馬肉ドッグフードの特徴|栄養・新奇タンパク質・選び方

馬肉ドッグフードの栄養価・新奇タンパク質・選び方の特徴を解説

「鶏や牛のフードだと体調を崩しやすい」「いつもと違うタンパク源を試したい」——そんなとき候補に挙がるのが馬肉です。でも本当にうちの子に向くのか、迷いますよね。栄養価から新奇タンパク質としての位置づけ、選び方まで、はっきりさせていきます。

💡 この記事の結論

馬肉は、食物アレルギーが気になる場合の選択肢となる「新奇タンパク質(ノベルプロテイン)」のひとつ。栄養面の特長と注意点を5つにまとめました。

  • 高タンパク・低脂肪・低カロリー - 赤肉(生)100gあたりタンパク質約20.1g・脂質約2.5g・約102kcalで、牛肉や豚肉の赤身より脂質が低い[1]
  • 鉄・ビタミンB12が豊富 - 鉄は4.3mg/100g、ビタミンB12も多く含む素材[1]
  • 主要アレルゲンに入りにくい - 犬の主要な食物アレルゲンは牛・乳・鶏・小麦で、馬肉は報告が少ない新奇タンパク質の候補[2]
  • 国内で入手しやすい - 国産(熊本・会津など)や輸入馬肉が流通。馬刺し文化があり鹿肉より入手性は良い
  • 価格はやや高め - 流通量が限られ割高な傾向。生食ではなく加熱・総合栄養食での給与が前提

📌 馬肉の栄養価おすすめ馬肉フード選び方チェックリスト

馬肉は、犬にとって摂取経験が少ない「ノベルプロテイン(新奇タンパク質)」に分類されることが多いタンパク源です。食物アレルギーの除去食試験では、これまで食べたことのないタンパク源を選ぶことが基本とされており、馬肉はその候補のひとつとして使われてきました[5]

この記事では、馬肉の栄養価・新奇タンパク質としての位置づけ・国産と輸入の違い・生食の注意点・価格帯と選び方、そしておすすめの馬肉フードまで、ドッグフードの原材料としての馬肉を見ていきましょう。

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馬肉は、食物アレルギーが気になる犬の選択肢として注目されてきた素材です。ただし、すでに馬肉を食べ慣れている犬では新奇タンパク質としての意味は薄れ、フードを変えればアレルギーが治るわけでもありません。初めて試す犬で、獣医師の指導のもとであれば、除去食試験の候補タンパク源になりえます。

馬肉にはどんな栄養がある?

馬肉(赤肉・生)は100gあたり約102kcal・タンパク質約20.1g・脂質約2.5gと高タンパクで低脂肪。鉄やビタミンB12も多く、体重管理をしながらタンパク質を摂りたい犬に向いた素材です。

馬肉の特長は、高タンパクでありながら脂質が少なく、カロリーも控えめなことです。文部科学省の日本食品標準成分表(八訂・増補2023年)によると、馬肉(赤肉・生)100gあたりの栄養成分は以下のとおりです[1]

馬肉(赤肉・生)100gあたりの主な栄養成分[1]
栄養成分含有量(100gあたり)主なはたらき
エネルギー約102kcal活動に必要なエネルギー源
タンパク質約20.1g筋肉・臓器・被毛の維持
脂質約2.5gエネルギー源(牛・豚の赤身より低め)
炭水化物(グリコーゲン等)約0.3g風味・甘みに関与
約4.3mg赤血球の材料となるミネラル
ビタミンB12約7.1µg赤血球・神経機能に関わる
馬肉の栄養の特徴(高タンパク・低脂肪・鉄とビタミンB12が豊富)を示す図
馬肉の栄養の特徴(編集部作成)

脂質が約2.5gと牛肉や豚肉の赤身より低く、その分カロリーも控えめです。タンパク質は約20gと十分で、体重管理をしながらしっかりタンパク質を摂りたい場合に向いた素材といえます。

鉄・ビタミンB12・グリコーゲンを多く含む

馬肉は鉄を4.3mg/100gと比較的多く含み、ビタミンB12も豊富です[1]。また馬肉はグリコーゲン(エネルギー源となる糖)を比較的多く含むのも特徴で、これが馬肉特有の甘みや風味につながっているとされます。馬肉の風味は、嗜好性の面で食いつきを後押しすることがあります。

タンパク質の質という点でも、馬肉は犬に必要なアミノ酸をバランスよく含む動物性タンパク源です。犬は良質な動物性タンパク質を必要とする動物であり[3]、馬肉はその供給源のひとつになります。

💡 数値はあくまで素材としての一般値

上記は「素材としての馬肉」の成分値です。実際のドッグフードでは、馬肉の配合割合や他の原材料、加工方法によって最終的な栄養バランスは変わります。フードを選ぶときは、商品ごとの保証分析値(タンパク質・脂質・カロリー)を確認しましょう。成分値の読み方はドッグフードの栄養成分値の読み方ガイドで解説しています。

なぜ馬肉は新奇タンパク質と呼ばれる?

犬の主要な食物アレルゲンは牛・乳・鶏・小麦で、馬肉は報告が少ないタンパク源です。そのため、これらに反応する犬にとって馬肉は「食べ慣れていない=新奇なタンパク源」の候補になります。

市販のドッグフードの多くは、鶏・牛・羊・魚を主なタンパク源にしています。そのため、これらを食べ続けてきた犬にとって、馬肉は「初めて出会うタンパク源」になりやすいのです。これが馬肉が新奇タンパク質(ノベルプロテイン)と呼ばれる理由です。

犬の食物アレルゲン報告頻度:牛>乳>鶏>小麦>羊

国際的な獣医皮膚科学の系統的レビュー(2016)によると、犬で報告の多い食物アレルゲンは以下のとおりです[2]

順位アレルゲン源報告頻度
1位牛肉最も多い
2位乳製品高い
3位鶏肉高い
4位小麦中程度
5位ラム(羊肉)中程度
ノベルプロテインとは:犬の主要アレルゲン(牛・乳・鶏・小麦)に入らない、食べ慣れていない新しいたんぱく源としての馬肉
馬肉がノベルプロテインと呼ばれる理由(編集部作成)

馬肉はこの上位アレルゲンには含まれていません[2]。報告が少ないということは、それだけ多くの犬にとって「食べた経験のないタンパク源」である可能性が高いということです。加えて、馬は牛・豚・羊(偶蹄目)とは異なる奇蹄目に分類され、系統的に離れています。こうした背景から、馬肉は新奇タンパク質の候補として使われてきました。

⚠️ 「馬肉ならアレルギーが治る」ではありません

馬肉はあくまで「これまで食べたことのないタンパク源としての選択肢」です。フードを変えることでアレルギーが治る・予防できるという意味ではありません。また「報告が少ない=その犬で絶対に反応しない」わけでもなく、馬肉にアレルギーを持つ犬もいます。食物アレルギーが疑われる場合は自己判断で進めず、まず動物病院で相談し、診断・除去食試験は獣医師の指導のもとで行ってください[5]

なお、すでに馬肉を食べたことがある犬では、新奇タンパク質としての意味は薄くなります。タンパク源全体の比較はドッグフードのタンパク源比較ガイド、鹿肉との比較は鹿肉(ベニソン)の特徴、症状や原因は犬の食物アレルギー完全ガイドもあわせてご覧ください。

国産馬肉と輸入馬肉はどう違う?生で与えてもいい?

国産(熊本・会津・青森など)は鮮度やトレーサビリティ、輸入(カナダなど)はコスト面が特徴です。生の馬刺しは寄生虫・細菌のリスクがあるため、加熱または総合栄養食を選びましょう。

国産馬肉と輸入馬肉

日本は馬刺し文化があり、熊本・福島(会津)・青森などで馬肉が流通しています。ドッグフードに使われる馬肉には、こうした国産のものと、カナダなどからの輸入のものがあります。一般に、国産は鮮度やトレーサビリティ(産地・流通の追跡)の面で安心感があり、輸入はコストを抑えやすい傾向があります。商品を選ぶ際は、馬肉の産地が明記されているかを確認するとよいでしょう。

生食(馬刺し)はそのまま与えない

人間用の馬刺しをそのまま犬に与えるのはおすすめしません。生肉には寄生虫や細菌のリスクがあり、人間用の馬刺しは犬の総合栄養食ではないため栄養も偏ります。犬には加熱した馬肉、または馬肉を使った総合栄養食のドッグフードを選ぶのが安全です。手作りで与える場合も、味付けをせず加熱し、主食ではなくトッピングの範囲にとどめるのが基本です。

馬肉フードはなぜ高い?選び方のポイントは?

流通量が限られ生産規模が小さいため、チキンベースより割高な傾向です。馬肉が主原料か、産地が明記されているか、総合栄養食かの3点を確認しましょう。

馬肉フードは、チキンベースのフードに比べて割高になりやすい傾向があります。流通量が限られること、国産馬肉は手間がかかること、新奇タンパク質フードは少量生産が多いことが主な理由です。選ぶときは次の3点を確認しましょう。

  • 馬肉が主原料か:原材料表示の最初の方に馬肉が記載されているか
  • 産地が明記されているか:国産・輸入のどちらでも、産地が分かるほうが安心
  • 総合栄養食か:主食にするなら「総合栄養食」表記を確認(一般食は栄養が偏る)
馬肉フードの選び方の3つの確認点(馬肉が主原料か・産地が明記されているか・総合栄養食か)
馬肉フードの選び方・3つの確認点(編集部作成)

馬肉自然づくりや、馬肉・魚・豚肉をローテーションできる低脂肪設計のフードもあります。気になる場合は馬肉自然づくりプレミアムバランスケアフード 低脂肪の解説もご覧ください。具体的なおすすめはこの記事の後半でも紹介します。

馬肉フードが向いている犬は?向かない犬は?

食物アレルギーが気になる犬や体重管理をしたい犬の選択肢になります。一方、すでに馬肉を食べた犬や、腎臓病でタンパク質制限がある犬には不向きで、獣医師への相談が必要です。

馬肉フードが向いている犬

こんな犬に選ばれています

  • 食物アレルギーが気になる犬:鶏・牛・豚に反応する犬の新奇タンパク質の候補として(獣医師と相談のうえで)
  • 体重管理をしたい犬:低脂肪・低カロリーのタンパク源として
  • 鉄・ビタミンB12を食事から摂りたい犬:これらを多く含む素材として
  • 食いつきが気になる犬:馬肉特有の風味で食事の変化をつけたいとき

馬肉フードが向かない・注意が必要な犬

注意が必要なケース

  • すでに馬肉を食べたことがある犬(除去食目的の場合):新奇タンパク質としての意味が薄れるため、ほかの未摂取タンパク源を獣医師と検討
  • 腎臓病でタンパク質制限がある犬:高タンパクな馬肉は負担になる可能性があるため、必ず動物病院と相談
  • 特に健康上の問題がない犬:アレルギーや体重の悩みがなければ、割高な馬肉フードを無理に選ぶ必要はなく、一般的なチキン・サーモンベースで十分
  • 生肉をそのまま与えたい場合:生食は寄生虫・衛生リスクがあるため、加熱または専用フードを選ぶ

愛犬のタンパク源選びに迷ったら、ドッグフードのタンパク源比較ガイドで主要なタンパク源の特徴を比較してみてください。

当サイトが130種類以上から選んだ馬肉主原料の国産フード3つです。工房は穀物入りで続けやすく、自然づくりプレミアムは3種の赤身肉、A-WANは高タンパクが特徴です。

いずれも国産・無添加で、馬肉を主原料にしたフードです。成分や価格、口コミの詳細は各解説記事や当サイトのフード図鑑で確認できます。

ドッグフード工房 馬肉

ドッグフード工房 馬肉
ブランドドッグフード工房(国産)
主原料馬肉(うるち米・小麦などを含む)
成分タンパク質21% / 脂質7% / 粗繊維2%
カロリー365kcal/100g
対象成犬/無添加・国産

こんな子におすすめ

  • 国産・無添加の馬肉フードを続けやすい価格で試したい方
  • グレインフリーにこだわらず、米などの穀物も取り入れたい子
  • 注文を受けてから作る made-to-order の鮮度を重視したい方

馬肉を主原料にした国産・無添加のドライフードです。うるち米やさつまいもなども使い、グレインフリーではありませんが、人工添加物に頼らない素材重視の設計です。脂質7%と控えめで、馬肉の低脂肪な特長を活かしたフードといえます。

解説記事を読む →

馬肉自然づくりプレミアム

馬肉自然づくりプレミアム
ブランド健康いぬ生活(国産)
主原料馬肉・鹿肉・猪肉(大麦・玄米などを含む)
成分タンパク質24.8% / 脂質7.8% / 粗繊維1.9%
カロリー345kcal/100g
対象成犬〜シニア/無添加・国産

こんな子におすすめ

  • 馬肉に加え、鹿肉・猪肉といった赤身肉も取り入れたい方
  • 低脂肪で高タンパクの国産フードを探している飼い主さん
  • シニア期まで使える総合栄養食を選びたい方

馬肉・鹿肉・猪肉という3種類の赤身肉を組み合わせた国産フードです。タンパク質24.8%・脂質7.8%と高タンパク・低脂肪で、新奇タンパク質を複数取り入れたい場合の選択肢になります。無添加設計で、成犬からシニアまで対応します。

解説記事を読む →

A-WAN 馬肉ドッグフード

A-WAN 馬肉ドッグフード
ブランドAWAN PET FOOD(国産)
主原料馬肉・馬レバー・魚肉(大麦・玄米などを含む)
成分タンパク質29% / 脂質10% / 粗繊維0.8%
カロリー350kcal/100g
対象全年齢/無添加・国産

こんな子におすすめ

  • しっかりタンパク質を摂りたい活動量の多い犬
  • 子犬からシニアまで全年齢で使えるフードを探している方
  • 馬肉に魚肉も合わせた風味を試したい子

馬肉・馬レバーを主原料に、魚肉も組み合わせた国産・無添加のフードです。タンパク質29%と馬肉フードの中でも高タンパクで、全年齢に対応します。乳酸菌群やオリゴ糖も配合し、おなかの健康にも配慮した設計です。

解説記事を読む →

📚 馬肉・フード選びをもっと深く知る

馬肉フードはうちの子に合う?選び方チェックリスト

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よくある質問

馬肉フードに変えれば食物アレルギーは治りますか?

いいえ。馬肉は「これまで食べたことのないタンパク源(新奇タンパク質)」の候補のひとつにすぎず、フードを変えることでアレルギーが治る・予防できるという意味ではありません。犬の主要な食物アレルゲンは牛肉・乳製品・鶏肉・小麦で、馬肉はこれらに比べ報告が少ないため候補とされます[2]が、診断には獣医師の指導による除去食試験が必要です[5]。自己判断で進めず、まず動物病院に相談してください。

馬肉ドッグフードは子犬に与えても大丈夫ですか?

馬肉は子犬にも与えられます。高タンパク・低脂肪で消化性も比較的良好なため、成長期のタンパク源として適しています。ただし子犬に与える場合は、AAFCO(米国飼料検査官協会)の成長期(growth)の基準を満たした総合栄養食であることを確認してください[4]。馬肉単体のトッピングではなく、栄養バランスが設計された馬肉ベースの総合栄養食を選ぶのが安心です。子犬のフード選びは子犬のフードガイドもどうぞ。

犬に馬刺し(生の馬肉)を与えてもいいですか?

人間用の馬刺しをそのまま犬に与えるのはおすすめしません。生肉には寄生虫や細菌のリスクがあり、人間用の馬刺しは犬の総合栄養食ではないため栄養も偏ります。犬には加熱した馬肉、または馬肉を使った総合栄養食のドッグフードを選ぶのが安全です。与える際は味付けのないものにしてください。

馬肉ドッグフードはなぜ高いのですか?

主な理由は3つです。第一に、馬は鶏や牛のように大規模な畜産で効率的に生産される動物ではなく、流通量が限られるため原材料コストが高くなります。第二に、国産馬肉は飼育・解体・品質管理に手間がかかります。第三に、新奇タンパク質を使ったフードは少量生産が多く、スケールメリットが効きにくい構造です。

馬肉と鹿肉、新奇タンパク質としてどちらを選べばいいですか?

どちらも犬が摂取経験を持ちにくい新奇タンパク質(ノベルプロテイン)で、高タンパク・低脂肪という共通点があります。選ぶポイントは「その犬が過去に食べたことがあるか」です。馬肉は国内で入手しやすく、鉄分やグリコーゲンが豊富という特徴があります。実際の選択はかかりつけの動物病院と相談してください。鹿肉については鹿肉(ベニソン)の特徴もご覧ください。

まとめ

馬肉は、高タンパク・低脂肪・低カロリーで、鉄やビタミンB12も豊富なタンパク源です[1]。犬の主要な食物アレルゲン(牛・乳・鶏・小麦)には入りにくく、これらが気になる犬にとって、これまで食べたことのない新奇タンパク質としての馬肉は選択肢のひとつになります[2]

ただし「馬肉ならアレルギーが治る」わけではありません。除去食試験は獣医師の指導のもとで行い[5]、生の馬刺しはそのまま与えず、加熱または総合栄養食のフードを選びましょう。国産・輸入のどちらでも、産地が明記され、馬肉が主原料で、総合栄養食であるかを確認するのが選び方の基本です。

価格はやや高めですが、愛犬の体質や悩みに合うなら検討する価値があります。フード全体の選び方はタンパク源比較ガイドもあわせて役立ててください。どのタンパク源が愛犬に合うか迷ったら、まずは無料のフード診断を試してみてください。

参考文献を表示(全5件)
  1. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース.肉類/うま/肉/赤肉/生(食品番号 11109).
  2. Mueller RS, Olivry T, Prélaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (2): common food allergen sources in dogs and cats." BMC Vet Res. 2016;12:9. DOI: 10.1186/s12917-016-0633-8
  3. National Research Council. "Nutrient Requirements of Dogs and Cats." National Academies Press, 2006. doi:10.17226/10668
  4. AAFCO. "Understanding Pet Food." Association of American Feed Control Officials.
  5. Olivry T, Mueller RS, Prélaud P. "Critically appraised topic on adverse food reactions of companion animals (1): duration of elimination diets." BMC Vet Res. 2015;11:225. DOI: 10.1186/s12917-015-0541-3
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