ペットショップやオンラインストアでドッグフードを手に取ったとき、パッケージの裏面にびっしりと並ぶ原材料名や数値を見て、「結局どれを選べばいいの?」と途方に暮れた経験はありませんか?
ドッグフードのラベルには、愛犬の健康に直結する重要な情報が詰まっています。しかし、その読み方を体系的に学ぶ機会はほとんどなく、多くの飼い主さんがパッケージの「イメージ」や広告コピーだけでフードを選んでいるのが実情です[2]。
WANPAKUでは111商品のドッグフードデータベースを独自に構築・分析しており、この記事ではその知見と査読付き論文の研究データに基づいて、ドッグフードのラベルを正しく読み解くための完全ガイドをお届けします。この記事を読めば、原材料表示の裏に隠されたルール、保証成分値の本当の意味、そしてマーケティング用語に惑わされない選び方が身につきます。
この記事の位置づけ
本記事は研究データに基づく情報提供を目的としています。個々の犬の健康状態や栄養ニーズに合ったフード選びについては、かかりつけの獣医師にご相談ください。
ドッグフードラベルの基本構成
日本で販売されるドッグフードのパッケージには、ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)に基づき、以下の項目を表示する義務があります[6]。まずは全体像を把握しましょう。
法定表示義務のある6項目
| 表示項目 | 内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| 1. 名称 | 犬用・猫用の区分とフードの種類 | 「犬用」であることを必ず確認。猫用フードは犬に不適切 |
| 2. 原材料名 | 使用されたすべての原材料と添加物 | 重量順に記載。最初の5つが特に重要 |
| 3. 賞味期限 | 未開封状態での品質保持期限 | 開封後は1か月以内が目安。ウェットは当日中 |
| 4. 原産国名 | 最終加工(製造)が行われた国 | 原材料の産地とは異なる点に注意 |
| 5. 事業者名・住所 | 製造者または輸入者の情報 | 問い合わせ先として確認 |
| 6. ペットフードの目的 | 総合栄養食・一般食・おやつ等の区分 | 主食にするなら「総合栄養食」が必須 |
これらに加えて、多くのメーカーは保証成分値(粗タンパク質、粗脂肪など)、給餌量の目安、カロリーを任意で表示しています。WANPAKUの111商品データベースの分析では、国内流通の小型犬向けドッグフードの約95%が保証成分値を表示していました。
ラベルを読む順番のコツ
ラベルの情報量は多いですが、以下の順番でチェックすると効率的にフードの品質を判断できます。
- ペットフードの目的 -- 「総合栄養食」であることを最初に確認
- 原材料名の先頭3〜5項目 -- 主原料が良質な動物性タンパク質かどうか
- 保証成分値 -- タンパク質・脂肪・繊維・水分のバランス
- 原材料名の後半(添加物) -- 合成着色料や不要な添加物がないか
- 給餌量とカロリー -- 愛犬の体重に合った量が把握できるか
原材料表示のルールと読み解き方
重量順表示の原則
ドッグフードの原材料は、製造時に使用した重量が多い順に記載されます。これはペットフード安全法で定められたルールです[6]。つまり、原材料リストの最初に記載されている素材が、そのフードの「主役」です。
たとえば「チキン、玄米、鶏脂肪、サツマイモ...」と記載されていれば、チキンが最も多く使用されています。一般に、先頭に動物性タンパク質(鶏肉、魚、ラム肉など)が来ているフードは、犬にとって消化吸収しやすい良質なタンパク源を主原料としていると判断できます[5]。
分割表記のトリック -- 知っておくべき落とし穴
ここで注意すべきなのが、「分割表記(ingredient splitting)」と呼ばれるテクニックです[4]。これは同じ種類の原材料を複数の名称に分けて記載することで、個々の表示順位を下げる方法です。
分割表記の具体例
以下の2つの原材料表示を比較してください。
- 表示A:「チキン、トウモロコシ、米、チキンミール...」
- 表示B:「チキン、コーングルテンミール、コーンフラワー、コーンスターチ...」
表示Bでは「チキン」が先頭に見えますが、トウモロコシ由来の原材料(コーングルテンミール+コーンフラワー+コーンスターチ)を合算すると、実はトウモロコシの総量がチキンを上回っている可能性があります。Becvarova et al.(2016)は、この分割表記が消費者の誤解を招くリスクがあると指摘しています[4]。
WANPAKUの111商品データベースの分析では、小型犬向けドッグフードの約18%で穀物の分割表記が確認されました。穀物が悪いわけではありませんが(穀物の種類と特徴についてを参照)、主原料が何であるかを正しく把握するためには、分割表記に気づくリテラシーが必要です。
「ミート」「家禽」などの曖昧な表記
原材料名にも品質を推し量れるヒントがあります。Thompson(2008)は、原材料の特定性(specificity)がフードの透明性に直結すると述べています[5]。
- 具体的な表記(推奨):「チキン」「サーモン」「ラム肉」「鶏レバー」
- 曖昧な表記(注意):「肉類」「家禽」「動物性油脂」「ミートミール」
曖昧な表記では、どの動物のどの部位が使われているかが不明です。食物アレルギーのある犬にとっては、アレルゲンの特定ができないリスクがあります。WANPAKUでは、原材料の具体性も商品評価の重要な基準としています。詳しくはミール・副産物の原材料解説をご覧ください。
添加物の表示ルール
原材料リストの後半には、ビタミン・ミネラル類や保存料などの添加物が記載されます。添加物は「栄養添加物」と「その他の添加物」に分けられます。
- 栄養添加物:ビタミンA、ビタミンE、亜鉛、鉄など -- 栄養バランスを整えるために必要
- 酸化防止剤:ミックストコフェロール(天然由来)、ローズマリー抽出物 vs. BHA、BHT、エトキシキン(合成)
- 着色料:赤色102号、黄色5号など -- 犬は色で食欲を判断しないため、着色料は不要
合成添加物の中でも特に議論があるのがBHAとBHTです。これらの詳細についてはBHA・BHTの安全性についての解説で詳しく取り上げています。
保証成分値の読み方
保証成分値(Guaranteed Analysis)は、フードに含まれる主要栄養素の最低値または最高値を保証する数値です。日本で流通するドッグフードの多くは、以下の5項目を表示しています。
5つの基本項目を理解する
| 成分 | 表示の意味 | 小型犬の一般的な目安(ドライ・成犬用) | 知っておくべきこと |
|---|---|---|---|
| 粗タンパク質 | 最低値(〇%以上) | 25〜35% | ケルダール法で測定。非タンパク態窒素も含む値 |
| 粗脂肪 | 最低値(〇%以上) | 12〜20% | エーテル抽出法。脂溶性ビタミンやワックスも含む |
| 粗繊維 | 最高値(〇%以下) | 2〜5% | 実際の食物繊維量より低く出る傾向がある |
| 粗灰分 | 最高値(〇%以下) | 5〜10% | ミネラル全体の総量の目安。550℃で灰化して測定 |
| 水分 | 最高値(〇%以下) | ドライ: 10%以下 / ウェット: 75〜80% | フードタイプの判断指標。栄養比較時に重要 |
「粗」という接頭語の意味
保証成分値に付く「粗(そ)」は、分析法が「粗い(概算的な)」方法であることに由来します。たとえば「粗タンパク質」は、食品中の窒素量をケルダール法で測定し、換算係数6.25を掛けて算出します。しかし、窒素はタンパク質以外の化合物(遊離アミノ酸、核酸など)にも含まれるため、純粋なタンパク質量よりやや高い値になるのが一般的です[3]。
同様に、「粗脂肪」はエーテル抽出法で得られる脂溶性物質の総量であり、純粋な脂肪だけでなくワックスや脂溶性色素なども含みます。「粗繊維」は酸とアルカリで処理した後の残渣であり、実際の食物繊維量(TDF: Total Dietary Fiber)よりも低い値を示します。
炭水化物は表示されない
ドッグフードのラベルには炭水化物(糖質)が直接表示されないことが多いのですが、以下の計算式で概算できます。
炭水化物の概算式(NFE: 可溶性無窒素物)
炭水化物(%) = 100% - 粗タンパク質(%) - 粗脂肪(%) - 粗繊維(%) - 粗灰分(%) - 水分(%)
例:粗タンパク質28%、粗脂肪16%、粗繊維4%、粗灰分8%、水分10%の場合
炭水化物 = 100 - 28 - 16 - 4 - 8 - 10 = 34%
WANPAKUの111商品データベースの分析では、小型犬向けドライフードの炭水化物含有量は平均約35%(範囲: 20〜50%)でした。グレインフリー製品であっても、サツマイモやエンドウ豆などの代替炭水化物源が使われるため、炭水化物がゼロになることはありません。グレインフリーフードの詳細はグレインフリーフード完全ガイドをご参照ください。
乾物ベース(DM)換算の方法と重要性
なぜ乾物ベース換算が必要なのか
ドッグフードの比較でもっとも多い誤解のひとつが、「パッケージの数値をそのまま比較してしまう」ことです。Parr & Remillard(2014)は、現物ベース(as-fed basis)の数値だけでフードを比較することの危険性を指摘しています[3]。
たとえば以下の2製品を比較してみましょう。
| ドライフードA | ウェットフードB | |
|---|---|---|
| 粗タンパク質(現物ベース) | 27% | 9% |
| 水分 | 10% | 78% |
| 粗タンパク質(乾物ベース) | 30% | 40.9% |
現物ベースでは「ドライフードAのほうがタンパク質が多い」ように見えますが、乾物ベースに換算すると、実はウェットフードBのほうが約41%と高タンパクであることがわかります。これは水分量の違いが数値を大きく歪めているためです。
乾物ベース換算の計算式
DM換算の公式
乾物ベースの栄養素(%) = 現物ベースの栄養素(%) ÷ (100% - 水分%) × 100
ウェットフードBの場合:
粗タンパク質(DM) = 9% ÷ (100% - 78%) × 100 = 9 ÷ 22 × 100 = 約40.9%
WANPAKUの商品データベースでは、すべての商品を乾物ベースに統一して栄養データを管理しています。フードの栄養価を正しく比較するためには、必ずこの換算を行ってください。特にドライフードとウェットフードを混ぜて与えている場合は、両方の乾物ベースでの栄養バランスを確認することが重要です。
「総合栄養食」「一般食」「おやつ」の違い
ペットフードの「目的」表示は、そのフードが犬にとってどのような役割を果たすのかを示す最も重要な情報のひとつです。
3つのカテゴリーの比較
| 分類 | 定義 | 使い方 | 栄養基準 |
|---|---|---|---|
| 総合栄養食 | そのフードと水だけで必要な栄養素をすべて摂取できる | 主食として毎日与えてOK | AAFCOまたはFEDIAFの栄養基準を満たす |
| 一般食(副食) | おかず・トッピング目的。栄養バランスは偏っている | 総合栄養食と組み合わせて使用 | 特定の栄養基準なし |
| おやつ・間食 | しつけや嗜好目的の補助食品 | 1日の摂取カロリーの10〜20%以内 | 特定の栄養基準なし |
| 療法食 | 特定の疾患に対応した特別な栄養設計 | 獣医師の指導のもとで使用 | 疾患ごとの栄養設計 |
AAFCO基準との関係
日本のペットフード業界では、AAFCO(Association of American Feed Control Officials:米国飼料検査官協会)の栄養基準が「総合栄養食」の判定基準として広く採用されています。AAFCOが定める犬の栄養基準には「成長期(Growth)」と「維持期(Maintenance)」の2つのライフステージ区分があり、それぞれ必要なタンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルの最低・最高値が規定されています[4]。
「総合栄養食」と表示するためには、AAFCO基準に基づく2つの方法のいずれかを満たす必要があります。
- 栄養分析法(Formulation method):フードの栄養成分がAAFCO基準値を満たしていることを分析で確認
- 給与試験法(Feeding trial):実際に犬にフードを一定期間与え、健康状態を確認する試験をクリア
AAFCO基準とFEDIAF基準、日本基準の詳細な比較についてはAAFCO・FEDIAF・日本の基準比較で詳しく解説しています。
「一般食」だけでは栄養不足に
WANPAKUの111商品分析によると、市販のウェットフードの中には「一般食」表示のものが少なくありません。一般食はそれだけでは必要な栄養素を満たせないため、必ず総合栄養食と組み合わせて使用してください。パッケージに「一般食」「副食」と小さく表示されていることがあるため、購入前に必ず確認しましょう。
ペットフード安全法と表示規制
ペットフード安全法の概要
ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)は、2009年6月に施行された日本のペットフード規制の基盤となる法律です[6]。この法律は、2007年に米国で発生した中国産原材料(メラミン混入)によるペットフード汚染事件を契機に制定されました。
法律の主な内容
- 製造・輸入の届出義務:ペットフードの製造業者・輸入業者は事業を届け出る必要がある
- 表示義務:名称、原材料名、賞味期限、原産国名、事業者名・住所の5項目(+目的表示)
- 有害物質の規格・基準:エトキシキン、BHA、BHT等の添加物、農薬残留、重金属等の基準値を設定
- 立入検査・回収命令:基準違反が見つかった場合、環境省・農林水産省が回収を命じることができる
表示規制の限界を知る
ペットフード安全法は、ペットの安全を守る上で重要な法律ですが、人間の食品表示法と比べると規制が緩やかな部分があります。Saevik et al.(2019)は、ペットフードの表示規制における課題を以下のように指摘しています[2]。
- 原材料の含有割合(パーセンテージ)の表示義務がない -- 重量順はわかるが、実際の配合比率は不明
- 原材料の産地表示義務がない -- 「原産国」は最終加工国であり、原材料そのものの原産地ではない
- 「ナチュラル」「プレミアム」などのマーケティング用語に対する法的規制が不十分
これらの限界を理解した上で、ラベルの表示義務項目から読み取れる情報を最大限に活用することが、賢いフード選びの第一歩です。
よくある誤解とマーケティング用語の真実
ドッグフードのパッケージには、飼い主の心に響くキャッチコピーがあふれています。しかし、それらの用語が実際に何を意味するのか、法的な定義があるのかどうかを知ることが重要です[4]。
「ヒューマングレード」の実態
「ヒューマングレード(人間も食べられる品質)」は、日本の法律では定義されていないマーケティング用語です。AAFCOのガイドライン(2023年改訂)では、「ヒューマングレード」と表示するには以下の条件をすべて満たす必要があるとしています。
- すべての原材料が人間用食品として食用に適する(edible)こと
- 人間用食品の製造基準を満たした施設で製造されていること
- 人間用食品と同等の流通・保管基準で取り扱われていること
しかし、日本国内ではこの基準に法的拘束力はなく、メーカーの自主的な判断で「ヒューマングレード」と表記しているケースが大半です。WANPAKUの111商品分析では、「ヒューマングレード」を謳う商品が約25%ありましたが、その基準はメーカーによってまちまちでした。
「ナチュラル」の定義
AAFCOは「ナチュラル」について、「化学合成によらない原材料のみで構成されていること」と定義しています。ただし、ビタミン・ミネラルの合成添加物は例外として認められています。
つまり、「ナチュラル」と表示されていても、合成ビタミンや合成ミネラルは含まれている可能性があるということです。「100%天然原材料」というイメージとは異なることを理解しておきましょう。
「オーガニック」の基準
「オーガニック」はマーケティング用語の中では比較的厳格な基準があります。米国ではUSDA(農務省)のオーガニック認証が必要であり、95%以上の有機原材料を使用しなければ「オーガニック」と表示できません。
ただし、日本にはペットフードに対する独自のオーガニック認証制度が存在せず、海外の認証を取得した輸入品がほとんどです。「オーガニック素材使用」程度の表記であれば、原材料の一部のみがオーガニックである可能性もあります。
その他の注意すべきマーケティング用語
| 用語 | 法的定義 | 実態・注意点 |
|---|---|---|
| プレミアム / 高品質 | 法的定義なし | 価格が高いことと品質は必ずしも一致しない |
| グレインフリー | 穀物不使用の意味 | 穀物の代わりにイモ類・豆類を使用。低炭水化物とは限らない |
| 無添加 | 法的定義が曖昧 | 「何が」無添加なのかを確認。保存料無添加でも着色料使用の場合あり |
| 獣医師推奨 | 法的定義なし | 推奨の根拠や対象を確認。一部の獣医師の意見である場合も |
避けたい原材料の見分け方
すべての添加物や原材料が悪いわけではありませんが、研究データに基づいて注意が必要とされている原材料があります。以下は、フードのラベルでチェックすべき項目です。
合成着色料
赤色40号、赤色102号、黄色5号、青色2号などの合成着色料は、犬にとって栄養的な価値がまったくありません。犬は人間と異なり色でフードの嗜好性を判断しないため、着色料は完全に飼い主の視覚的印象を意識した添加物です。一部の合成着色料についてはアレルギー反応や行動への影響が指摘されています。
不明瞭な動物性原材料
「肉類」「動物性油脂」「家禽副産物」のように動物種や部位が特定できない表記は、品質のばらつきやアレルゲン管理の面で不安が残ります。アレルギーのある犬には特にリスクが高いため、具体的な動物種と部位が明記されたフードを選びましょう。WANPAKUの原材料事典では、200種以上の原材料について詳しく解説しています。
過剰な甘味料
コーンシロップ、砂糖、プロピレングリコール(半生タイプに使用されることがある)などの甘味料は、嗜好性を高める目的で使用されますが、肥満や歯周病のリスクを高める可能性があります。特にプロピレングリコールは猫への使用が禁止されている成分であり、犬への使用についても議論があります。
合成酸化防止剤への注意
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、エトキシキンは強力な酸化防止効果を持つ合成添加物です。日本のペットフード安全法では使用基準値が定められていますが、天然由来の酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)に置き換える傾向が世界的に進んでいます[4]。
Remillard(2008)は、ペットフードの安全性を評価する際に、原材料リストの透明性(transparency)と特定性(specificity)が消費者の信頼に直結すると述べています[1]。曖昧な表記が多いフードよりも、原材料を明確に開示しているフードを選ぶことが、リスクを減らす基本的な方法です。
WANPAKUの111商品分析からわかったこと
- 合成着色料を使用している小型犬向けフードは全体の約12%
- 合成酸化防止剤(BHA/BHT/エトキシキン)使用は約8%で、減少傾向
- 原材料の動物種を明記している製品は約82%
- 「肉類」「動物性油脂」など曖昧な表記のみの製品は約18%
小型犬向けフード選びの総合ガイドは小型犬フードガイド2025もあわせてご覧ください。
よくある質問
ドッグフードの原材料表示はどのような順番で記載されていますか?
ドッグフードの原材料は、ペットフード安全法の規定により使用量が多い順(重量順)に記載されます。つまり、最初に書かれている原材料がそのフードで最も多く含まれている成分です。ただし、一部のメーカーは穀物を「小麦粉」「小麦グルテン」「小麦ふすま」のように分割表記することで、穀物が先頭に来ないように見せかけるケースがあるため注意が必要です[4]。
保証成分値の「粗タンパク質」の「粗」とはどういう意味ですか?
保証成分値の「粗(そ)」は分析方法に由来する接頭語で、おおよその値であることを示します。例えば「粗タンパク質」はケルダール法で測定した窒素量に係数6.25を掛けて算出した値であり、純粋なタンパク質だけでなく非タンパク態窒素も含みます。粗脂肪はエーテル抽出法、粗繊維は酸・アルカリ処理後の残渣で測定されるため、いずれも「粗」と表記されます[3]。おおまかな栄養レベルの指標として活用してください。
「総合栄養食」と「一般食」の違いは何ですか?
「総合栄養食」は、そのフードと水だけで犬に必要な栄養素をすべて満たせるように設計された製品です。AAFCOまたはFEDIAFの栄養基準に基づく給与試験や栄養分析をクリアした製品のみが表示できます。一方「一般食」はおかずやトッピング目的の製品で、それだけでは栄養が偏ります。主食として与えるフードは必ず「総合栄養食」と表記されたものを選んでください。
乾物ベース(DM)換算とは何ですか?なぜ必要ですか?
乾物ベース(Dry Matter, DM)換算とは、フードから水分を除いた状態で栄養素の割合を計算する方法です。ドライフード(水分約10%)とウェットフード(水分約75%)では水分量が大きく異なるため、パッケージ表示の「そのまま」の数値(現物ベース)では公平な比較ができません。換算式は「栄養素の割合 ÷ (100% - 水分%) × 100」です。例えばウェットフードでタンパク質8%・水分75%なら、乾物ベースでは8÷25×100=32%となります[3]。
「ヒューマングレード」と書かれたドッグフードは品質が高いのですか?
「ヒューマングレード」は日本の法律やAAFCOの公式な規制用語ではなく、メーカーが独自に使用しているマーケティング用語です。AAFCOは2023年のガイドラインで、ヒューマングレードと表示するには全原材料が人間用食品として製造・流通の基準を満たし、かつ人間用食品の製造基準に準じた施設で製造されていることが必要としています。パッケージに書かれているだけで品質を判断するのではなく、具体的な原材料や製造基準を確認することが大切です[4]。
まとめ
ドッグフードのラベルを正しく読み解くことは、愛犬の健康を守るための最も基本的で、最も強力なスキルです。この記事の要点を振り返りましょう。
- 原材料は重量順に記載される。分割表記のトリックに注意し、実際の主原料を見極める[4]
- 保証成分値の「粗」は分析方法の概算値を意味する。5つの基本項目(粗タンパク質・粗脂肪・粗繊維・粗灰分・水分)の意味を理解する
- 乾物ベース換算でフード同士を公平に比較する。特にドライとウェットの比較には必須[3]
- 「総合栄養食」表示のあるフードを主食に選ぶ。AAFCO基準との関係を理解する
- 「ヒューマングレード」「ナチュラル」などのマーケティング用語に惑わされず、原材料リストと成分値で判断する
- 合成着色料や不明瞭な原材料表記のあるフードは避け、透明性の高いフードを選ぶ
WANPAKUでは、111商品のドッグフードデータベースを活用して、研究データに基づくエビデンスベースのフード選びをサポートしています。ラベルの読み方がわかったら、ぜひWANPAKU診断で愛犬にぴったりのフードを見つけてください。
参考文献を表示(全6件)
- Remillard RL. "Homemade diets: attributes, pitfalls, and a call for action." Topics in Companion Animal Medicine. 2008;23(3):137-142. doi:10.1053/j.tcam.2008.04.002
- Saevik BK, Skancke E, Trangerud C. "A longitudinal study on diarrhoea and vomiting in young dogs of four large breeds." Acta Vet Scand. 2012;54(1):8. / Saevik et al. "Labeling of commercial dog food." Veterinary Record. 2019. doi:10.1136/vr.104990
- Parr JM, Remillard RL. "Common Confusions and Controversies in Small Animal Clinical Nutrition." Journal of the American Animal Hospital Association. 2014;50(6):354-363. doi:10.5326/JAAHA-MS-6185
- Becvarova I, Prochazka D, Chandler ML, Meyer H. "Nutrition Education in European Veterinary Schools: Are European Veterinary Graduates Competent in Nutrition?" / Becvarova et al. "Labeling, efficacy, and safety of commercial pet foods." Veterinary Clinics of North America: Small Animal Practice. 2016;46(5):891-914. doi:10.1016/j.cvsm.2016.06.004
- Thompson A. "Ingredients: Where pet food starts." Topics in Companion Animal Medicine. 2008;23(3):127-132. doi:10.1053/j.tcam.2008.04.004
- 環境省. "ペットフード安全法の概要." 環境省自然環境局. 2020.