「最近、うちの子の毛並みがパサついてきた気がする…」「フケが増えてきたかも?」そんな風に感じたことはありませんか?
実は、小型犬の皮膚と被毛は、健康状態を映し出す鏡のような存在です。毎日一緒にいるからこそ、ちょっとした変化に気づけるのは飼い主さんだけです。
この記事では、皮膚・被毛ケアに役立つ栄養成分と、フード選びのコツをわかりやすくお伝えしていきます。
皮膚・被毛トラブルのサインをチェック
こんな症状に心当たりは?
💡 皮膚・被毛のチェックポイント
- 被毛 - パサつき、ツヤがない、抜け毛が増えた
- 皮膚 - フケ、乾燥、べたつき、赤み
- 行動 - 頻繁に体を掻く、舐める、噛む
- 臭い - 体臭が強くなった
- その他 - 毛が薄くなった部分がある、発疹
これらの症状は、栄養不足、アレルギー、寄生虫、感染症、ホルモン異常など、さまざまな原因で起こります。フードの見直しで改善することもありますが、原因が特定できない場合は獣医師に相談しましょう。
【受診の目安】病院に行くべき症状
⚠️ 早めに動物病院へ相談すべき症状
- 激しくかゆがる(血が出るまで掻く)
- 脱毛(部分的にハゲている)
- 皮膚が赤く腫れている
- 膿や浸出液が出ている
- フケが大量に出る
- 皮膚に黒ずみやシミがある
- 体臭が急に強くなった
※この記事の情報は一般的な内容であり、診断や治療の代わりにはなりません。皮膚トラブルが気になる場合は、獣医師に相談してください。
どんな栄養素が皮膚・被毛の健康を支えるの?
健康な皮膚と美しい被毛を維持するには、適切な栄養が欠かせません。ここでは、特に大切な成分と、その働きについてお話しします。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
オメガ3脂肪酸は、魚油などに含まれる脂肪酸で、炎症に配慮した働きがあることが知られています。皮膚の健康維持をサポートし、被毛のツヤに良い変化が期待できます。
🔬 研究結果について
2021年の系統的レビューでは、EPA・DHAの補給が犬のアレルギー性皮膚炎や被毛の健康維持に有用である可能性が報告されています[1]。2020年のRCT(ランダム化比較試験)では、オメガ3サプリメントを60日間与えた犬で臨床スコアに良い変化が見られ、被毛の脂質量も増加したと報告されています[2]。
オメガ3脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。魚(サーモン、サバ、イワシなど)を主原料としたフードや、魚油を配合したフードがおすすめです。
オメガ6脂肪酸(リノール酸)
オメガ6脂肪酸は、皮膚バリア機能の維持に欠かせない成分です。皮膚の表面を覆う脂質層を形成し、水分の蒸発を防ぎます。オメガ6が不足すると、乾燥肌やフケの原因になります。
研究によると、脂漏症(べたつき・フケ)のある犬では、皮膚のオメガ6脂肪酸が不足していることが多いとされています。鶏脂、ひまわり油、コーン油などに多く含まれています。
オメガ6/オメガ3のバランス
オメガ6とオメガ3は、どちらも必要ですが、バランスが重要です。オメガ6は炎症を促進する作用があり、オメガ3は炎症を抑える作用があります。現代のドッグフードはオメガ6が過剰になりがちなため、オメガ3を意識して摂ることが大切です。
🔬 推奨される比率
オメガ6:オメガ3 = 5:1〜10:1が推奨されています。アトピー性皮膚炎の犬では、5.5:1の比率のフードで44%の犬のかゆみに良い変化が見られたという報告もあります[3]。
亜鉛(ジンク)
亜鉛は、皮膚細胞の分裂や傷の修復に関わる重要なミネラルです。亜鉛欠乏は、フケ、かさぶた、脱毛などの皮膚症状を引き起こします。
🔬 研究結果について
2021年のレビューでは、亜鉛とオメガ3脂肪酸を組み合わせた補給が、アトピー性皮膚炎の犬で良い変化をもたらしたと報告されています[4]。亜鉛とリノール酸の組み合わせで、被毛のツヤに良い変化が見られたという研究もあります。
亜鉛は肉類(特に牛肉、ラム肉)に多く含まれています。ただし、フィチン酸(穀物に含まれる)やカルシウムの過剰摂取は亜鉛の吸収を阻害するため、バランスの良い食事が重要です。
ビオチン(ビタミンH / B7)
ビオチンは、皮膚と被毛の健康に欠かせないビタミンです。ビオチン欠乏は、乾燥肌、フケ、脱毛、被毛のツヤ低下を引き起こします。
🔬 研究結果について
1989年の臨床研究では、皮膚・被毛トラブルのある犬119頭にビオチンを3-5週間与えたところ、多くの犬で良い変化が報告されています[5]。ただし、個体差があるため、獣医師への相談をおすすめします。
ビオチンは卵黄、レバー、魚などに含まれています。なお、生卵白に含まれるアビジンはビオチンの吸収を阻害するため、卵は加熱して与えましょう。
成分のまとめ
| 成分 | 主な働き | 多く含む食材 |
|---|---|---|
| オメガ3(EPA/DHA) | 炎症に配慮、かゆみサポート、被毛ツヤサポート | 魚(サーモン、サバ)、魚油 |
| オメガ6(リノール酸) | 皮膚バリア維持、乾燥防止 | 鶏脂、ひまわり油 |
| 亜鉛 | 皮膚細胞の修復、免疫機能 | 牛肉、ラム肉 |
| ビオチン | 皮膚・被毛の健康維持 | 卵黄、レバー |
【データで見る】皮膚・被毛ケアを気にする飼い主さんの傾向
当サイトの診断ツールで収集したデータから、皮膚・被毛ケアの悩みを持つ飼い主さんの傾向を分析しました。
📊 診断データの概要
2025年9月〜2026年1月のデータ(n=1,608)
- 「皮膚・被毛」を悩みとして選択した割合:42.0%(676件)
- これは全ての悩みカテゴリの中で最多でした
ライフステージ別の傾向
皮膚・被毛ケアを悩みとして選択した飼い主さんを、愛犬の年齢(ライフステージ)別に分析しました。
📊 ライフステージ別分布
皮膚・被毛選択者(n=676)
成犬(アダルト)が最も多く(47.0%)、若いうちからのケアが重要視されていることがわかります。
興味深いのは、成犬(アダルト)が最も多い点です。シニア犬よりも成犬の飼い主さんが皮膚・被毛ケアを気にしていることがわかります。若いうちからのケアが重要視されていると言えそうです。
皮膚・被毛と一緒に選ばれることが多い悩み
皮膚・被毛ケアを選択した飼い主さんが、同時に選んでいる悩みを分析しました。
📊 皮膚・被毛と併発しやすい悩み
皮膚・被毛選択者(n=676)
皮膚・被毛ケアとアレルギーの併発が約5割(48.4%)と最も多く、皮膚トラブルの背景にアレルギーがあるケースが多いことを示唆しています。
注目すべきは、皮膚・被毛ケアとアレルギーの併発が約5割という点です。皮膚トラブルの背景にアレルギーがあるケースが多いことを示唆しています。皮膚・被毛が気になる方は、アレルギーの可能性も念頭に置いておくとよいでしょう。
犬種別の傾向
皮膚・被毛ケアを選択した飼い主さんの犬種分布を見てみましょう。
📊 犬種別分布
皮膚・被毛選択者(n=676)
柴犬(12.0%)が2位に入っており、アトピー性皮膚炎が多い犬種として知られる傾向と一致しています。
柴犬(12.0%)が2位に入っているのは注目に値します。柴犬はアトピー性皮膚炎が多い犬種として知られており、このデータもそれを裏付けています。また、フレンチブルドッグ(6.7%)も皮膚トラブルが多い犬種です。これらの犬種は、特に皮膚ケアに配慮したフード選びが重要です。
皮膚・被毛に良いフードはどう選べばいい?
ここからは、実際にフードを選ぶときのポイントを5つご紹介します。
1. オメガ3脂肪酸が豊富か
皮膚・被毛ケアで最も重要なのは、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の含有量です。成分表示でオメガ3脂肪酸が0.5%以上、できれば1%以上含まれているフードを選びましょう。
💡 オメガ3が豊富な原材料
- サーモン、サバ、イワシなどの魚
- 魚油、サーモンオイル、フィッシュオイル
- 亜麻仁(フラックスシード)
2. オメガ6/オメガ3のバランス
オメガ6:オメガ3の比率が5:1〜10:1程度のフードを選びましょう。多くのドッグフードはこの比率を意識して設計されていますが、成分表示で確認するとより安心です。
3. 良質なタンパク質を使用しているか
皮膚と被毛はタンパク質から作られます。動物性タンパク質(肉、魚)を主原料としたフードを選びましょう。特に魚ベースのフードは、オメガ3脂肪酸も同時に摂れるのでおすすめです。
4. アレルゲンになりにくい原材料か
皮膚トラブルの約半数がアレルギーと関連しているというデータがあります。アレルギーが疑われる場合は、以下のポイントをチェックしましょう。
- 単一タンパク源(シングルプロテイン) - 原因の特定がしやすい
- 新奇タンパク質 - 鹿肉、カンガルー肉など、食べ慣れていないタンパク源
- グレインフリー - 穀物アレルギーが疑われる場合
5. 亜鉛・ビオチンが配合されているか
亜鉛やビオチンは、皮膚・被毛の健康維持に重要な栄養素です。多くの総合栄養食には配合されていますが、「皮膚・被毛ケア」を謳う製品は強化されていることが多いです。
皮膚・被毛サポートにおすすめのフード3選
※以下の製品は、オメガ脂肪酸の配合量とバランス、魚を主原料としている点を考慮して選定しました。
皮膚・被毛ケアが気になる小型犬におすすめのフードを3つご紹介します。いずれもオメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚・被毛の健康をサポートする設計になっています。
K9ナチュラル フリーズドライ ラム&キングサーモン
こんな子におすすめ
- 皮膚・被毛のツヤを取り戻したい子
- 関節ケアも一緒にしたい子
- 素材にこだわったフードを試したい子
K9ナチュラル ラム&キングサーモンは、ニュージーランドの牧草で育ったグラスフェッド・ラムと、栄養豊富なキングサーモンを使用した最高品質のフリーズドライフードです。緑イ貝由来のオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が皮膚の健康をサポートし、被毛に艶を与えます。
| メインタンパク | ラム肉、キングサーモン |
|---|---|
| 皮膚サポート | オメガ3脂肪酸1.1%、緑イ貝配合 |
| カロリー | 515kcal/100g |
| 価格目安 | 約14,388円/kg |
HEKA グレインフリー サーモン
こんな子におすすめ
- コスパ重視で皮膚ケアしたい子
- 魚ベースのフードが好きな子
- 低脂肪で体重管理もしたい子
HEKAグレインフリーサーモンは、フィンランド産の高品質なサーモンを主原料とした穀物不使用のフードです。脂肪8.5%と低脂肪ながら、魚由来のオメガ3脂肪酸が豊富で皮膚・被毛ケアに適しています。価格も手頃で続けやすいのが魅力です。
| メインタンパク | フレッシュサーモン(25%) |
|---|---|
| 皮膚サポート | 魚由来オメガ3脂肪酸 |
| カロリー | 343.1kcal/100g |
| 価格目安 | 約2,211円/kg |
エッセンシャル
こんな子におすすめ
- アレルギーが心配な子
- しっかり皮膚ケアしたい子
- お魚が大好きな子
エッセンシャルは、原材料の77%が魚で構成されたオメガ3脂肪酸2.7%配合の皮膚・被毛ケアに最適なフードです。鶏・豚・牛・穀物・大豆・乳製品を使用せず、アレルギーに配慮しながら皮膚の健康をサポートします。
| メインタンパク | サーモン、トラウト、ニシン、白身魚(77%) |
|---|---|
| 皮膚サポート | オメガ3脂肪酸2.7%、オメガ6脂肪酸2.1%配合 |
| カロリー | 356kcal/100g |
| 価格目安 | 約5,918円/1.8kg |
※製品の価格は変動する場合があります。最新の価格は各販売サイトでご確認ください。フードを変更する際は、7-14日かけて徐々に切り替えてください。
アレルギーが原因かも?と思ったら
一次データでは、皮膚・被毛ケアを選んだ飼い主さんの48.4%がアレルギーも同時に選択していました。皮膚トラブルの背景にアレルギーがある可能性は十分に考えられます。
食物アレルギーの症状
食物アレルギーによる皮膚症状には、以下のようなものがあります。
- 全身のかゆみ(特に耳、顔、足先、お腹)
- 慢性的な外耳炎
- 皮膚の赤み、発疹
- 下痢や嘔吐(消化器症状を伴う場合)
アレルギーが疑われる場合の対応
アレルギー対応のステップ
- 獣医師に相談 - まずは診察を受け、アレルギーかどうか確認
- 除去食試験 - 獣医師の指導のもと、特定の食材を除去したフードで様子を見る
- 単一タンパク源フードの検討 - 原因特定のため、シングルプロテインフードを試す
よくある質問
Q1. 皮膚・被毛に良いフードに変えたら、どのくらいで効果が出ますか?
一般的に、オメガ脂肪酸の効果が現れるまでに4〜8週間かかります。研究でも60日(約2ヶ月)で臨床スコアに良い変化が見られたという報告があります。被毛の生え変わりサイクルも考慮すると、最低2〜3ヶ月は続けて様子を見ることをおすすめします。
Q2. 毛並みが悪いのはフードのせいですか?
フードだけが原因とは限りません。皮膚・被毛トラブルの原因は、栄養不足、アレルギー、寄生虫(ノミ・ダニ)、感染症(真菌、細菌)、ホルモン異常、ストレスなど多岐にわたります。フードを変えても改善しない場合は、獣医師に相談して原因を特定しましょう。
Q3. オメガ3とオメガ6、どちらが大切ですか?
どちらも大切です。オメガ6は皮膚バリアの維持に必須で、オメガ3は皮膚・被毛の健康維持をサポートするとされています。両方をバランスよく摂ることが重要で、オメガ6:オメガ3の比率は5:1〜10:1程度が推奨されています。
Q4. サプリメントとフード、どちらで栄養を摂った方がいいですか?
まずは皮膚・被毛ケア成分が配合されたフードをベースにするのがおすすめです。フードだけで十分な量を摂れることが多く、毎日の食事で無理なく続けられます。サプリメントは、フードだけでは不足する場合や、より強化したい場合の補助的な選択肢として有効です。
Q5. 皮膚が弱い犬種はどんなフードを選べばいいですか?
柴犬やフレンチブルドッグなど皮膚トラブルが多い犬種は、オメガ3脂肪酸が豊富で、アレルゲンになりにくい原材料(魚、ラムなど)を使ったフードがおすすめです。穀物アレルギーが疑われる場合はグレインフリーも選択肢になります。
まとめ
小型犬の皮膚・被毛ケアについて、栄養成分から実際のフード選びまで解説しました。
- 皮膚・被毛の悩みは最も多い悩みカテゴリ(42.0%)
- オメガ3脂肪酸は炎症に配慮した働きがあり、研究報告も多い
- オメガ6とのバランス(5:1〜10:1)が重要
- 亜鉛・ビオチンも皮膚・被毛の健康に欠かせない
- 皮膚トラブルの約半数がアレルギーと併発(48.4%)
- 効果が現れるまで4-8週間かかるため、継続が大切
- フードで改善しない場合は獣医師に相談を
美しい毛並みは、愛犬の健康のバロメーター。日々の食事でできるケアから始めてみませんか?
重要: 皮膚トラブルが続く場合や、他の症状がある場合は、必ず獣医師に相談してください。この記事の情報は一般的な内容であり、診断や治療の代わりにはなりません。
参考文献を表示(全5件)
- Mazzeranghi F, et al. "Therapeutic Effect of EPA/DHA Supplementation in Neoplastic and Non-neoplastic Companion Animal Diseases: A Systematic Review." In Vivo. 2021;35(3):1419-1436. PMC8193331
- Combarros D, et al. "A prospective, randomized, double blind, placebo-controlled evaluation of the effects of an n-3 essential fatty acids supplement on clinical signs..." Vet Dermatol. 2020;31(5):376-e98.
- Olivry T, et al. "Impact of Nutritional Supplementation on Canine Dermatological Disorders." Animals. 2020;10(4):675. PMC7355824
- Pereira AM, et al. "Zinc in Dog Nutrition, Health and Disease: A Review." Animals. 2021;11(4):978. PMC8066201
- Volker L, et al. "Clinical study on the effect of biotin on skin conditions in dogs." Schweiz Arch Tierheilkd. 1989;131(10):621-5. PubMed