子犬を迎えた飼い主さんから多く寄せられるのが「ドッグフードはいつから与えればいいの?」という質問です。犬種サイズや個体差で進め方は変わるため、本記事では4段階の離乳プログラムと犬種別の注意点を整理します。
子犬の離乳はいつから始めるのがベスト?
子犬の離乳は生後3〜4週齢が最適な開始時期です。乳歯が生え始め、母乳だけでは栄養が不足し始めるサインが目安になります。
生後3〜4週齢:離乳を始めるサイン
日齢でいえば 生後21〜28日齢 が開始の目安です。乳切歯(前歯)が生え始める/母犬の乳量が成長に追いつかなくなる/母犬のフードに興味を示し始める。この3つが離乳開始のサインです。
生後0〜3週齢の子犬には、母乳または子犬用ミルクリプレーサー(代用乳)のみを与えます。この時期の消化器系は未発達で固形物を消化できないこと、母乳を通じた受動免疫の獲得期間に当たることが理由です[1]。
早すぎる離乳(生後3週未満):消化器系の未発達による下痢・嘔吐、免疫力の低下、社会化期の学習不足。遅すぎる離乳(生後10週以降):母乳だけでは栄養不足となる成長遅延、固形フードへの適応の遅れ、母犬への依存による分離不安。
当サイトのアンケート(7,810回の回答・2025年8月〜2026年10月)のうち、子犬(パピー)期の回答は1,412回でした。選ばれた悩みの上位3つは、次のとおりです(回数と、パピーの回答に占める割合)。
- 涙やけ:654回(46.3%)
- 食欲不振:612回(43.3%)
- 皮膚・被毛:482回(34.1%)
母乳から固形フードへの体の変化
離乳期には、消化酵素の発達・乳歯28本の生え揃い・腸内細菌叢の多様化という3つの大きな変化が起こります。
子犬の膵臓では、炭水化物を分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、タンパク質を分解するプロテアーゼといった消化酵素が発達していきます。生後3〜4週齢ではまだ十分でないため、最初はフードをお湯でふやかして消化しやすくし、徐々に固形へ移行します。
同時期、生後3〜4週齢で乳切歯から生え始め、生後6〜8週齢までに28本の乳歯が生え揃います。乳歯の萌出に伴い母犬は授乳時の痛みから授乳を拒否し始め、これが自然な離乳の促進要因になります。
また、母乳期には乳酸菌が優勢だった腸内細菌叢が、固形フードの導入とともに多様化していきます。急激な食事変更は腸内環境を乱しやすいため、離乳は段階的に進める必要があります。
4段階の離乳プログラム:週齢別の詳細ガイド
お粥状(3〜4週齢)→ペースト状(4〜5週齢)→半固形(5〜6週齢)→ドライフード(6〜8週齢)の4段階で、ふやかし時間を30分→20分→10分→0分と段階的に短縮します。
第1段階:生後3〜4週齢(お粥状フード)
離乳の第一歩は、ふやかしたフードをお粥状にして与えることから始めます。具体的な方法は以下の通りです。
🥣 第1段階の与え方
- フードの形態:子犬用ドライフードを40℃のお湯で30〜40分ふやかし、スプーンで完全にペースト状に潰す
- 給餌量:1回小さじ1〜2杯から始め、子犬の反応を見ながら徐々に増やす
- 給餌回数:1日3〜4回、母乳と併用
- 授乳との併用:固形フード導入初期は母犬との授乳も継続
最初は子犬の口元にお粥をつけて舐めさせるところから始めます。多くの子犬は最初は戸惑いますが、数日以内に自分から皿に顔を近づけるようになります。1回の給餌時間は母犬から1時間程度離し、落ち着いた環境で行うのが理想的です。
第2段階:生後4〜5週齢(ペースト状フード)
子犬がお粥状のフードに慣れたら、徐々に水分量を減らしてペースト状にしていきます。
🍽️ 第2段階の与え方
- フードの形態:ドライフードを40℃のお湯で20〜30分ふやかし、軽く潰してペースト状に
- 給餌量:1日の推奨量の50〜70%を固形フードから摂取
- 給餌回数:1日4回に増やす(胃が小さいため)
- 授乳との併用:母犬との授乳は徐々に減らしていく
この段階では、子犬同士で同じ皿から食べさせることで、食事を巡る社会的ルールを学ぶ機会にもなります。ただし、食事競争が激しすぎる場合は、個別に給餌して誤嚥を防ぎましょう。
第3段階:生後5〜6週齢(半固形フード)
この時期には、子犬の消化能力が大幅に向上し、より固形に近いフードを食べられるようになります。
🥘 第3段階の与え方
- フードの形態:ドライフードを40℃のお湯で10〜15分ふやかし、粒が少し残る程度の半固形状態
- 給餌量:1日の推奨量の80〜90%を固形フードから摂取
- 給餌回数:1日4回
- 授乳との併用:母犬からの授乳はほぼ終了
この段階では、フードの粒感を残すことで咀嚼を促し、顎の発達を促進します。歯の萌出に伴う歯茎のむず痒さも、固形フードを噛むことで軽減されます。
第4段階:生後6〜8週齢(ドライフード)
生後7〜8週齢で完全にドライフードへ移行します。小型犬種(特にトイ種)は10週齢までかかることもあります。
🍖 第4段階の与え方
- フードの形態:ドライフードをそのまま、または軽く水分を加える程度
- 給餌量:パッケージに記載された体重別推奨量に従う
- 給餌回数:子犬のうちは1日3〜4回に分け、成犬になったら1日2回以上[2]
- 新鮮な水:常に清潔な飲み水を用意
この時期の子犬は新しい家族のもとへ迎えられることが多い時期です。環境変化によるストレスで食欲が低下することもあるため、ブリーダーやペットショップで与えられていたフードと同じものを用意し、徐々に新しいフードに切り替えましょう。
子犬期に意識したい栄養素
成長期の子犬用フードのAAFCO基準(乾物ベース)は、タンパク質22.5%以上、EPA+DHA合計0.05%以上、カルシウム1.2%以上(大型犬の成長期は上限1.8%)、Ca:P比1:1〜2:1です[3]。
離乳期に特に意識したいのは タンパク質(成長期は22.5%以上、動物性が消化吸収に向く)と DHA(魚油由来、神経・視覚の発達に関連)。骨格形成に関わる カルシウム・リン は不足だけでなく過剰も骨格の発育異常につながりうるため[4]、成長期基準を満たすフードにサプリメントで上乗せする必要はありません。
各栄養素の詳細やタンパク質量・カロリー計算は、活動量・タンパク質・カロリーガイドもご参照ください。
犬種サイズ別の注意点
小型犬は 低血糖リスク のため1日5〜6回の少量頻回給餌、大型犬は カルシウム過剰による骨格異常リスク のため大型犬専用の成長期フードと計量給餌が基本です。
小型犬(成犬時10kg未満):トイプードル・チワワ・ポメラニアンなどは肝臓のグリコーゲン貯蔵量が少なく、食事間隔が長いと血糖値が急低下します。1日5〜6回の少量頻回給餌で、間隔を4時間以内に保ちます。ふらつき・震えなどの低血糖兆候があれば、ハチミツやシロップを舐めさせてすぐ動物病院へ。
大型犬(成犬時32kg以上):股関節形成不全などの発育性整形外科疾患(DOD)のリスクがあります。大型犬専用の成長期フードを使い、自由採食ではなく計量給餌を徹底します。カルシウムサプリメントの追加は避けてください。
中型犬(10〜32kg):「全犬種対応」または「中型犬用」の成長期フードで、生後3〜6ヶ月は1日4回、6ヶ月以降は1日3回が目安です。
犬種別の詳しいフード選びは、各犬種記事(チワワ・トイプードル・ミニチュアダックス ほか)をご覧ください。
離乳期によくあるトラブル
離乳期に多いトラブルは下痢・食欲不振・嘔吐・誤嚥の4つです。軽度なら1段階前のフード状態に戻し、重症や継続する場合は動物病院を受診します。
- 下痢・軟便:軽度なら1段階前のフード状態に戻し給餌量を減らす。水様性・血便・嘔吐や元気消失を伴う場合は早めに獣医師へ。
- 食欲不振:フードを40℃に温める、ふやかし時間を延長、犬用ミルクを少量混ぜるなどで嗜好性を上げます。12時間以上食べない場合は獣医相談(小型犬は特に低血糖に注意)。
- 嘔吐:1回で元気なら数時間絶食して少量の水から再開。繰り返す・下痢や元気消失を伴う場合は早めに獣医師へ。1回の給餌量を減らして回数を増やすのが予防策です。
- 誤嚥:ふやかしフードはペースト状にし、浅い皿で。激しい咳・呼吸困難があればすぐ動物病院へ。
食べない原因と対策は 犬がご飯を食べない時の原因と対策、フード切り替え時の下痢対策は フード切り替えガイド もご参照ください。
離乳完了後のフード選び
AAFCO「成長期用(Growth)」または「全成長段階用(All Life Stages)」の表記があり、犬種サイズに合った粒・栄養バランスのフードを選びます。
✅ フード選びのチェックポイント
- AAFCO基準:成長期基準を満たす表記があるか
- タンパク質:22.5%以上
- EPA+DHA:合計0.05%以上
- カルシウム:1.2%以上(大型犬は上限1.8%に注意)
- 第1原材料:鶏肉・ラム肉・サーモンなど具体的な肉類名
- 避けたい原材料:「ミートミール」「副産物」など曖昧な表記、人工着色料、BHA・BHTなどの合成保存料
犬種サイズ別の特徴は前章のとおりです。小型犬の給餌量の詳しい計算は 小型犬の給餌量計算ガイド を、グレインフリーフードと拡張型心筋症(DCM)の関連は グレインフリーフードの炭水化物源 をご参照ください。
離乳期におすすめの小型犬用フード3選
小型犬の子犬には、エネルギー密度が高く粒サイズが小さい専用フードが向いています。低血糖予防のため脂質やタンパク質が多めに配合され、AAFCO成長期基準を満たした製品を厳選しました。
アーテミス フレッシュミックス スモールブリード パピー
| 成分 | タンパク質: 28%以上 / 脂質: 17%以上 / 繊維: 4.5%以下 / 炭水化物: 32.6%(推定) |
|---|---|
| カロリー | 368.7kcal/100g |
💡 こんな子におすすめ
- 小型犬の子犬で、食べやすい小粒サイズを探している
- 脳や視力の発達をしっかりサポートしたい
- お腹がデリケートで消化しやすいフードが必要
小型犬の子犬専用に設計されたプレミアムフードです。成長期に必要なタンパク質28%以上・高脂質設計で、DHAとEPAを配合し脳と視力の健康な発達をサポートします。ヒューマングレードの厳選素材を使用し、子犬の敏感な消化器系にも配慮した処方です。
アカナ パピースモールブリード

子犬用のドライへ慣らしていく小型犬の候補です。離乳の進み方に合わせて前章の手順でふやかし、粒の硬さと1回に食べる量を見て段階的に進めます。
| 対象 | 小型犬の子犬用・離乳後の主食候補 |
|---|---|
| 主原料 | 鶏肉 |
| タンパク質 | 33%以上 |
| 脂質 | 20%以上 |
| カロリー | 366kcal/100g |
| 形状 | ドライフード |
選ぶときのポイント
- 生後3〜4ヶ月でも、月齢だけで硬い粒へ一度に替えない
- 366kcal/100gの表示を使い、ふやかす前の重さで量を確認する
オリジン パピー

全年齢用のオリジナルではなく、成長期向けのパピーを比較する候補です。400kcal/100gの表示に合わせて給与量を確認し、食べやすい硬さから慣らしてください。
| 対象 | 子犬の成長期用・離乳後の主食候補 |
|---|---|
| 主原料 | 新鮮鶏肉 |
| タンパク質 | 38%以上 |
| 脂質 | 20%以上 |
| カロリー | 400kcal/100g |
| 形状 | ドライフード |
選ぶときのポイント
- 子犬用のパッケージと給与表を確認する
- 商品名だけで離乳開始直後に硬いまま与えられると判断しない
よくある質問
子犬のドッグフードはいつから始めればいいですか?
子犬のドッグフードは生後3〜4週齢から開始します。この時期は乳歯が生え始め、母乳だけでは栄養が足りなくなり始めます。最初はフードをお湯でふやかしてお粥状にし、1日3〜4回、1回小さじ1杯程度から始めましょう。子犬の体調を見ながら徐々に量を増やし、生後7〜8週齢で完全に固形フードに移行するのが標準的なスケジュールです。ただし小型犬は10週齢までかかることもあります。
離乳期の子犬にはどんな栄養素が向いていますか?
離乳期の子犬には成犬よりも高い栄養要求があります。AAFCO基準では、成長期用フードにはタンパク質22.5%以上(成犬は18%以上)が必要です。DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や目の発達に不可欠で、網膜に高濃度で存在します。カルシウムは1.2%以上(乾物ベース・大型犬の成長期は上限1.8%)、カルシウム:リン比は1:1〜2:1がAAFCOの成長期基準です。犬は腸からのカルシウム吸収を摂取量に合わせて調節できないため、過剰も不足も骨の発育異常を引き起こす可能性があります[4]。
子犬のフードをふやかす時間はどのくらいですか?
子犬のフードをふやかす時間は、生後週齢によって調整します。生後3〜4週齢では30〜40分かけて完全にお粥状にします。生後4〜5週齢では20〜30分でペースト状に、生後5〜6週齢では10〜15分で半固形状態にします。生後6〜8週齢になったら、ドライフードをそのまま与えるか、軽く水分を加える程度に移行します。お湯の温度は40℃前後(人肌程度)が最適で、熱湯は栄養素を破壊するため避けましょう。
離乳期の子犬は1日何回食事を与えればいいですか?
離乳期の子犬には1日4回の食事が向いています。生後3〜6ヶ月の子犬は胃が小さく、一度に多量の食事を消化できません。1日の必要カロリーを4回に分けることで、消化器への負担を減らし、血糖値を安定させます。特に小型犬は低血糖のリスクが高いため、1日5〜6回の少量給餌が必要な場合もあります。生後6ヶ月以降は1日3回、1歳以降は1日2回に減らしていくのが一般的です。
大型犬の子犬に与えるフードで気をつけたいことは何ですか?
大型犬(成犬時70ポンド/約32kg以上)の子犬には、急速な成長による骨格異常を防ぐため、大型犬専用の成長期フードが向いています。カルシウム含有量は1.2〜1.8%(乾物ベース)の範囲に抑え、過剰なカルシウム摂取を避けることがポイントです。大型犬は骨格の成長速度に筋肉や軟骨の発達が追いつかず、股関節形成不全や骨軟骨症などの発育性整形外科疾患(DOD)を起こしやすいためです。自由採食ではなく計量給餌とし、パッケージに記載された給餌量を守りましょう。
離乳期に下痢をしたらどうすればいいですか?
離乳期の下痢は一般的なトラブルです。軽度の軟便で元気がある場合は、1段階前のフード状態(より柔らかく)に戻し、給餌量を減らして様子を見ましょう。水様性下痢の場合は脱水のリスクがあるため動物病院を受診してください。血便が見られる場合はすぐに動物病院へ(感染症や寄生虫の可能性)。下痢+嘔吐+元気消失の組み合わせは緊急受診が必要です(パルボウイルスなど重篤な感染症の可能性)。
グレインフリー(穀物不使用)フードは子犬に与えても大丈夫ですか?
グレインフリーフードは必ずしも子犬に合うとは限りません。FDA(米国食品医薬品局)は、豆類(エンドウ豆、レンズ豆)を多く含むグレインフリーフードと犬の拡張型心筋症(DCM)との関連を調査してきましたが、フードとの因果関係は確立されていません。豆類に含まれる成分がタウリンやカルニチンの吸収を阻害する可能性が指摘されています。アレルギーや食物不耐性がなければ、穀物(玄米、オートミールなど)を含むフードを避ける必要はありません。グレインフリーフードを選ぶ場合は獣医師に相談しましょう。
小型犬のパピーには特有の栄養ニーズがあります。小型犬パピー向けのフード選びについては小型犬のパピー用フード選びガイドをご覧ください。
まとめ
週齢スケジュールはあくまで目安で、進み方には個体差があります。実務の基本は「1段階ずつ進め、下痢や食欲低下が出たら1段階前のフード状態に戻す」こと。迎え入れ直後はそれまでと同じフードを用意し、切り替えは徐々に行いましょう。特に小型犬は低血糖のサインに注意し、不安な点があれば必ず獣医師に相談してください。
参考文献を表示(全4件)
- Cornell University College of Veterinary Medicine. "Re-evaluating your dog's diet."
- VCA Animal Hospitals. "Feeding Times and Frequency for Your Dog."
- AAFCO (Association of American Feed Control Officials). "Official Publication" (AAFCO Dog and Cat Food Nutrient Profiles).
- Böswald LF, et al. "Factorial calculation of calcium and phosphorus requirements of growing dogs." PLoS One. 2019;14(8):e0220305. PMC6677383