「最近、愛犬が水をあまり飲まなくなった」と感じていませんか?冬になると水を飲む量が減る犬は多く、これは自然な反応でもあります。しかし、水分摂取が減りすぎると健康に影響を及ぼす可能性があります。この記事では、冬の脱水リスクと、愛犬に水分を摂ってもらうための工夫を詳しく解説します。
冬に犬が水を飲まなくなる理由
のどの渇きを感じにくくなる
夏は暑さで自然とのどが渇き、水を飲みたくなります。しかし冬は気温が低いため、犬も人間と同様にのどの渇きを感じにくくなります。実際に水分が足りていなくても、飲みたいという欲求が湧きにくいのです。
暖房による室内の乾燥
冬の室内は暖房で乾燥しています。エアコンやヒーターを使うと湿度が下がり、犬の皮膚や粘膜から水分が蒸発しやすくなります。のどの渇きを感じないまま、体内の水分が失われていくのです。
冷たい水を嫌がる
冬は水道水も冷たくなります。冷たい水を嫌がって飲まない犬も少なくありません。特に小型犬やシニア犬は、冷たい水を飲むことで体が冷えるのを本能的に避ける傾向があります。
呼吸からの水分蒸発
冷たく乾燥した空気を吸い、温かく湿った息を吐くとき、体内の水分が失われます。冬の散歩中は、この呼吸による水分蒸発が夏より多くなることがあります。
冬の脱水がもたらす健康リスク
「夏じゃないから大丈夫」と思いがちですが、冬の脱水には見過ごせないリスクがあります。
尿路結石のリスク増加
水分摂取が減ると、尿が濃縮されて結石ができやすくなります。VCAホスピタルの情報によると、脱水は膀胱結石の主要な原因の一つです[2][3][4]。尿中のミネラルが濃縮されることで、結晶が形成されやすくなります。
⚠️ 尿路結石になりやすい犬種
- ミニチュアシュナウザー(カルシウムオキサレート結石)
- シーズー
- ヨークシャーテリア
- ダルメシアン(尿酸結石)
- ビションフリーゼ
腎臓への負担
脱水状態が続くと、腎臓は少ない水分で老廃物を排出しなければなりません。これは腎臓に大きな負担をかけます。特にシニア犬は腎機能が低下していることが多く、脱水の影響を受けやすいです。
便秘のリスク
水分不足は便を硬くし、便秘の原因になります。冬は運動量が減ることも多く、水分不足と運動不足のダブルパンチで消化器トラブルを起こしやすくなります。
皮膚・被毛の乾燥
体内の水分が不足すると、皮膚や被毛にも影響が出ます。フケが増えたり、被毛のツヤがなくなったりすることも。
脱水のサインをチェック
愛犬が脱水気味かどうか、以下のサインでチェックしてみましょう[1]。
✅ 脱水チェックリスト
- 皮膚の弾力テスト - 首の後ろの皮膚をつまんで離したとき、すぐに戻らない(1-2秒以上かかる)
- 歯茎の状態 - 乾いている、粘つく、色が薄い
- 目の状態 - くぼんで見える、潤いがない
- 元気がない - ぐったりしている、動きたがらない
- 食欲低下 - いつもより食べない
- 尿の変化 - 色が濃い、量が少ない、回数が減った
- 鼻の乾燥 - 常に乾いている(寝起きの乾燥は正常)
これらのサインが複数見られる場合は、脱水の可能性があります。特に皮膚の弾力テストは簡単にできるので、定期的にチェックする習慣をつけましょう。
1日に必要な水分量の目安
犬が1日に必要とする水分量は、体重1kgあたり約50-60mlが目安です。
| 体重 | 1日の水分量目安 | 該当犬種例 |
|---|---|---|
| 3kg | 150-180ml | チワワ、ヨークシャーテリア |
| 5kg | 250-300ml | トイプードル、ポメラニアン |
| 7kg | 350-420ml | シーズー、マルチーズ |
| 10kg | 500-600ml | 柴犬、ミニチュアダックス |
💡 水分量に影響する要因
上記はあくまで目安です。以下の要因で必要量は変動します。
- フードの種類 - ウェットフード主体なら飲水量は少なくてOK
- 運動量 - 散歩や遊びが多い日は多めに
- 室温・湿度 - 暖房で乾燥した部屋では多めに
- 健康状態 - 下痢や嘔吐があれば多めに
水分補給の工夫5選
水をあまり飲まない愛犬に、無理なく水分を摂ってもらうための工夫を紹介します。
1. ぬるま湯をフードにかける
最も手軽で効果的な方法です。ドライフードに人肌程度(約40℃)のぬるま湯をかけるだけで、水分摂取量を増やせます。
ぬるま湯トッピングのメリット
- 水分補給ができる
- フードの香りが立ち、食いつきが良くなる
- 消化しやすくなる
- 冬でも冷たくないので飲みやすい
フード1食分に対して、大さじ2〜3杯程度のぬるま湯をかけるのが目安です。熱湯は一部のビタミンを壊す可能性があるため避けてください。
2. ウェットフードを活用する
ドライフードの水分含有量は3-12%程度ですが、ウェットフードは60-80%が水分です。冬だけウェットフードに切り替えたり、ドライフードにトッピングとして加えたりすることで、自然と水分摂取量を増やせます。
フードの切り替え方については「フード切り替えガイド」を参考にしてください。
3. 水飲み場を複数設置する
家の中の複数箇所に水飲みボウルを置くことで、犬が「飲みたい」と思ったときにすぐ飲める環境を作れます。リビング、寝室、廊下など、愛犬がよく過ごす場所に設置しましょう。
4. 常温または少し温めた水を用意する
冷たい水道水をそのまま与えるのではなく、常温に戻すか、少し温めて与えると飲みやすくなります。特に寒がりな犬や小型犬には効果的です。
5. 犬用スープやだし汁を活用
水だけでは飲まない場合、犬用のスープや、鶏肉や野菜を茹でただし汁を少量加えると興味を示すことがあります。ただし、塩分や油分が多いものは避け、犬用に作られた製品を選びましょう。
⚠️ 与えてはいけないもの
- 人間用のスープ(塩分が多すぎる)
- 玉ねぎやネギを使っただし汁(犬には有毒)
- 人間用のスポーツドリンク(糖分・塩分が多い)
- 牛乳(乳糖不耐性の犬が多い)
特に注意が必要な犬
以下に該当する犬は、冬の脱水リスクが高いため、より注意深く水分管理をしましょう。
シニア犬(7歳以上)
加齢とともにのどの渇きを感じる感覚が鈍くなり、腎機能も低下していることが多いです。シニア犬は関節ケアも重要なので、水分と併せて食事面にも気を配りましょう。
子犬
体が小さく、体内の水分量が少ないため、脱水の影響を受けやすいです。成犬より頻繁に水分をチェックしましょう。
腎臓病や尿路結石の既往がある犬
これらの疾患がある犬は、水分摂取が治療・予防の重要な要素です[5]。獣医師の指示に従い、適切な水分管理を行いましょう。
小型犬・超小型犬
体重あたりの表面積が大きいため、体温調節のために水分を消費しやすく、脱水になりやすい傾向があります。
こんな症状があれば病院へ
以下の症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
⚠️ すぐに病院へ行くべきサイン
- 24時間以上ほとんど水を飲まない
- 歯茎が乾いている、または粘つく
- 皮膚をつまんで離しても戻りが非常に遅い(2秒以上)
- ぐったりしている、元気がない
- 嘔吐や下痢を伴っている
- 尿が出ない、または血尿がある
- 排尿時に痛そうにしている
特に嘔吐や下痢があると、水分喪失が急速に進みます。「様子を見よう」と待たずに、早めの受診をおすすめします。
よくある質問
Q1. 犬が1日に必要な水分量はどのくらいですか?
一般的に、犬は体重1kgあたり約50-60mlの水分が必要です。体重5kgの小型犬なら250-300ml、体重10kgなら500-600mlが目安です。
ただし、運動量、気温、フードの種類(ドライかウェットか)によって変動します。
Q2. 冬でも犬は脱水になりますか?
はい、冬でも脱水になります。暖房による室内の乾燥、冷たい空気による呼吸からの水分蒸発、のどの渇きを感じにくくなることなどが原因です。
夏ほど目立たないため、気づきにくいのが特徴です。
Q3. ドライフードにお湯をかけても栄養は壊れませんか?
ぬるま湯(人肌程度、約40℃)であれば問題ありません。熱湯は一部のビタミンを壊す可能性があるため避けてください。
ぬるま湯をかけることで香りが立ち、食いつきが良くなる効果も期待できます。
Q4. 犬に人間用のスポーツドリンクを与えても大丈夫ですか?
人間用のスポーツドリンクはおすすめしません。糖分や塩分が犬には多すぎます。
犬用の経口補水液やペット用イオン飲料を使用するか、獣医師に相談してください。緊急時は薄めたものを少量与えることはできますが、日常的な使用は避けましょう。
Q5. 水を飲まない場合、どのタイミングで病院に行くべきですか?
24時間以上ほとんど水を飲まない、歯茎が乾いている・粘つく、皮膚をつまんで戻りが遅い、元気がない・ぐったりしている、嘔吐や下痢を伴う場合は、すぐに動物病院を受診してください。
特にシニア犬や子犬は脱水が進みやすいため、早めの受診が重要です。
まとめ
冬の犬の水分補給について、重要なポイントをまとめます。
- 冬も脱水リスクあり - 暖房の乾燥、のどの渇きを感じにくい
- 脱水は尿路結石や腎臓への負担の原因に
- 1日の水分量目安は体重1kgあたり50-60ml
- ぬるま湯トッピングは手軽で効果的な水分補給法
- ウェットフードは60-80%が水分で効率的
- シニア犬、子犬、小型犬は特に注意が必要
- 24時間以上飲まない、ぐったりしているなどの症状があればすぐ病院へ
冬は「寒いから水分は大丈夫」と思いがちですが、実は脱水のリスクは続いています。愛犬の健康を守るために、日頃から水分摂取量をチェックし、飲みやすい工夫を取り入れてみてください。
重要: この記事は情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。愛犬の健康に不安がある場合は、必ず獣医師にご相談ください。
参考文献を表示(全5件)
- American Kennel Club. "Dehydration in Dogs: What to Know and Warning Signs."
- VCA Animal Hospitals. "Nutritional Concerns for Dogs with Bladder Stones."
- Cornell University College of Veterinary Medicine. "Struvite bladder stones in dogs."
- PetMD. "Bladder Stones in Dogs: Symptoms, Prevention, and More."
- University of Guelph, Ontario Veterinary College. "Part 2: Nutritional Management for Bladder Stones in Dogs."