ドッグフードのチキン(鶏肉)を徹底解説|栄養価・品質の見分け方

ドッグフードのチキン(鶏肉)の栄養価と品質の見分け方を解説

この記事の結論

チキン(鶏肉)はドッグフードで最も広く使用される動物性タンパク源です。栄養価が高く多くの犬に適していますが、「チキン」の表示にも品質差があります。5つのポイントを押さえましょう。

  • 高品質なタンパク源 - 鶏むね肉100gあたりタンパク質約23g、脂質約1.2gと高タンパク・低脂肪。必須アミノ酸をバランスよく含む[2]
  • 「チキン」と「チキンミール」は別物 - 生チキンは水分約75%。チキンミールは脱水加工済みで、同重量あたりのタンパク質は約3倍[1]
  • 第1原料でも実質量に注意 - 水分を含む生チキンが第1原料でも、乾燥後の実質量は表示順位ほど多くない場合がある
  • 犬のアレルギー原因として3番目に多い - Mueller et al.(2016)の研究で、牛肉・乳製品に次いで鶏肉が3番目に多いアレルゲンと報告[3]
  • 部位の明記がある製品が望ましい - 「チキン」より「鶏むね肉」「鶏ささみ」など部位が明記されている方が品質の透明性が高い

チキンミールや副産物の違い、アレルギーとの関係まで、下記で詳しく解説しています

ドッグフードのパッケージを見ると、原材料の先頭に「チキン」「鶏肉」と書かれた製品がとても多いことに気づくでしょう。しかし、同じ「チキン」でも「チキンミール」「チキン副産物」「チキンエキス」など、さまざまな表記があり、その違いを正確に理解している飼い主さんは少ないのではないでしょうか。

この記事では、ドッグフードの原材料としてのチキン(鶏肉)について、栄養価、表示の読み方、チキンミールとの違い、アレルギーとの関係まで、AAFCO(米国飼料検査官協会)の定義やUSDA(米国農務省)の栄養データなどの信頼性の高い情報源に基づいて徹底解説します。

愛犬のフード選びにおいて、原材料のチキンを正しく理解することは、品質を見極める大きな手がかりになります。

チキンの栄養価

高タンパク・低脂肪の優秀なタンパク源

鶏肉は、犬にとって非常に優れた動物性タンパク源です。USDA FoodData Centralのデータによると、鶏むね肉(皮なし・生)100gあたりの栄養組成は以下のとおりです[2]

栄養素鶏むね肉(100gあたり)鶏もも肉(100gあたり)犬への役割
エネルギー120kcal177kcal活動エネルギーの供給
タンパク質22.5g18.6g筋肉・臓器・被毛の材料
脂質2.6g10.9gエネルギー源・皮膚の健康
水分73.9g68.8g-
リン210mg178mg骨・歯の形成
セレン27.6µg22.0µg抗酸化・甲状腺機能
ナイアシン(B3)10.4mg6.4mgエネルギー代謝の補助
ビタミンB60.64mg0.36mgアミノ酸代謝・免疫機能

必須アミノ酸プロファイル

犬の体内で合成できない10種類の必須アミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリン)について、鶏肉はそのすべてを十分な量で含んでいます[4]

特にロイシンは筋肉の合成に深く関わるアミノ酸で、鶏むね肉100gあたり約1.7gと豊富です。また、リジンはコラーゲンの合成やカルシウムの吸収に必要で、鶏肉はリジンの含有量も高い食材です。

NRC(米国学術研究会議)の「犬と猫の栄養素要求量」では、成犬の維持に必要なタンパク質は乾物基準で最低10%とされていますが、最適な健康維持には25%前後が推奨されています[4]。チキンを主原料とするフードは、この基準を十分に満たすことができます。

部位による栄養の違い

同じ鶏肉でも、むね肉は高タンパク・低脂肪もも肉は脂質が多くエネルギー密度が高いという特徴があります。体重管理が必要な犬にはむね肉ベース、活動量が多い犬やエネルギーを多く必要とする子犬にはもも肉を含む配合のフードが適しています。ドッグフードの原材料に部位まで明記されている場合は、愛犬の体質に合った選択の手がかりになります。

「チキン」と「チキンミール」の違い

AAFCO(米国飼料検査官協会)による定義

ドッグフードの原材料表示における「チキン」と「チキンミール」は、まったく異なるものです。AAFCO(Association of American Feed Control Officials)は、それぞれを明確に定義しています[1]

項目チキン(Chicken)チキンミール(Chicken Meal)
AAFCOの定義屠殺された鶏から得られる骨付きまたは骨なしの清浄な肉および皮の組み合わせ乾燥した鶏の清浄な肉と皮の組み合わせをレンダリング加工したもの
水分含有量約75%約10%
タンパク質濃度(概算)約18〜23%約60〜65%
加工状態生または冷凍の未加工肉レンダリング(加熱・脱水・脱脂)済み
含まれない部位羽毛・頭・足・内臓羽毛・頭・足・内臓

水分量の違いが意味すること

ここで重要なのは水分含有量の差です。生のチキンは約75%が水分であり、乾燥後に残るタンパク質や脂質などの固形分は約25%にすぎません。

一方、チキンミールはすでに水分を約10%まで除去しているため、同じ重量あたりの固形分(タンパク質)はチキンミールのほうが約3倍も濃縮されています。つまり、原材料表示で「チキンミール」が上位にある製品は、実質的なタンパク質含有量がかなり高いことを意味します。

チキンミールは低品質なのか?

「ミール」という言葉に対してネガティブな印象を持つ飼い主さんは少なくありません。しかし、AAFCOの定義に基づく「チキンミール」は、羽毛・頭・足・内臓を含まないとされており、品質基準は明確に定められています[1]

チキンミールが低品質であるという認識は必ずしも正確ではなく、タンパク質の濃縮原料として合理的な選択肢です。ただし、レンダリング加工の過程で一部の熱に弱い栄養素が損なわれる可能性はあります。品質の透明性を重視するなら、製造元がレンダリング工程や原料の調達先を開示しているかを確認するとよいでしょう。

「チキン副産物」「チキンエキス」の本当の意味

チキン副産物(Chicken By-Products)

AAFCOの定義によると、チキン副産物(Chicken By-Products)とは、屠殺された鶏から得られる骨を含まない清浄な部位で、内臓(レバー、ハツ、砂肝、腸など)を含みます。ただし、羽毛を除きます[1]

副産物に含まれる内臓類は、実は栄養価が非常に高い部位です。たとえば鶏レバーはビタミンA、鉄分、銅が豊富で、犬の栄養補給に優れた食材です。野生のイヌ科動物が獲物を食べる際、真っ先に内臓を食べることからも、犬にとって内臓が本来重要な栄養源であることがわかります。

ただし、副産物はAAFCOの定義上、含まれる部位の範囲が広いため、製品によって品質にばらつきが生じやすいのも事実です。「チキン副産物」よりも「チキンレバー」「チキンハツ」のように具体的な部位名が記載されている製品のほうが、何が入っているか明確で安心できます。

チキン副産物ミール(Chicken By-Product Meal)

チキン副産物ミールは、上記の副産物をレンダリング加工(加熱・脱水・脱脂)したものです。チキンミールとの最大の違いは、内臓が含まれる点です。栄養価は必ずしも低くありませんが、原料の幅が広いぶん、品質の均一性では「チキンミール」に劣る場合があります。

チキンエキス(Chicken Digest / Chicken Flavor)

チキンエキス(チキンダイジェスト)は、鶏の組織を酵素や酸で加水分解して得られる液体または粉末状の風味付け成分です。主にフードの嗜好性(食いつき)を高める目的で使用されます。

タンパク源としての栄養的な役割はほとんどなく、あくまで「フレーバー」としての位置づけです。原材料リストの末尾に少量配合されていることが多いため、これ自体が品質の良し悪しを決定づけるものではありません。

チキン関連の原材料名まとめ

  • チキン / 鶏肉:生の鶏肉(水分約75%)。最も一般的な表記
  • チキンミール:脱水加工済みの鶏肉粉末。タンパク質が濃縮されている
  • チキン副産物:内臓を含む鶏肉の部位。栄養価は高いが品質にばらつきあり
  • チキン副産物ミール:副産物を脱水加工したもの
  • チキンエキス / チキンダイジェスト:風味付け目的の加水分解成分

原材料表示の読み方

第1原料が「チキン」でも安心できない理由

ペットフードの原材料は、配合量(重量)の多い順に記載することがルールです。「チキン」が原材料の最初に記載されていれば、最も多く配合されている原材料がチキンであることを意味します。

しかし、ここで注意が必要です。前述のとおり、生のチキンは約75%が水分です。たとえば、フードの原材料にチキンが100g配合されていても、加工後に水分が蒸発すると、実質の固形分は約25gにまで減少します。

「分割表示」にも注意

もうひとつ注意したいのが、穀物の分割表示(ingredient splitting)です。たとえば、原材料表示が以下のようになっているケースを考えてみましょう。

原材料:チキン、コーングルテンミール、とうもろこし粉、とうもろこし、鶏脂…

一見するとチキンが最も多いように見えますが、「コーングルテンミール」「とうもろこし粉」「とうもろこし」を合算すると、実質的にはとうもろこし由来の原材料が最も多い可能性があります。これは同じ原材料を異なる加工形態に分けて表記することで、個々の重量を少なく見せるテクニックです。

品質を見極めるチェックポイント

愛犬のフードに使われているチキンの品質を見極めるために、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 部位の明記:「チキン」よりも「鶏むね肉」「鶏ささみ」など具体的な部位が記載されている
  • 動物性タンパク源が複数上位にある:チキン+チキンミールなど、動物性原料が上位に複数あれば実質的なタンパク質量が豊富
  • 穀物の分割表示がない:同系統の穀物が異なる名前で複数表示されていないか
  • 保証分析値との整合性:粗タンパク質が25%以上あれば、十分な動物性タンパク質が含まれている目安に

原材料表示の読み方についてさらに詳しく知りたい方は、ドッグフードの原材料表示ガイドも参考にしてください。

「ヒューマングレード」の注意点

「ヒューマングレードのチキン使用」と謳う製品がありますが、AAFCOは「ヒューマングレード」という表示について、製造施設を含むすべての工程が人間の食品基準を満たしている場合にのみ使用可能と定めています。原料だけがヒューマングレードでも、ペットフード専用工場で製造されている場合はこの表示は厳密には正確ではありません。「ヒューマングレード」の文言だけで品質を判断せず、メーカーの情報開示姿勢を総合的に確認しましょう。

チキンとアレルギーの関係

犬の食物アレルギーで3番目に多い原因タンパク源

チキンは栄養的に優れたタンパク源ですが、犬の食物アレルギーにおいて最も報告の多い原因タンパク源のひとつでもあります。

Mueller, Olivry & Prélaud(2016)が発表したシステマティックレビューでは、犬の食物有害反応(cutaneous adverse food reactions)に関する研究をメタ分析しました。297頭の犬を対象とした結果、アレルギー反応が確認された食材は以下のとおりです[3]

食材反応が確認された頭数全体に占める割合
牛肉102頭34%
乳製品51頭17%
鶏肉45頭15%
小麦42頭14%
ラム14頭5%

チキンアレルギーが多い理由

鶏肉がアレルギーの原因として上位にランクインしている理由は、鶏肉が「危険な食材」だからではありません。最大の要因は、鶏肉がドッグフードで最も広く使用されているタンパク源であるため、犬が鶏肉のタンパク質に暴露される機会が圧倒的に多いことにあります。

食物アレルギーは、特定のタンパク質に繰り返し暴露されることで免疫系が過剰反応を起こす現象です。したがって、使用頻度の高い食材ほどアレルギーの報告数も多くなる傾向があります。

チキンアレルギーの症状

犬のチキンアレルギーでよく見られる症状には以下のものがあります。

  • 皮膚症状:かゆみ、発赤、脱毛(特に耳・足先・腹部・脇の下)
  • 消化器症状:慢性的な下痢、軟便、嘔吐
  • 外耳炎:繰り返す耳の炎症や耳垢の増加
  • 足を頻繁に舐める:指間炎(指の間の炎症)を伴うことも

これらの症状が見られる場合は、動物病院で除去食試験(elimination diet trial)を行い、原因食材を特定することが推奨されます。食物アレルギーの詳しい対処法については、犬のアレルギー完全ガイドをご参照ください。

チキンベースのフードが向いている犬・向かない犬

チキンベースのフードが向いている犬

チキンベースが適している犬の特徴

  • 健康な成犬全般:チキンは消化吸収がよく、バランスの取れたアミノ酸プロファイルを持つ
  • 活動的な犬・スポーツドッグ:高タンパクで筋肉の維持・回復をサポート
  • 子犬:成長に必要な良質なタンパク質と必須アミノ酸を効率よく摂取できる
  • 体重管理が必要な犬:むね肉ベースなら低脂肪・高タンパクで理想的
  • コストパフォーマンスを重視したい飼い主:鶏肉は他の肉類と比較して供給量が安定しており、良質なフードを比較的手頃な価格で選びやすい

チキンベースのフードが向かない犬

チキンベースを避けたほうがよい犬の特徴

  • チキンアレルギーが確認されている犬:除去食試験で鶏肉への反応が確認された場合、魚・鹿肉・ラムなどの代替タンパク源に切り替える
  • 食物アレルギーの疑いがある犬:原因特定のために新奇タンパク質(ベニソン、カンガルーなど)を使用した除去食が推奨される
  • 同じタンパク源を長期間続けている犬:ローテーション(複数のタンパク源を定期的に切り替え)でアレルギーリスクを軽減できる可能性がある

タンパク源のローテーションや代替食材については、タンパク源ローテーションガイドで詳しく解説しています。また、愛犬に合うフードを体系的に探したい場合は、フード診断をご活用ください。

よくある質問

ドッグフードの原材料に「チキン」と書いてあれば高品質ですか?

「チキン」が原材料の第1位に表示されていても、それだけで高品質とは判断できません。生のチキンは約75%が水分であり、加工後に水分が抜けると実質的な含有量は大幅に減少します。品質を見極めるには、チキンの具体的な部位(むね肉、ささみなど)が明記されているか、他のタンパク源も含めた全体的な原材料構成を確認することが重要です。また、穀物の分割表示がないかどうかもチェックしましょう。

チキンミールとチキンの違いは何ですか?

チキン(生鶏肉)は水分約75%を含む未加工の鶏肉で、チキンミールは鶏肉をレンダリング(加熱・脱水・脱脂)加工して粉末状にしたものです。チキンミールは水分が約10%まで除去されているため、同じ重量あたりのタンパク質含有量は生チキンの約3倍になります。AAFCOの定義では、チキンミールには羽毛・頭・足・内臓は含まれないとされています[1]。「ミール=低品質」ではなく、タンパク質の濃縮原料として合理的な選択肢です。

犬のチキンアレルギーはどのくらい多いですか?

Mueller et al.(2016)の297頭を対象としたシステマティックレビューによると、犬の食物アレルギーで反応が確認された食材のうち、牛肉(102頭)に次いで鶏肉(45頭)は3番目に多い原因タンパク源でした[3]。ただし、これはチキンが有害だからではなく、ドッグフードに最も多く使用されているタンパク源であるため、暴露機会が多いことが主な要因と考えられています。

チキン副産物(バイプロダクト)は避けるべきですか?

チキン副産物には内臓(レバー、ハツ、砂肝など)が含まれており、栄養価は必ずしも低くありません。レバーにはビタミンAや鉄分が豊富です。ただし、AAFCOの定義では副産物に含まれる部位の範囲が広く、品質にばらつきが生じやすい点は事実です。具体的な部位(チキンレバー、チキンハツなど)が明記されている製品のほうが、品質の透明性は高いといえます。

まとめ

チキン(鶏肉)は、高タンパク・低脂肪で必須アミノ酸のバランスに優れた、犬にとって最も一般的かつ優秀なタンパク源です[2]。多くの犬に適しており、子犬からシニア犬まで幅広いライフステージで活用されています。

ただし、原材料表示の「チキン」には注意が必要です。生チキンは約75%が水分であるため、第1原料に表示されていても加工後の実質的なタンパク質量は見た目ほど多くない場合があります。チキンミールや副産物との違いを正しく理解し、部位の明記や穀物の分割表示の有無を確認することで、フードの品質を正しく見極めることができます[1]

また、鶏肉は犬の食物アレルギー原因として牛肉・乳製品に次いで3番目に多いタンパク源です[3]。愛犬にかゆみや慢性的な消化不良が見られる場合は、チキンアレルギーの可能性も視野に入れ、動物病院での除去食試験を検討しましょう。

原材料の知識を身につけることは、愛犬の健康を守るフード選びの第一歩です。この記事が、チキンベースのドッグフードを正しく評価するための参考になれば幸いです。

参考文献を表示(全4件)
  1. AAFCO (Association of American Feed Control Officials). "Pet Food Labels - AAFCO." Official Pet Food and Feed Terms and Definitions.
  2. USDA FoodData Central. "Chicken, broilers or fryers, breast, skinless, boneless, meat only, raw." FDC ID: 171077.
  3. Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats." BMC Vet Res. 2016;12:9. DOI: 10.1186/s12917-016-0633-8
  4. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006.

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