット中:カロリーオーバーの原因に
  • 重度の乳糖不耐症:少量のヨーグルトでも消化不良を起こす犬
  • 消化器疾患の治療中:獣医師の指示なく新しい食品を追加しない

よくある質問

犬にヨーグルトを毎日あげても大丈夫ですか?

毎日少量を与えること自体は問題ありません。プレーン無糖ヨーグルトであれば、100gあたり約63kcalと比較的低カロリーです。おやつは1日の総摂取カロリーの10%以内が目安とされており、体重5kgの小型犬であれば1日小さじ2〜大さじ1程度が適量です。毎日与える場合は、便の状態を観察し、軟便や下痢が見られたら量を減らすか中止してください。毎日の腸活として乳酸菌を継続的に摂取させたい場合は、少量を習慣にするのがおすすめです。

犬に飲むヨーグルトをあげても大丈夫ですか?

飲むヨーグルトは基本的に避けるべきです。市販の飲むヨーグルトには砂糖や人工甘味料が添加されていることがほとんどです。特にキシリトール入りの製品は犬に有毒で、低血糖や肝不全を引き起こす危険があります[1]。どうしても液状で与えたい場合は、無糖プレーンヨーグルトを少量の水で薄めて使いましょう。

市販の犬用ヨーグルトと人間用の違いは何ですか?

犬用ヨーグルトは乳糖を低減し、犬に有害な甘味料を使用していない点が人間用との主な違いです。また、犬用には犬の腸内環境に適したプロバイオティクス菌株が使われていることもあります。ただし、人間用でも無糖プレーンヨーグルトであれば犬に与えることが可能です。発酵の過程で乳糖の一部が分解されるため、牛乳よりは消化しやすくなっています。価格面では人間用のほうが手頃なことが多いため、無糖プレーンであれば人間用でも十分です。

ヨーグルトで薬を飲ませても大丈夫ですか?

少量のプレーンヨーグルトに薬を混ぜて与えることは一般的に可能です。ヨーグルトの風味が薬の味を隠してくれるため、投薬を嫌がる犬には有効な方法です。ただし、一部の抗生物質(テトラサイクリン系など)はカルシウムと結合して吸収が阻害される場合があります。薬をヨーグルトと一緒に与えてよいかは、必ず事前にかかりつけの獣医師に確認してください。

まとめ

ヨーグルトは犬にとって安全な食品であり、タンパク質・カルシウム・プロバイオティクス(乳酸菌)など有用な栄養素を含んでいます[2]。研究データからも、プロバイオティクスが犬の腸内環境を改善し、下痢の軽減に寄与することが示されています[4][5]

ただし、与える際は必ず無糖プレーンタイプを選び、キシリトール含有製品は絶対に避けてください[1]。乳糖不耐症の程度には個体差があるため、初めて与える場合は少量からスタートし、便の状態を観察することが大切です。体重5kgの小型犬で1日小さじ2〜大さじ1程度を目安に、低脂肪・無糖のプレーンヨーグルトを選びましょう。

乳製品アレルギー・膵炎・肥満の犬には控えるか、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。愛犬の体質に合わせて、ヨーグルトを安全で健康的なおやつに取り入れてみてください。フードのトッピングとしてヨーグルトを活用する方法は、ドッグフードのトッピングガイドでも紹介しています。

参考文献を表示(全5件)
  1. ASPCA Animal Poison Control. "People Foods to Avoid Feeding Your Pets."
  2. USDA FoodData Central. "Yogurt, plain, low fat." FDC ID: 171284.
  3. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006.
  4. Bybee SN, Scorza AV, Lappin MR. "Effect of the probiotic Enterococcus faecium SF68 on presence of diarrhea in cats and dogs housed in an animal shelter." J Vet Intern Med. 2011;25(4):856-860. DOI: 10.1111/j.1939-1676.2011.0738.x
  5. Schmitz S, Suchodolski J. "Understanding the canine intestinal microbiota and its modification by pro-, pre- and synbiotics - what is the evidence?" Vet Med Sci. 2016;2(2):71-94. DOI: 10.1002/vms3.17

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