犬にトマトは大丈夫?未熟トマトの危険性と安全な与え方

犬にトマトを与えても大丈夫?完熟トマトの安全な与え方と未熟トマトの危険性を解説

この記事の結論

犬にトマトは「完熟した赤い果肉なら少量OK・未熟な緑のトマトや茎・葉はNG」。研究データに基づく5つのポイントをまとめました。

  • 完熟トマトの果肉:食べてOK - 完熟した赤いトマトの果肉部分は犬に安全です。ASPCAはトマトの果実を有毒植物リストの対象外としています[2]
  • 未熟な緑のトマト・茎・葉:NG - トマチン(グリコアルカロイド)が含まれ、嘔吐・下痢・震えなどの中毒症状を引き起こす可能性があります[5]
  • 栄養面のメリット - リコピン、ビタミンC(13.7mg/100g)、ビタミンA、カリウム(237mg/100g)が豊富[1]
  • 体重別の適量 - 小型犬(5kg)でミニトマト1個程度/日、中型犬(10kg)で中玉トマト1/4個程度。おやつの10%ルールを守ること
  • 加工品は基本NG - トマトジュース・ケチャップ・トマトソースは塩分・添加物・玉ねぎ等が含まれるため与えないこと

未熟トマトの危険性と体重別の適量目安を、下記で詳しく解説しています

「トマトを食べたそうに見ているけど、犬にあげても大丈夫なのかな...?」そんな疑問を持つ飼い主さんは多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、完熟した赤いトマトの果肉は、犬が食べても安全です。トマトの果実そのものはASPCA(米国動物虐待防止協会)の有毒植物リストで犬に有毒とはされていません[2]

ただし、トマトはナス科の植物であり、未熟な緑の果実や茎・葉にはトマチンというグリコアルカロイド(毒素)が含まれています。この記事では、研究データに基づいて、犬にトマトを安全に与えるための知識・適量・注意点を詳しく解説します。

トマトの栄養素と犬への効果

トマトに含まれる主な栄養素

USDA(米国農務省)のFoodData Centralによると、生の赤いトマト100gあたりの栄養成分は以下のとおりです[1]

栄養素100gあたりの含有量犬への期待効果
エネルギー18kcal低カロリーのおやつに最適
リコピン2,573μg強力な抗酸化作用
ビタミンC13.7mg抗酸化作用・免疫機能の補助
ビタミンA(β-カロテン)449μg視覚・皮膚・被毛の健康維持
カリウム237mg筋肉・心臓機能の維持
食物繊維1.2g腸内環境の改善
水分94.5g水分補給のサポート

リコピン:強力な抗酸化物質

トマトの赤い色素成分であるリコピンは、カロテノイドの中でも特に強い抗酸化作用を持つことで知られています。活性酸素によるダメージから細胞を守り、老化の進行を遅らせる働きがあるとされています。

リコピンは加熱することで吸収率が向上するという研究報告もあり、加熱したトマトを少量与えることで、より効率的にリコピンを摂取させることが可能です。ただし、犬が主食のドッグフードで十分な栄養を摂取している場合、トマトからのリコピン補給は「プラスアルファ」の位置づけと考えましょう。

ビタミンC:免疫機能のサポート

トマト100gに含まれるビタミンCは13.7mgです。犬は体内でビタミンCを合成できますが、ストレスや加齢により消費量が増えることがあり、食事からの補給が健康維持に役立つ場合があります[4]。抗酸化作用によるフリーラジカルの除去にも寄与します。

ビタミンA(β-カロテン):皮膚と被毛の健康に

トマトに含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAに変換され、犬の視覚機能、皮膚の健康、被毛のツヤの維持に重要な役割を果たします[4]。NRC(米国学術研究会議)の基準では、ビタミンAは犬の必須栄養素のひとつとされています。

カリウム:筋肉と心臓の健康をサポート

トマト100gあたり237mgのカリウムが含まれています。カリウムは犬の筋肉の正常な収縮や心臓のリズムを維持するために欠かせないミネラルです[4]。主食のドッグフードで基本的なカリウムは十分まかなえますが、トマトを少量のおやつとして与えることで、自然な形での補給が期待できます。

トマトの栄養まとめ

トマトは100gあたりわずか18kcalと低カロリーでありながら、リコピン・ビタミンC・ビタミンA・カリウムなど犬の健康に有用な栄養素を含んでいます。水分も94.5%と非常に豊富で、夏場の水分補給のサポートにもなります。ただし、あくまで「おやつ」の位置づけで、完熟した赤い果肉のみを適量与えることが大切です。

未熟トマト・茎・葉の危険性

トマトの果肉は犬に安全ですが、トマトの「植物体」の部分(茎・葉・未熟な緑の果実)には注意が必要です。これらの部位には、犬にとって有害な成分が含まれています。

トマチン(グリコアルカロイド)の毒性

トマトの茎・葉・未熟な緑の果実には、トマチン(tomatine)というグリコアルカロイドが含まれています。Friedman(2002)の研究によると、トマチンは未熟な緑のトマトに高濃度で含まれ、果実が赤く完熟するにつれて急速に減少します[5]

トマチンを大量に摂取した場合、犬には以下のような中毒症状が現れる可能性があります。

  • 消化器症状:嘔吐、下痢、腹痛
  • 神経症状:震え、ふらつき、筋力低下
  • 心臓への影響:心拍数の異常(まれ)
  • 過剰な流涎(よだれ)

ただし、Friedman(2002)は同研究のなかで、完熟した赤いトマトの果肉に含まれるトマチン量は極めて微量(0.03〜0.2mg/g程度)であり、通常の摂取量では中毒を引き起こすレベルには達しないと報告しています[5]

ナス科植物全般のリスク

トマトはナス科(Solanaceae)に属する植物です。Cortinovis & Caloni(2016)のレビュー論文では、ナス科植物に含まれるグリコアルカロイド(ソラニン、トマチンなど)は犬や猫を含むペットに対して毒性を持つことが報告されています[3]

同じナス科のじゃがいもの芽や緑色の部分にもソラニンが含まれており、トマトと同様の注意が必要です。ナス科の植物を犬に与える際は、必ず食用として安全な部分のみを選ぶことが重要です。

家庭菜園でトマトを育てている場合の注意点

自宅の庭やベランダでトマトを栽培している飼い主さんは、特に注意が必要です。

  • 犬がトマトの葉や茎をかじらないよう、柵やネットで囲む
  • 落ちた未熟な実を犬が拾い食いしないよう、こまめに片付ける
  • 収穫後の残骸(茎・葉・根)を犬の手の届かない場所に廃棄する
  • 農薬や肥料を使用している場合、犬が直接触れないよう管理する

ASPCAもトマトの植物体(葉・茎)を犬にとって有毒なものとしてリストアップしています[2]。好奇心旺盛な犬は、トマトの苗をおもちゃのようにかじってしまうことがあるため、家庭菜園と犬の活動スペースは分離するのが最も安全です。

未熟トマト・茎・葉を食べてしまった場合

  • 少量であれば:嘔吐・下痢などの症状が出ないか数時間観察する
  • 大量に食べた場合:速やかに動物病院を受診する
  • 震え・ふらつき等の神経症状が見られたら:緊急で動物病院へ

受診の際は、食べた部位(葉・茎・未熟な実)と推定量を獣医師に伝えてください。

体重別の適量目安

「1日の総カロリーの10%以内」が基本ルール

犬のおやつの適量は、1日の総摂取カロリーの10%以内が推奨されています[4]。トマトは100gあたり約18kcalと非常に低カロリーですが、水分量が多いため、与えすぎると軟便や下痢の原因になることがあります。体重ごとの目安量を下表にまとめました。

体重1日の必要カロリー目安おやつ上限(10%)トマトの適量(目安)
3kg(超小型犬)約200kcal約20kcalミニトマト1個(約15g)
5kg(小型犬)約300kcal約30kcalミニトマト1〜2個(約20〜30g)
10kg(中型犬)約500kcal約50kcal中玉トマト1/4個(約40g)
20kg(大型犬)約900kcal約90kcal中玉トマト1/2個(約80g)
30kg(大型犬)約1,200kcal約120kcal中玉トマト1個弱(約120g)

※上記は避妊・去勢済みの成犬が標準的な活動量の場合の目安です。子犬やシニア犬、持病のある犬は個別に調整が必要です。トマトは水分が多いため、初めて与える際は上記の半量から始めて、便の状態を確認しながら調整してください。

与えすぎのサイン

  • 軟便・下痢:トマトの水分と酸味による消化器への刺激
  • 嘔吐:胃酸過多になりやすい犬は特に注意
  • 頻尿:水分の過剰摂取によるもの

これらの症状が見られたら、トマトの量を減らすか、一時的に中止して様子を見ましょう。

トマトの安全な与え方

1. 完熟した赤いトマトを選ぶ

犬に与えてよいのは、しっかり赤く完熟したトマトの果肉のみです。緑色の部分が残っているトマトは避けてください。完熟の目安は以下のとおりです。

  • 全体が均一に赤く色づいている
  • 軽く押すとわずかに弾力がある
  • ヘタ(がく)の周辺にも緑色の果肉が残っていない

2. ヘタ・種を取り除き、小さくカットする

トマトのヘタ(がくの部分)には微量のトマチンが残っている可能性があるため、必ず取り除いてから与えてください。種は少量であれば問題ありませんが、消化しにくい場合もあるため、取り除いたほうが安心です。

  • 超小型犬(3kg以下):5mm〜1cm角の細かいカット
  • 小型犬(3〜10kg):1〜2cm角のカット、ミニトマトは半分に
  • 中〜大型犬(10kg以上):2〜3cm角のカット、ミニトマトは半分に

3. ミニトマトは必ず半分にカットする

ミニトマト(プチトマト)は犬のおやつとして手軽ですが、丸ごと与えると喉に詰まらせる危険性があります。特に小型犬や早食いの犬は丸飲みしてしまうことが多いため、必ず半分以上にカットしてから与えてください。

4. 加熱したトマトもOK

トマトは加熱しても犬に与えることができます。むしろ、加熱することでリコピンの吸収率が向上するというメリットがあります。皮をむいて種を取り除いたトマトを軽く煮た「トマトの素煮」は、消化しやすく犬にやさしい与え方です。

ただし、味付けは一切しないでください。塩、油、にんにく、玉ねぎなどを加えると犬の健康を害するリスクがあります。

5. トマトジュース・ケチャップ・トマトソースはNG

人間用のトマト加工品は、犬には与えるべきではありません。

  • トマトジュース:塩分が添加されていることが多い。無塩タイプでも濃縮されており、一度に大量摂取のリスクあり
  • ケチャップ:砂糖・塩分・酢・香辛料が大量に含まれ、犬の消化器に負担
  • トマトソース・トマト缶:にんにくや玉ねぎが含まれていることが多く、犬に有毒[3]

トマトの栄養を犬に与えたい場合は、新鮮な完熟トマトをそのままカットするか、味付けなしで軽く加熱したものが最も安全です。食物アレルギーが心配な飼い主さんは、犬のアレルギー完全ガイドもあわせてご覧ください。

トマトを与えるときのチェックリスト

  • 完熟した赤いトマトを選んでいるか
  • ヘタ(がく)を取り除いたか
  • 愛犬の体格に合ったサイズにカットしたか
  • ミニトマトは半分以上にカットしたか
  • 1日のおやつカロリーの範囲内か
  • 初めての場合、少量からスタートしているか
  • 持病(腎臓病・胃腸疾患など)がないか確認したか

こんな犬にはトマトを控えて

完熟トマトは多くの犬に安全な食品ですが、以下に該当する犬には与えないか、かかりつけの動物病院に相談してからにしましょう。

胃腸が弱い犬

トマトは酸性度が比較的高い食品(pH約4.3〜4.9)です。胃腸が敏感な犬や、日頃から嘔吐・下痢をしやすい犬は、トマトの酸味が胃粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。胃酸過多や逆流性食道炎の傾向がある犬にも、トマトは避けたほうが安全です。

腎臓病の犬

トマトはカリウムが比較的豊富な食品です(100gあたり237mg)。腎臓病の犬はカリウムの排出能力が低下していることが多く、高カリウム血症のリスクがあります[4]。腎臓に疾患がある犬には、トマトを含むカリウムの多い食品は避けるべきです。食事管理の詳しい方法は犬の体重管理ガイドを参考にしてください。

ナス科アレルギーの犬

まれですが、ナス科植物(トマト・ナス・ピーマン・じゃがいも)にアレルギー反応を示す犬もいます。過去にナス科の食品で体調を崩した経験がある犬には、トマトも控えてください。

服薬中の犬

特定の薬を服用中の犬は、トマトに含まれるカリウムやビタミンKが薬の効果に影響を与える可能性があります。何らかの薬を常用している犬にトマトを与える場合は、事前にかかりつけの動物病院に相談してください。

トマトを控えるべき犬

  • 胃腸が弱い犬:トマトの酸味が消化器を刺激するリスク
  • 腎臓病:高カリウム血症のリスク
  • ナス科アレルギー:交差反応の可能性あり
  • 服薬中の犬:薬との相互作用のリスク
  • 子犬(離乳前):消化器官が未発達のためリスクが高い

よくある質問

犬にミニトマトをあげても大丈夫ですか?

完熟した赤いミニトマトであれば犬に与えても問題ありません。ただし、丸ごと与えると喉に詰まらせる危険があるため、必ず半分以上にカットしてから与えてください。特に小型犬はミニトマトでも丸飲みしてしまうことがあるため、1/4にカットするのがおすすめです。ヘタ(がく)の部分には微量のトマチンが含まれるため、必ず取り除きましょう。体重5kgの小型犬でミニトマト1〜2個程度が1日の適量目安です。

犬にトマトジュースを飲ませても大丈夫ですか?

市販のトマトジュースは犬に与えないでください。多くのトマトジュースには塩分(ナトリウム)が添加されており、犬にとって過剰な塩分摂取となります。無塩タイプであっても、濃縮されているため一度に大量のトマト成分を摂取してしまうリスクがあります。トマトの栄養を与えたい場合は、新鮮な完熟トマトを少量カットして与えるのが最も安全です。

犬にトマトソースやケチャップを与えても大丈夫ですか?

トマトソースやケチャップは犬に与えるべきではありません。ケチャップには大量の砂糖・塩分・酢・香辛料が含まれており、犬の消化器に負担をかけます。トマトソースにもにんにくや玉ねぎが含まれていることが多く、これらは犬にとって有毒な食材です[3]。人間用に味付けされたトマト加工品は、すべて犬には不適切と考えてください。トマトを安全に与える方法についてはドッグフードのトッピングガイドも参考にしてください。

犬にトマトアレルギーはありますか?

まれですが、犬にもトマトアレルギーが見られることがあります。初めてトマトを与えた後に、口周りの赤みやかゆみ、嘔吐、下痢、皮膚の発疹、目や耳の赤みなどの症状が現れた場合は、トマトアレルギーの可能性があります。ナス科の植物(トマト・ナス・ピーマン・じゃがいもなど)は交差反応を起こすことがあるため、いずれかにアレルギーがある犬はトマトも避けたほうが安全です。アレルギーが疑われる場合は、トマトの摂取を中止し、動物病院で相談してください。食物アレルギーについて詳しくは犬のアレルギー完全ガイドをご覧ください。

まとめ

完熟した赤いトマトの果肉は、犬にとって安全なおやつです。リコピン・ビタミンC・ビタミンA・カリウムなど有用な栄養素を含み、100gあたりわずか18kcalと低カロリーなのも魅力です[1]

一方で、未熟な緑のトマト・茎・葉にはトマチン(グリコアルカロイド)が含まれ、犬に中毒症状を引き起こす可能性があります[5]。家庭菜園でトマトを育てている場合は、犬がトマトの植物体に接触しないよう十分に注意してください[2]

与える際は、完熟した赤いトマトのみを選び、ヘタを取り除いて小さくカットしてください。体重5kgの小型犬でミニトマト1〜2個程度が1日の目安です。トマトジュースやケチャップなどの加工品は塩分・添加物が含まれるため避けましょう。胃腸が弱い犬や腎臓病の犬には控えるか、かかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。

愛犬の体質や体調に合わせて、完熟トマトを安全に楽しいおやつタイムに取り入れてみてください。

参考文献を表示(全5件)
  1. USDA FoodData Central. "Tomatoes, red, ripe, raw, year round average." FDC ID: 170457.
  2. ASPCA Animal Poison Control Center. "Tomato Plant." Toxic and Non-Toxic Plants.
  3. Cortinovis C, Caloni F. "Household Food Items Toxic to Dogs and Cats." Front Vet Sci. 2016;3:26. DOI: 10.3389/fvets.2016.00026
  4. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006.
  5. Friedman M. "Tomato glycoalkaloids: role in the plant and in the diet." J Agric Food Chem. 2002;50(21):5751-5780. DOI: 10.1021/jf020560c

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