ドッグフードの鹿肉(ベニソン)を徹底解説|低アレルゲン・高タンパクの実力

ドッグフードの鹿肉(ベニソン)の栄養価・アレルギー対応・選び方を徹底解説

この記事の結論

鹿肉(ベニソン)は、食物アレルギー対応に最適な「新奇タンパク質(ノベルプロテイン)」。栄養面の特長を5つのポイントにまとめました。

  • アレルギー対応に最適 - 鶏・牛・豚に比べ犬が摂取経験を持ちにくく、除去食試験のタンパク源として推奨される[2]
  • 高タンパク・低脂肪 - 100gあたりタンパク質約22.5g、脂質約2.4gで、鶏ささみに匹敵する高タンパク・低脂肪プロファイル[1]
  • 鉄分・L-カルニチンが豊富 - ヘム鉄が3.4mg/100gと鶏肉の約3倍。脂肪燃焼を助けるL-カルニチンも豊富に含有
  • 国産ジビエも選択肢に - 日本産の野生鹿肉(ジビエ)は自然飼育で抗生物質・ホルモン剤不使用。トレーサビリティには注意が必要
  • 価格帯はやや高め - チキンベースの1.5〜3倍が目安。ただしアレルギー対応の医療費を考慮すると費用対効果は十分

鹿肉の栄養価からフード選びのポイントまで、下記で詳しく解説しています

「愛犬のアレルギーが改善しない」「鶏肉や牛肉のフードで体調を崩してしまう」──そんなお悩みを抱える飼い主さんにとって、鹿肉(ベニソン)を使ったドッグフードは有力な選択肢のひとつです。

鹿肉は、犬にとって摂取経験が少ない「ノベルプロテイン(新奇タンパク質)」に分類されるタンパク源です。食物アレルギーの除去食試験において、これまで食べたことのないタンパク源を選ぶことが重要とされており、鹿肉はその代表的な候補として注目されています[2]

この記事では、鹿肉の栄養価・アレルギー対応のメカニズム・日本産ジビエと輸入品の違い・価格帯と選び方まで、ドッグフードの原材料としての鹿肉を徹底的に解説します。

鹿肉(ベニソン)の栄養価

高タンパク・低脂肪のヘルシータンパク源

鹿肉の最大の特長は、高タンパクでありながら脂肪が極めて少ないことです。USDA(米国農務省)のFoodData Centralによると、鹿肉(赤身・生)100gあたりの栄養成分は以下のとおりです[1]

栄養素鹿肉(100gあたり)鶏むね肉(参考)牛もも肉(参考)
エネルギー120kcal165kcal250kcal
タンパク質22.5g23.1g20.4g
脂質2.4g3.6g17.4g
鉄分3.4mg1.0mg2.6mg
亜鉛2.1mg0.8mg4.5mg
ビタミンB20.45mg0.13mg0.22mg
ビタミンB60.37mg0.54mg0.36mg
ビタミンB126.3μg0.3μg2.6μg

このように、鹿肉は鶏むね肉と同等の高タンパク質を含みながら、脂質は鶏むね肉の約2/3、牛もも肉の約1/7しかありません。肥満が気になる犬や、膵炎などで低脂肪食が求められる犬にとって非常に有用な原材料です。

鉄分:鶏肉の約3倍を含有

鹿肉に含まれる鉄分は100gあたり3.4mgで、鶏肉の約3倍にあたります[1]。しかも、肉類に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれる吸収率の高い形態です。NRC(米国学術研究会議)の「犬と猫の栄養素要求量」によると、鉄は犬の赤血球形成や酸素運搬に不可欠なミネラルであり、特に成長期や妊娠・授乳期には需要が高まります[3]

貧血気味の犬やシニア犬にとって、鹿肉は自然な鉄分補給源として魅力的です。

L-カルニチン:脂肪燃焼をサポート

鹿肉にはL-カルニチンが豊富に含まれています。L-カルニチンは、脂肪酸をミトコンドリアに運び、エネルギーに変換する過程で欠かせないアミノ酸誘導体です。犬は体内でL-カルニチンを合成できますが、肥満犬や心臓病のリスクがある犬では、食事からの追加補給が推奨されることがあります[3]

体重管理が必要な犬には、低脂肪かつL-カルニチンが豊富な鹿肉は理にかなった選択です。体重管理の方法については犬の体重管理ガイドも参考にしてください。

ビタミンB群:代謝と神経機能を支える

鹿肉はビタミンB群が全体的に豊富で、特にビタミンB2(リボフラビン)が鶏肉の約3.5倍、ビタミンB12(コバラミン)が鶏肉の約21倍含まれています[1]。ビタミンB2は皮膚や被毛の健康維持に関与し、ビタミンB12は赤血球の形成と神経機能の維持に不可欠です。

鹿肉の栄養まとめ

鹿肉は「高タンパク・低脂肪・鉄分豊富・L-カルニチン含有」という4つの栄養的特長を持つ、犬にとって優れたタンパク源です。特に肥満管理やアレルギー対応が必要な犬に適した原材料といえます。原材料ラベルの読み方について詳しくはドッグフードの原材料表示ガイドをご覧ください。

なぜ鹿肉がアレルギー対応に使われるのか

ノベルプロテインとは何か

犬の食物アレルギーは、特定のタンパク質に対して免疫系が過剰に反応することで起こります。Mueller, Olivry & Prelaud(2016)の系統的レビューによると、犬の食物アレルギーの原因として最も多く報告されているタンパク源は牛肉、乳製品、鶏肉、小麦、大豆です[2]

これらの一般的なタンパク源に対してアレルギーを持つ犬には、過去に摂取したことのない「新奇タンパク質(ノベルプロテイン)」を用いた食事が推奨されます。鹿肉は日常的なドッグフードにはあまり使用されていないため、多くの犬にとってノベルプロテインに該当します。

除去食試験における鹿肉の役割

食物アレルギーの診断に用いられる「除去食試験」では、8〜12週間にわたってアレルゲンとなりうる食材を排除し、新奇タンパク質のみで構成された食事を与えます[2]。この期間中にかゆみや消化器症状が改善すれば、食物アレルギーの可能性が高いと判断されます。

鹿肉は、この除去食試験でよく使われるタンパク源のひとつです。ただし、近年は鹿肉を配合したフードが増えてきたため、すでに鹿肉入りのフードを食べたことがある犬にとっては「新奇」ではなくなる点に留意が必要です。

加水分解タンパクとの違い

アレルギー対応フードには、ノベルプロテインのほかに「加水分解タンパク」を使ったものがあります。加水分解タンパクは、タンパク質を酵素で分解して免疫系が認識しにくいほど小さな分子にしたものです。

鹿肉フードと加水分解タンパクフードの選択は、アレルギーの重症度や犬の食歴によって異なります。軽度〜中等度の食物アレルギーであればノベルプロテインの鹿肉フードで十分な効果が得られることが多く、重度の場合は加水分解タンパクフードがより確実です。食物アレルギーの詳しいメカニズムについては犬のアレルギー完全ガイドを参照してください。

除去食試験の注意点

  • おやつやトッピングも制限:除去食試験中は鹿肉フード以外のタンパク源を一切与えないことが重要
  • 最低8週間は継続:効果の判定には十分な期間が必要
  • 自己判断ではなく動物病院と相談:除去食試験は正確な手順で行わないと意味がない
  • 鹿肉が「新奇」であることを確認:過去に鹿肉入りフードを与えたことがある場合、ほかのノベルプロテインを検討

日本産鹿肉(ジビエ)と輸入鹿肉の違い

日本産ジビエ鹿肉の特徴

近年、日本国内でも野生鹿の個体数増加に伴い、有害鳥獣駆除で捕獲された鹿を活用したジビエ鹿肉がドッグフード原材料として注目されています。日本産ジビエの主な特徴は以下のとおりです。

  • 完全に野生飼育:山野を自由に動き回り、自然の植物を食べて育つため、飼育環境に起因するストレスが少ない
  • 抗生物質・ホルモン剤不使用:畜産と異なり、薬剤の投与がないため残留リスクがない
  • 季節による栄養価の変動:冬季は脂肪が多く蓄えられ、夏季は脂肪が少なくなるなど、季節によって栄養組成が変動する
  • 地域貢献につながる:鹿による農林業被害の軽減と地域経済の活性化に貢献

輸入鹿肉の特徴

ドッグフードに使われる輸入鹿肉は、主にニュージーランド産の牧場飼育鹿(ファーミングディア)が中心です。ニュージーランドは世界最大の鹿牧場国であり、安定した品質と供給量が強みです。

  • 品質の安定性:牧場で管理された環境で飼育されるため、栄養価のばらつきが少ない
  • 厳格な衛生基準:ニュージーランドの食品安全基準に基づいた解体・加工が行われる
  • 通年供給が可能:計画的な飼育により、季節に左右されない安定供給が可能
  • コストがやや抑えめ:大規模牧場による効率的な生産で、日本産ジビエよりコストを抑えられる傾向

日本産 vs 輸入:比較表

項目日本産ジビエ輸入(NZ産など)
飼育環境完全野生牧場飼育が主流
抗生物質不使用(野生のため)基本的に不使用(NZ基準)
品質の安定性個体差・季節差あり安定
トレーサビリティ処理施設による制度が整備済み
供給量限定的安定供給可能
価格帯やや高い中程度
環境面有害鳥獣対策に貢献牧場管理のCO2負荷あり

ジビエ鹿肉フード選びのポイント

日本産ジビエを選ぶ場合は、処理施設が厚生労働省の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」に準拠しているかを確認しましょう。信頼できるメーカーは、捕獲から解体・加工までの工程を明示しています。原材料の品質全般について気になる方はドッグフードの原材料表示ガイドも参考になります。

鹿肉フードの価格帯と選び方

鹿肉フードのコスト比較

鹿肉を主原料としたドッグフードは、一般的なチキンベースのフードと比較すると1.5〜3倍程度の価格帯になります。タンパク源別のドッグフード価格帯の目安は以下のとおりです。

主原料1kgあたり価格帯(目安)体重5kgの犬の月額目安
チキン(鶏肉)1,500〜3,000円約3,000〜6,000円
サーモン2,000〜4,000円約4,000〜8,000円
ラム(羊肉)2,500〜4,500円約5,000〜9,000円
鹿肉(ベニソン)3,000〜6,000円約6,000〜12,000円
加水分解タンパク3,500〜7,000円約7,000〜14,000円

※あくまで一般的な市場価格の目安であり、メーカーや製品によって異なります。

鹿肉フードを選ぶ5つのチェックポイント

鹿肉フードは種類が増えてきましたが、製品によって品質は大きく異なります。以下の5つのポイントを確認してから選びましょう。

1. 鹿肉が第一原材料であること

原材料表示は含有量の多い順に記載するルールがあります[4]。「鹿肉」「ベニソン」「鹿肉ミール」が原材料の最初に記載されていることを確認しましょう。3番目以降に記載されている場合、鹿肉の配合量はそれほど多くない可能性があります。

2. 単一タンパク源かどうか

アレルギー対応が目的の場合、鹿肉のみをタンパク源とする単一タンパク源(シングルプロテイン)の製品を選ぶことが重要です。「鹿肉+チキン」のように複数のタンパク源が混在するフードでは、除去食としての意味がなくなります。

3. AAFCO基準を満たした総合栄養食であること

鹿肉フードの中には、一般食やおやつに分類される製品もあります。主食として与える場合は、AAFCO(米国飼料検査官協会)の栄養基準を満たした「総合栄養食」であることを確認してください[4]

4. 鹿肉の産地・品質が明示されているか

「ベニソン使用」とだけ記載し、産地や品質グレードを明示していないフードには注意が必要です。信頼できるメーカーは、鹿肉の産地(ニュージーランド産、北海道産など)や飼育形態(牧場飼育、野生ジビエなど)を明確にしています。

5. 不要な添加物が少ないか

せっかくアレルギー対応で鹿肉フードを選んでも、人工着色料・人工香料・BHA/BHTなどの合成酸化防止剤が多用されていては本末転倒です。添加物の少ないシンプルな配合のフードを選びましょう。フードの品質を見分ける方法についてはドッグフードの安全性ガイドもあわせてご覧ください。

鹿肉が向いている犬・向かない犬

鹿肉フードが向いている犬

こんな犬におすすめ

  • 食物アレルギーが疑われる犬:鶏肉・牛肉・豚肉に反応する犬のノベルプロテイン候補として
  • 肥満・体重管理が必要な犬:低脂肪・低カロリーのタンパク源として
  • 膵炎の既往がある犬:低脂肪食が求められる犬に適合
  • 貧血気味の犬:ヘム鉄が豊富で鉄分補給に有効
  • 活動量の多い犬:高タンパクで筋肉維持をサポート
  • 皮膚・被毛トラブルのある犬:ビタミンB群が皮膚・被毛の健康を支える

鹿肉フードが向かない犬

注意が必要なケース

  • すでに鹿肉を食べたことがある犬(アレルギー対応目的の場合):ノベルプロテインとしての意味がなくなるため、ほかの新奇タンパク質(カンガルー肉、ワニ肉など)を検討
  • 腎臓病でタンパク質制限がある犬:高タンパクな鹿肉は腎臓への負担が増す可能性があるため、動物病院と相談が必要
  • 特に健康上の問題がない犬:アレルギーや体重の問題がない犬であれば、わざわざ高価な鹿肉フードを選ぶ必要はない。一般的なチキンベースやサーモンベースで十分
  • コストを最優先にしたい飼い主:鹿肉フードは一般フードの1.5〜3倍の価格帯。予算的な持続可能性も重要な判断材料

愛犬のタンパク源選びに迷ったら、ドッグフードのタンパク源比較ガイドで主要なタンパク源の特徴を比較してみてください。

よくある質問

鹿肉ドッグフードは子犬に与えても大丈夫ですか?

鹿肉は子犬にも与えることができます。高タンパク・低脂肪で消化性も比較的良好なため、成長期のタンパク源として適しています。ただし、子犬に与える場合はAAFCO(米国飼料検査官協会)の成長期基準を満たした総合栄養食であることを確認してください[4]。鹿肉単体のトッピングではなく、栄養バランスが設計された鹿肉ベースの総合栄養食を選ぶのが安心です。子犬のフード選びについては子犬のフードガイドもあわせてどうぞ。

鹿肉アレルギーの犬はいますか?

非常にまれですが、鹿肉にアレルギー反応を示す犬も存在します。Mueller, Olivry & Prelaud(2016)の系統的レビューでは、鹿肉は犬の食物アレルギーの主要原因としてはほとんど報告されていません[2]。ただし、どのタンパク質でもアレルギーを引き起こす可能性はゼロではないため、初めて鹿肉を与える際は少量から始めて、皮膚のかゆみ・発赤・消化器症状(嘔吐・下痢)などが出ないか2〜3日間観察することをおすすめします。

鹿肉ドッグフードはなぜ高いのですか?

鹿肉ドッグフードが高価な理由は主に3つあります。第一に、鹿は鶏や牛のように大規模な畜産で効率的に生産される動物ではなく、飼育頭数が限られるため原材料コストが高くなります。第二に、日本産ジビエの場合は野生鹿の捕獲・解体・品質管理に手間とコストがかかります。第三に、ノベルプロテインとしてのアレルギー対応フードは少量生産であることが多く、スケールメリットが効きにくい構造です。ただし、アレルギー対応が必要な犬にとっては、通院費や除去食の試行錯誤を考慮すると、結果的にコストパフォーマンスが高い選択になることもあります。

鹿肉フードと馬肉フード、アレルギー対応にはどちらが良いですか?

どちらもノベルプロテイン(新奇タンパク質)として食物アレルギー対応に使われる原材料であり、栄養面でも高タンパク・低脂肪という共通点があります。選択のポイントは「その犬が過去に食べたことがあるかどうか」です。食物アレルギーの除去食試験では、犬がこれまで摂取したことのないタンパク源を選ぶことが重要とされています[2]。鹿肉も馬肉も食べたことがない犬であれば、どちらでも構いません。ただし、鹿肉のほうがL-カルニチンや鉄分がやや豊富な傾向があり、馬肉は入手性がやや良いという違いがあります。かかりつけの動物病院と相談しながら選ぶのが最善です。

まとめ

鹿肉(ベニソン)は、高タンパク(22.5g/100g)・低脂肪(2.4g/100g)・鉄分豊富(3.4mg/100g)という優れた栄養プロファイルを持つタンパク源です[1]。鶏肉・牛肉・豚肉などの一般的なタンパク源にアレルギーを持つ犬にとって、ノベルプロテインとしての鹿肉は有力な選択肢となります[2]

日本産ジビエと輸入鹿肉にはそれぞれメリット・デメリットがあり、品質の安定性を重視するならニュージーランド産などの牧場飼育鹿、自然飼育や地域貢献を重視するなら国産ジビエという使い分けが可能です。

価格帯はチキンベースの1.5〜3倍と高めですが、食物アレルギーで悩む犬にとっては、通院コストの削減やQOL(生活の質)の向上につながる投資と考えることができます。選ぶ際は「鹿肉が第一原材料か」「単一タンパク源か」「AAFCO基準を満たしているか」を必ずチェックしましょう。

愛犬の体質やアレルギーの状況に合わせて、鹿肉フードが適切かどうかを見極め、最適なフード選びに役立ててください。

参考文献を表示(全4件)
  1. USDA FoodData Central. "Game meat, deer, raw." FDC ID: 175297.
  2. Mueller RS, Olivry T, Prelaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats." BMC Vet Res. 2016;12:9. DOI: 10.1186/s12917-016-0633-8
  3. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006.
  4. AAFCO. "Understanding Pet Food." Association of American Feed Control Officials.

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