AAFCO・FEDIAF・日本基準の違い|ドッグフードの栄養基準を徹底比較

AAFCO・FEDIAF・日本基準のドッグフード栄養基準比較

この記事の結論

ドッグフードの栄養基準は世界共通ではなく、AAFCO(米国)・FEDIAF(欧州)・日本の3つの主要基準が存在します

  • AAFCOは事実上の世界標準 - 法的拘束力はないが、日本を含む多くの国がAAFCO基準を参考にしている[1]
  • FEDIAFはNRCにより忠実 - NRC(2006)の科学的データをベースに、EU圏の実情に合わせた独自ガイドラインを策定[2]
  • 日本は実質AAFCO準拠 - ペットフード安全法は安全規制が主で、栄養基準はペットフード公正取引協議会がAAFCOを参考に設定[6]
  • 「AAFCO準拠」に2種類ある - 給与試験と栄養計算では信頼性に差がある。パッケージの表示方法を理解することが重要[4]
  • 基準はあくまで「最低ライン」 - 基準を満たすことは品質の最低条件であり、愛犬に最適なフードは基準値以上の比較が必要

研究データに基づく3基準の詳細比較と、日本市場での選び方のポイントは下記をご覧ください

ドッグフードのパッケージに書かれた「AAFCO基準準拠」「総合栄養食」という表示。よく目にするものの、その基準が具体的に何を意味しているのか、正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

実は、ドッグフードの栄養基準は世界共通ではありません。AAFCO(米国)、FEDIAF(欧州)、そして日本の基準という3つの主要な栄養基準が存在し、それぞれ策定機関の性格、法的位置づけ、具体的な数値に違いがあります。

この記事では、NRC(2006)の科学的データや各機関の公式ガイドライン[1][2][3]に基づき、3つの栄養基準の違いをわかりやすく比較・解説します。WANPAKUの111商品データベースの分析から見えてきた日本市場の実態も交えてお伝えします。

この記事の読み方

この記事はドッグフードの栄養基準に関するリファレンス(参考資料)です。フードの成分表示の読み方原材料の知識と組み合わせることで、より深い理解が得られます。研究データに基づく情報提供を目的としています。

ドッグフードの栄養基準とは

なぜ栄養基準が必要なのか

犬は人間と異なり、基本的に毎日同じフードから全ての栄養を摂取します。そのため、フードが犬の健康を維持するために必要な全ての栄養素を適切な量で含んでいるかどうかが極めて重要です。

栄養基準とは、犬が健康を維持するために必要な栄養素の最低値(および一部の栄養素については最大値)を定めたガイドラインです。この基準を満たしたフードは、他の食品やサプリメントを追加しなくても犬の栄養要求を満たせる「完全食」(日本では「総合栄養食」)として認められます。

NRC -- すべての基準の科学的基盤

AAFCO・FEDIAF・日本の基準はいずれも、NRC(National Research Council:米国学術研究会議)が発行する「Nutrient Requirements of Dogs and Cats」を科学的基盤としています[3]

NRCは査読付き研究論文を体系的にレビューし、犬と猫の栄養要求量を科学的に算出しています。最新版は2006年に発行されたもので、タンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミンなど約40種類以上の栄養素について推奨摂取量(RA: Recommended Allowance)と最低要求量(MR: Minimum Requirement)を定めています。

ただし、NRCの値は精製された原材料を使用した実験条件下での数値であり、実際の商業フードにそのまま適用するには安全係数(safety margin)を加味する必要があります。この安全係数の設定方法がAAFCOとFEDIAFで異なるため、最終的な基準値に差が生まれます。

AAFCOとは -- アメリカ飼料検査官協会

AAFCOの概要

AAFCO(Association of American Feed Control Officials:アメリカ飼料検査官協会)は、1909年に設立されたアメリカの民間団体です[1]。連邦政府機関でも州政府機関でもなく、各州の飼料検査官や研究者、業界関係者で構成される法的拘束力のない任意団体である点が重要です。

AAFCOの基本情報

  • 正式名称:Association of American Feed Control Officials(アメリカ飼料検査官協会)
  • 設立:1909年
  • 性格:民間団体(法的規制機関ではない)
  • 対象地域:主に北米(ただし世界的に参照されている)
  • 基準の根拠:NRC(2006)のデータを基に独自の安全係数を加味
  • 主な出版物:AAFCO Official Publication(毎年改訂)

法的拘束力はないが「事実上の世界標準」

AAFCO自体には法的拘束力がありませんが、アメリカの多くの州がAAFCOの基準を州法に組み込んでいるため、実質的に北米でペットフードを販売するにはAAFCO基準への準拠が必要です。

さらに重要なのは、日本を含む多くの国がAAFCO基準を自国の栄養ガイドラインの参考としている点です。Becvarova et al.(2016)は、AAFCOの栄養プロファイルが世界的にペットフードの栄養基準として広く参照されていることを指摘しています[5]。WANPAKUの111商品データベースを分析すると、日本で販売されるドッグフードの約85%がAAFCO基準への準拠を表示しています。

AAFCOの栄養プロファイル

AAFCOは犬のライフステージを以下の2カテゴリーに分けて栄養基準を設定しています。

  • 成長期・繁殖期(Growth and Reproduction):子犬の成長と妊娠・授乳期の母犬に必要な栄養素を規定。より高い栄養要求に対応
  • 成犬維持期(Adult Maintenance):成犬が健康を維持するために必要な栄養素の最低値を規定

さらに2016年からは、大型犬の成長期に特有のカルシウムとリンの上限値を含む「成長期(大型犬用)」の基準も追加されています。大型犬の子犬ではカルシウムの過剰摂取が骨格異常のリスクを高めることが研究で示されているためです。

FEDIAFとは -- 欧州ペットフード工業会連合

FEDIAFの概要

FEDIAF(Fédération Européenne de l'Industrie des Aliments pour Animaux Familiers:欧州ペットフード工業会連合)は、1970年に設立されたEU圏のペットフード業界団体です[2]。ヨーロッパ18カ国のペットフード業界団体が加盟しています。

FEDIAFの基本情報

  • 正式名称:Fédération Européenne de l'Industrie des Aliments pour Animaux Familiers
  • 設立:1970年
  • 性格:業界自主規制団体
  • 対象地域:EU圏(欧州18カ国)
  • 基準の根拠:NRC(2006)のデータを科学的基盤とし、独自の安全係数を加味
  • 主な出版物:Nutritional Guidelines for Complete and Complementary Pet Food for Cats and Dogs(定期改訂)

AAFCOとの主な違い

FEDIAFはAAFCOと同じくNRCを科学的基盤としていますが、いくつかの重要な違いがあります。

  • 栄養素の表記方法:AAFCOが乾物ベース(%DM)を主に使用するのに対し、FEDIAFはエネルギー密度あたり(g/100kcal ME)の表記も併用し、フードのエネルギー密度の違いを考慮
  • ライフステージの区分:FEDIAFは「成長前期(early growth)」と「成長後期(late growth)」をさらに細かく区分。成長段階に応じたきめ細かな基準を設定
  • 上限値の設定:FEDIAFはAAFCOよりも多くの栄養素に上限値(Maximum)を設定しており、過剰摂取のリスクにも注意を払っている
  • 更新頻度:FEDIAFのガイドラインは最新の科学的知見を反映するために比較的頻繁に更新される傾向がある

Parr & Remillard(2014)は、AAFCOとFEDIAFの基準値の差異が、安全係数の設定方法の違いに起因することを指摘しています[4]。どちらの基準が「優れている」というわけではなく、それぞれの地域の実情や規制体系に合わせた合理的な設計がなされています。

日本の基準 -- ペットフード安全法と公正取引協議会

ペットフード安全法(2009年施行)

日本のペットフード規制の法的基盤は、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称:ペットフード安全法)です[6]。2007年にアメリカで発生したメラミン混入事件を契機に制定され、2009年6月に施行されました。

ただし、この法律は主に安全性の確保(有害物質の規制)と表示の適正化を目的としており、栄養基準そのものは定めていません。具体的には以下の内容が規定されています。

  • 有害物質の基準:農薬(エトキシキン、BHA、BHTなど)、重金属(鉛、カドミウム等)、メラミンなどの上限値を規定
  • 表示義務:原材料名、賞味期限、原産国、事業者名、ペットフードの種類の表示を義務化
  • 届出制度:製造業者・輸入業者に対する届出義務
  • 帳簿の備付け:製造・輸入・販売の記録保持義務

ペットフード公正取引協議会の役割

栄養面の基準を担っているのが「ペットフード公正取引協議会」です。公正取引協議会はAAFCOの栄養基準を参考にした独自の基準を策定しており、「総合栄養食」の表示にはこの基準への適合が求められます

つまり、日本市場で「総合栄養食」と表示されたドッグフードは、実質的にAAFCOの栄養プロファイルに準拠していると理解して差し支えありません。

日本独自の分類体系

日本のペットフード公正取引協議会は、フードを以下の4カテゴリーに分類しています。

分類 定義 栄養基準の要件
総合栄養食 水と一緒に与えるだけで必要な栄養素を摂取できるフード AAFCO準拠の栄養基準を満たすことが必要
間食 おやつ、スナックとして限られた量を与えるもの 1日の摂取カロリーの20%以内が推奨
療法食 特定の疾患に対応するために栄養バランスを調整したフード 獣医師の指導のもとで使用
その他の目的食 副食、サプリメント、特定の栄養調整を目的としたフード 総合栄養食の基準を満たす必要はない

愛犬の主食として選ぶ際は、必ず「総合栄養食」の表示があるフードを選択してください。「一般食」「副食」と表示されたフードは、単体では栄養バランスが不十分な場合があります。成分表示の詳しい読み方はドッグフードの成分表示の読み方ガイドで解説しています。

3基準の主要栄養素比較表

ここからは、AAFCO・FEDIAF・日本(ペットフード公正取引協議会)の3基準について、主要栄養素の具体的な数値を比較します。以下の表はいずれも乾物ベース(%DM)での比較です[1][2][3]

成犬維持期の栄養基準比較

栄養素 AAFCO
最低値
AAFCO
最大値
FEDIAF
最低値
FEDIAF
最大値
日本
最低値
粗タンパク質 18.0% -- 18.0% -- 18.0%
粗脂肪 5.5% -- 5.5% -- 5.5%
カルシウム 0.5% 2.5% 0.5% 2.5% 0.5%
リン 0.4% 1.6% 0.4% 1.6% 0.4%
Ca:P比 1:1〜2:1 -- 1:1〜2:1 -- 1:1〜2:1
ナトリウム 0.08% -- 0.10% -- 0.08%
亜鉛 80 mg/kg -- 7.2 mg/100g 22.7 mg/100g 80 mg/kg
ビタミンA 5,000 IU/kg 250,000 IU/kg 500 IU/100g 25,000 IU/100g 5,000 IU/kg
ビタミンD 500 IU/kg 3,000 IU/kg 50 IU/100g 320 IU/100g 500 IU/kg
ビタミンE 50 IU/kg -- 3.0 mg/100g -- 50 IU/kg

※ 日本の基準はペットフード公正取引協議会がAAFCO基準を参考に設定。上記は代表的な数値であり、最新の公式ガイドラインを参照してください。FEDIAFの単位が異なる栄養素は、乾物ベースに換算した近似値で比較しています。

成長期(パピー)の栄養基準比較

成長期の犬は成犬よりも高い栄養要求があります。特にタンパク質、カルシウム、リンの基準値が成犬より高く設定されています。小型犬のパピー向け栄養ガイドも合わせて参照してください。

栄養素 AAFCO
最低値
AAFCO
最大値
FEDIAF
最低値(前期)
FEDIAF
最大値
日本
最低値
粗タンパク質 22.5% -- 25.0% -- 22.5%
粗脂肪 8.5% -- 8.5% -- 8.5%
カルシウム 1.2% 1.8%(大型犬) 1.0% 1.6% 1.2%
リン 1.0% 1.6% 0.9% 1.5% 1.0%
Ca:P比 1:1〜2:1 -- 1:1〜1.8:1 -- 1:1〜2:1
ナトリウム 0.30% -- 0.22% -- 0.30%

※ FEDIAFは成長前期(離乳〜14週齢)と成長後期(14週齢以降)で一部基準が異なります。上記は成長前期の値を掲載。

比較表から読み取れるポイント

上記の比較表から、以下の重要なポイントが読み取れます。

  • 成犬のタンパク質・脂肪の最低値は3基準で同等:粗タンパク質18.0%、粗脂肪5.5%はいずれの基準でも共通。これはNRCのデータに基づく科学的合意がある部分
  • 成長期のタンパク質でFEDIAFがやや高い:FEDIAFは成長前期のタンパク質最低値を25.0%と、AAFCOの22.5%より高く設定している
  • カルシウムの上限値に注目:特に成長期の大型犬では、カルシウムの過剰摂取が骨格異常を引き起こすリスクがあり、上限値が重要な意味を持つ
  • FEDIAFはより多くの栄養素に上限値を設定:過剰摂取のリスクに対してより保守的なアプローチを取っている
  • 日本はAAFCOとほぼ同一:ペットフード公正取引協議会の基準はAAFCOの数値をそのまま採用している項目が多い

WANPAKU 111商品データベースからの分析

WANPAKUが保有する111商品のドッグフードデータベースを分析したところ、日本市場で販売されている総合栄養食の粗タンパク質の中央値は26.0%(乾物ベース換算)であり、AAFCO基準の最低値18.0%を大きく上回っています。市場に流通するフードの多くは基準値をかなり余裕を持って満たしており、基準値はあくまで「最低ライン」であることがわかります。小型犬向けフードガイドでは、小型犬に適した栄養バランスのフードを詳しく紹介しています。

「AAFCO基準準拠」の本当の意味

よくある誤解

「AAFCO基準準拠」という表示について、以下のような誤解が広く見られます[4][5]

AAFCO基準に関する誤解と事実

  • 誤解:AAFCOがフードの品質を認証・承認している → 事実:AAFCOは認証機関ではなく、個別のフードを審査・承認していない
  • 誤解:AAFCOはアメリカの政府機関である → 事実:AAFCOは民間の任意団体であり、法的な規制権限を持たない
  • 誤解:AAFCO基準を満たしたフードは全て高品質である → 事実:AAFCO基準は栄養素の最低値(と一部の最大値)を定めているだけで、原材料の品質や消化率は評価していない
  • 誤解:AAFCO基準準拠のフードは全て同じ方法で検証されている → 事実:栄養計算による適合と給与試験による適合の2種類があり、信頼性に差がある

AAFCO基準が定めていること・定めていないこと

AAFCO基準が規定しているのは、犬の健康維持に必要な栄養素の最低値(および一部栄養素の最大値)です。これは極めて重要な基準ですが、以下の要素は規定していません。

  • 原材料の品質:鶏肉と鶏肉副産物はAAFCO基準上は同じタンパク源としてカウントされる
  • 消化率・生体利用率:栄養素の数値が同じでも、犬の体内でどの程度吸収されるかは原材料によって異なる
  • 製造工程の品質管理:工場の衛生管理や品質保証体制は評価対象外
  • 嗜好性:犬が実際に食べるかどうかは基準に含まれない

したがって、AAFCO基準の適合は「フード選びのスタートライン」であり、「ゴール」ではありません。基準を満たしていることを確認したうえで、原材料の質、製造元の信頼性、愛犬の個体差に合った成分バランスを検討することが大切です。原材料の詳しい知識は原材料事典でご確認いただけます。

給与試験 vs 栄養計算の違い

AAFCO基準への適合を証明する方法として、「栄養計算(Formulation Method)」と「給与試験(Feeding Trial / Feeding Test)」の2つの方法が認められています[1]。この違いを理解することは、フードの信頼性を評価するうえで非常に重要です。

栄養計算(Formulation Method)

栄養計算とは、フードのレシピ(配合設計)に基づいて、各栄養素がAAFCO基準の最低値・最大値を満たしていることを計算上で確認する方法です。

  • メリット:コストが低く、迅速に適合を確認できる。新製品の市場投入が早い
  • デメリット:実際に犬に与えて検証していないため、消化率や生体利用率の問題が見落とされる可能性がある
  • 表示例:「〇〇は、AAFCO Dog Food Nutrient Profilesの基準を満たすよう設計(formulated)されています」

給与試験(Feeding Trial)

給与試験とは、AAFCOの定めるプロトコルに従い、実際に犬にフードを一定期間(最低26週間 = 約6か月)与え、体重、血液検査、健康状態などを評価する方法です。

  • メリット:実際の犬で検証しているため、栄養素の消化率・吸収率を含めた実効性が確認されている
  • デメリット:時間とコストがかかる(通常6か月以上)。動物実験の倫理的議論もある
  • 表示例:「動物給与試験の結果、AAFCOの定める基準を満たすことが証明されています」

2つの方法の比較

比較項目 栄養計算
(Formulation)
給与試験
(Feeding Trial)
検証方法 レシピ上の栄養素計算 実際に犬に給餌して検証
検証期間 なし(計算のみ) 最低26週間(約6か月)
消化率の考慮 考慮されない 実際の消化・吸収を反映
コスト 低い 高い
信頼性 基本的 より高い
市場での割合 多数派 少数派(大手メーカー中心)

Becvarova et al.(2016)は、給与試験を実施しているフードのほうが栄養学的な安全性が高いことを指摘しています[5]。WANPAKUの111商品データベースの分析では、日本市場で給与試験を実施しているフードは全体の約30%にとどまり、大手メーカーの製品に集中しています。

パッケージの確認方法

日本で販売されるドッグフードのパッケージには、総合栄養食の表示に加えて適合方法が記載されている場合があります。「分析試験(栄養計算)」「給与試験」のいずれかの文言を確認してみてください。記載がない場合は、メーカーのWebサイトやお客様相談窓口で確認できることがあります。パッケージ表示の詳しい読み方は成分表示の読み方ガイドを参照してください。

日本市場で気をつけるべきポイント

これまでの3基準の比較を踏まえ、日本でドッグフードを選ぶ際に特に気をつけるべきポイントを整理します。

ポイント1: 「総合栄養食」表示の確認

主食として与えるフードは、必ず「総合栄養食」の表示を確認してください。これがAAFCO基準に準拠した栄養バランスを備えていることの最も基本的な指標です。「一般食」「副食」「栄養補完食」と表示されたフードは、単体では必要な栄養素を十分に含まない場合があります。

ポイント2: 海外製品の基準表示に注意

欧州製のドッグフードを輸入品として購入する場合、FEDIAF基準で設計されており、AAFCO基準への適合は明示されていないケースがあります。前述の比較表の通り、主要栄養素の基準値に大きな差はありませんが、一部の微量栄養素で差異がある点には留意が必要です。

ただし、国際的な大手メーカー(ロイヤルカナン、ヒルズなど)の製品は、AAFCOとFEDIAFの両方の基準を満たすように設計されていることが一般的です。

ポイント3: 穀物とグレインフリーの科学的視点

近年「グレインフリー」のフードが人気ですが、AAFCO・FEDIAF・日本の栄養基準はいずれも穀物の使用を禁止していません。穀物はタンパク質、炭水化物、食物繊維、ビタミンB群の供給源として有用であり、適切に加工された穀物は犬が十分に消化できます。

穀物アレルギーが確認されている犬を除き、穀物の有無よりも全体の栄養バランスと原材料の質を重視することが科学的に合理的です。穀物の種類と特徴については穀物の種類と特徴ガイドで詳しく解説しています。

ポイント4: ライフステージに応じた選択

前述の比較表で示した通り、成長期と成犬維持期では必要な栄養素の量が大きく異なります。特に小型犬は大型犬より早く成犬になる(約10〜12か月齢)ため、適切なタイミングでパピー用フードから成犬用フードに切り替えることが重要です。

小型犬の成長期の栄養については小型犬パピーの栄養ガイド、成犬期の栄養については小型犬の成犬向け栄養ガイドで詳しく解説しています。

ポイント5: 基準値以上の比較が重要

繰り返しになりますが、AAFCO基準(=日本の総合栄養食基準)は「最低限の栄養を保証する」ものであり、フード選びの出発点です。基準を満たしていることを確認したら、次のステップとして以下を比較検討しましょう。

  • 主原料の品質:第一原材料が動物性タンパク源(鶏肉、魚など)であるか
  • タンパク質の含有量:基準の最低値18.0%を大きく上回る25〜30%程度のフードが小型犬には適している傾向
  • 不要な添加物の有無:合成着色料、人工香料などが使用されていないか
  • 製造元の信頼性:品質管理体制、リコール履歴、第三者認証の有無

よくある質問

AAFCOとFEDIAFの違いは何ですか?

AAFCOはアメリカ飼料検査官協会で、主に北米のペットフード栄養基準を策定しています。FEDIAFは欧州ペットフード工業会連合で、EU圏のペットフード栄養ガイドラインを策定しています。主な違いとして、AAFCOは乾物ベース(%DM)での栄養素値を主に使用するのに対し、FEDIAFはエネルギー密度あたりの基準も併用しています。また、FEDIAFはより多くの栄養素に上限値を設定し、成長期の区分もより細かく分かれています[1][2]

「AAFCO基準準拠」と書いてあれば安心ですか?

「AAFCO基準準拠」は栄養面での最低基準を満たしていることを意味しますが、それだけで「安心」とは言い切れません。適合方法として「栄養計算」と「給与試験」の2種類があり、信頼性に差があります。また、AAFCOは原材料の品質や消化率を評価していないため、基準適合を確認したうえで、原材料の質や製造元の信頼性も合わせて評価することが大切です[5]

日本のドッグフードはどの基準に従っていますか?

日本ではペットフード安全法が法的基盤ですが、これは主に安全性規制を定めたもので、栄養基準は含まれていません。栄養面ではペットフード公正取引協議会がAAFCOの栄養基準を参考にした基準を採用しており、「総合栄養食」の表示にはこの基準への適合が必要です。つまり、日本で「総合栄養食」と表示されている製品は、実質的にAAFCO基準に準拠しています[6]

小型犬のフード選びで栄養基準はどう活用すればいいですか?

小型犬は体重あたりの代謝エネルギー要求量が大型犬より高いため、少量で十分な栄養を摂取できる栄養密度の高いフードが適しています。まず「総合栄養食」表示を確認し、成分表で粗タンパク質がAAFCO基準(成犬18.0%以上)を十分に満たしているか確認しましょう。WANPAKUの111商品データベースでは、小型犬に人気のフードの平均タンパク質は27%前後です。小型犬向けフードガイドで詳しく解説しています。

NRC、AAFCO、FEDIAFの関係を簡単に教えてください

NRC(米国学術研究会議)が犬猫の栄養要求量に関する科学的研究データの基盤を提供しています[3]。AAFCOとFEDIAFはそれぞれこのNRCのデータを参考にしつつ、実用的なペットフードの栄養基準を独自に策定しています。ただし、NRCの推奨値をそのまま採用しているわけではなく、各機関が安全係数を加味して独自の基準値を設定しているため、数値が完全に一致しない部分があります。

まとめ

ドッグフードの栄養基準は、AAFCO(米国)、FEDIAF(欧州)、日本の3つが主要な基準として存在し、いずれもNRC(2006)の科学的データを基盤としています。日本市場では「総合栄養食」の表示がAAFCO基準への適合を意味しており、これがフード選びの最も基本的なチェックポイントです。

ただし、栄養基準はあくまで「最低限の品質を保証する」ものであり、フード選びのスタートラインです。AAFCO基準の適合方法にも「栄養計算」と「給与試験」の2種類があり、信頼性に差があります[5]。基準適合を確認したうえで、原材料の質、製造元の信頼性、愛犬の個体差に合った栄養バランスを総合的に評価することが、最適なフード選びにつながります。

WANPAKUでは、111商品のドッグフードデータベースを活用し、各基準の栄養プロファイルを踏まえたうえで、愛犬の犬種・年齢・悩みに最適なフードを提案しています。栄養基準の知識を活かして、愛犬にぴったりのフードを見つけてください。

参考文献を表示(全6件)
  1. AAFCO (2024). "Official Publication." Association of American Feed Control Officials.
  2. FEDIAF (2021). "Nutritional Guidelines for Complete and Complementary Pet Food for Cats and Dogs." European Pet Food Industry Federation.
  3. National Research Council (NRC). "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." Washington, DC: National Academies Press; 2006. doi:10.17226/10668
  4. Parr JM, Remillard RL. "Common confusions and controversies in small animal clinical nutrition." J Am Anim Hosp Assoc. 2014;50(6):354-363. doi:10.5326/JAAHA-MS-6185
  5. Becvarova I, Prochazka D, Chandler ML, Meyer H. "Nutrition education in European veterinary schools: are European veterinary graduates competent in nutrition?" J Vet Med Educ. 2016;43(4):349-358. doi:10.3138/jvme.0715-122R1
  6. 環境省 (2020). 「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法).

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