⚠️ この記事をお読みいただく前に
- 本記事は震えの原因を理解するための参考情報です。診断・治療を目的とするものではありません。
- 診断・治療・薬の投与は必ず獣医師の指導のもとで行ってください。
- 個々の犬の状態によって最適な対応は異なります。
犬が震えていたら、何から始めればいい?
体温・室温・最後の食事/散歩・意識の有無・痛みのサインを確認します。緊急サインがあれば即受診。
最初にチェックする 5 項目
- 意識の有無:呼びかけに反応するか
- 体温:耳・脇・腹を触って冷たいかどうか
- 室温・服装:寒すぎないか、濡れていないか
- 最後の食事・散歩:空腹時間が長すぎないか、運動直後か
- 痛みのサイン:触られるのを嫌がる、お祈りのポーズ、足を引きずる
IVETF 2015[1]では、震えの評価に動画撮影が有用とされており、受診時に獣医師に状況を正確に伝えられます。
震えの原因はどう分類される?
大きく 6 つに分類できます:①寒さ ②ストレス・興奮 ③痛み・体調不良 ④低血糖 ⑤てんかん発作 ⑥特発性振戦症候群(GTS)。
| 原因 | 典型的な状況 | 緊急度 |
|---|---|---|
| ① 寒さ | 冬・屋外・濡れた後・小型犬・シニア犬 | 低(保温で改善) |
| ② ストレス・興奮 | 来客時・雷・花火・抱っこ時 | 低(短時間で落ち着く) |
| ③ 痛み・体調不良 | 嘔吐・下痢・触られるのを嫌がる | 中(受診検討) |
| ④ 低血糖 | 子犬・小型犬・空腹時・運動後 | 🔴 高(即受診) |
| ⑤ てんかん発作 | 意識消失・全身硬直・口から泡・失禁[2] | 🔴 高(即受診) |
| ⑥ 特発性振戦症候群(GTS) | マルチーズ等の白い小型犬・若齢・全身震え[4] | 中(要診断) |
寒さによる震えはどう判断する?
耳・脇・腹が冷たい、室温が低い、屋外から戻ったタイミング、震え後すぐに保温で落ち着くなら寒さが主因です。
AVMA(米国獣医師会)の寒さ対策ガイドライン[7]では、小型犬・短毛犬・子犬・シニア犬は低体温のリスクが高いとされています。室温は 20〜25℃ を目安に保ち、冬場は毛布や暖かい寝床を用意しましょう。濡れた状態は体温を急速に奪うため、雨の日の散歩後はすぐに乾かします。
家庭での寒さ対策
- 室温 20〜25℃を保つ(暖房 or 寝床の保温)
- 濡れたらすぐにタオルで乾かす
- シニア犬・子犬は特に注意
- 長時間の屋外滞在を避ける
ストレス・興奮による震えは?
来客・雷・花火・抱っこ時など、刺激源があり短時間(5〜10 分程度)で落ち着くなら多くは問題ありません。
Merck Veterinary Manual[6]では、犬のストレス反応として震え・吠え・パンティング(あえぎ呼吸)等が挙げられており、慢性的なストレスは健康に影響すると指摘されています。短時間で落ち着くなら様子見、長期化する場合は環境改善や獣医師相談を検討してください。
痛み・体調不良の震えのサインは?
触られるのを嫌がる、お祈りのポーズ(腹痛サイン)、特定の動作で震える、嘔吐・下痢を伴うなら受診を検討します。
- 関節・腰の痛み:歩行異常・段差を嫌がる
- 腹痛:お祈りのポーズ・腹部を触られるのを嫌がる
- 歯痛:硬いものを噛まなくなる・口元を触られたくない
- 消化器症状:嘔吐・下痢を伴う震え
低血糖の震え・てんかん発作の見分け方は?
低血糖は意識朦朧 + ぐったり、てんかん発作は意識消失 + 全身硬直 + 口から泡。どちらも即受診です。
| 観点 | 震え(生理的) | てんかん発作 |
|---|---|---|
| 意識 | あり、呼びかけに反応 | なし、反応しない |
| 姿勢 | 立てる・座っていられる | 横たわり、全身硬直または痙攣 |
| 持続時間 | 数秒〜数分 | 1〜数分(5 分超は重積発作) |
| 付随症状 | 少ない | 口から泡・失禁・脱糞 |
| 発作後 | すぐ通常に戻る | ぼーっとした状態(発作後期) |
IVETF 2015 のてんかん定義[2]では、24 時間以上の間隔で 2 回以上の非誘発性発作がてんかんの診断基準とされます。診断後の治療方針については IVETF の医療治療コンセンサス[3]で抗てんかん薬の選択基準が整理されています。発作様の動きが出た場合は動画撮影して獣医師に共有しましょう。低血糖の応急対応として常温のはちみつ少量を歯ぐきに塗布する方法が知られていますが、根本治療には受診が必要です。
特発性振戦症候群(GTS)の特徴は?
マルチーズ・ウエスティ等の白い小型犬種で若齢発症の全身性震え。Wagner 1997 では 80% がステロイド治療に反応。
特発性振戦症候群(Generalized Tremor Syndrome / White Shaker Syndrome)は、Wagner らの 1997 年の研究[4]で 24 例が分析され、マルチーズ・ウエストハイランドホワイトテリア・プードルなど主に若齢の小型犬種で見られる全身性の震えとして報告されました。同研究では 80% の症例がステロイド系免疫抑制治療に 3 日以内に反応したとされており、診断と治療は獣医師の判断が必要です。
急いで受診すべきサインは?
意識消失・呼吸困難・発作様・歩行困難・中毒疑い・ぐったり——これらは緊急サインです。
🚨 緊急受診サインのチェック
- 意識消失・呼びかけに反応しない
- 発作様の動き(口から泡・失禁・全身硬直)
- 呼吸が苦しそう・舌や歯ぐきが青白い
- 歩行困難・ふらつき
- 明らかな痛みのサイン
- 嘔吐・下痢を伴う
- 中毒疑い(誤飲後・観葉植物・人間用薬等)
中毒疑いの場合は ASPCA / Pet Poison Helpline 等の毒物相談窓口[8]も参考になりますが、まず動物病院へ。
自宅でできる対処法は?
原因別に保温・静かな環境・少量の食事・受診準備の 4 つを意識します。緊急サインがなければ様子見も選択肢。
原因別の対処法
- 寒さ:室温 20〜25℃、毛布、暖かい寝床
- ストレス・興奮:静かな場所へ移動、抱っこで安心させる
- 低血糖の応急:常温のはちみつ少量を歯ぐきに塗布、その後すぐ受診
- 動画撮影:受診時に獣医師に正確に伝える
- 緊急サインなら即受診:夜間救急含む
シニア犬・子犬で気をつけたいことは?
シニア犬は関節痛・神経老化・併発疾患の確認、子犬は低血糖と体温管理が要点です。
AAHA Senior Care Guidelines[5]では、シニア犬は年 1〜2 回の総合健診が推奨されています。震えの頻度が増えた場合は、関節痛・腎臓・心臓・神経系の評価を獣医師と相談しましょう。子犬の場合、特に小型犬種(チワワ・ヨーキー等)では低血糖が命に関わるため、規則的な食事と保温が欠かせません。
WANPAKU 診断データから見える、関連する悩み
シニア犬の関節ケア(約4割)や食欲不振(約2割)と震えは関連する場面が多くなっています。
WANPAKU 診断4,161回のうち、シニア犬(7歳以上)の悩み事を集計すると、震えの背景となりうる関節ケア・体重管理・食欲不振が上位に挙がります。
診断データから見える、シニア犬の悩みと震え関連
※ WANPAKU 診断システム集計(シニア犬 n=939、2025年9月〜2026年5月)
📚 もっと深く:震えに関連する話題を spoke 記事で
- 心臓病の食事管理:シニア犬の震え原因のひとつ
- 糖尿病の食事管理:低血糖サイン
- シニア犬の食事ガイド:7 歳からの栄養管理
- 関節ケアのフード選び:痛みによる震え対策
- 食べないときの 6 つの原因:体調不良のサイン
受診前に整理しておきたいことは?
震えの動画・頻度・持続時間・直前の状況・食事・薬を記録すると診察がスムーズに。
✅ 受診前チェックリスト
- 震えの動画(スマホ撮影)
- 震えの開始時刻・持続時間・頻度
- 震え直前の状況(食事・散歩・気温・刺激)
- 意識・呼吸・歩行の状況
- 過去の食事・水分摂取量
- 服用中の薬・サプリ
- 誤飲の可能性(中毒疑い)
💰 受診費用の目安(参考値)
- 初回診察 + 血液検査:5,000〜15,000 円
- 神経学的検査 + MRI(必要時):10〜20 万円
- 長期管理(てんかん等の投薬):月 3,000〜10,000 円
※ 動物病院・地域・併発処置で大きく変わります。ペット保険対象も確認しましょう。
よくある質問
犬が震えていたらまず何を確認すればいい?
まず体温(耳・脇・腹を触る)、室温、最後に食事・散歩した時間、痛みのサイン、意識の有無を確認します。寒さ・興奮なら原因除去で 5〜10 分程度で落ち着きますが、意識低下・発作様の動き・呼吸異常があれば緊急受診を検討してください。IVETF 2015[1][2] では振戦と発作の区別が重要と整理されています。
震えと発作(てんかん)の見分け方は?
震えは意識があり呼びかけに反応します。発作は意識消失・全身硬直・口から泡・失禁を伴うことが多く、IVETF 2015 コンセンサス[2]ではてんかんの定義として 24 時間以上の間隔で 2 回以上の非誘発性発作が挙げられています。発作と思われる動きが出た場合は動画撮影して獣医師に共有を。
寒さで震える小型犬、対処法は?
室温を 20〜25℃に保ち、毛布や暖かい寝床で体を温めます。AVMA 寒さ対策ガイドライン[7]では、小型犬・短毛犬・子犬・シニア犬は低体温のリスクが高いとされ、特に冬場の長時間散歩や濡れた状態を避けることが推奨されます。
低血糖の震えはどう判断する?
子犬・小型犬種(チワワ・ヨーキー等)で空腹時や運動後にぐったり + 震え + 意識朦朧が出たら低血糖の疑いです。応急処置として常温のはちみつ少量を歯ぐきに塗ると吸収が早いとされます(緊急時のみ)。すぐに動物病院へ。糖尿病でインスリン投与中の犬は特に注意が必要です。
白い犬が震える「特発性振戦症候群(GTS)」とは?
特発性振戦症候群(Generalized Tremor Syndrome / White Shaker Syndrome)はマルチーズ・ウエストハイランドホワイトテリア・プードルなど主に若齢の小型犬種に見られる全身性の震えです。Wagner 1997[4]の症例研究では、24 例の 80% がステロイド系免疫抑制治療に 3 日以内に反応したと報告されています。診断と治療は獣医師にご相談ください。
シニア犬の震えで気をつけることは?
シニア犬の震えは関節の痛み・体力低下・神経系の老化・腎機能低下・心臓病など複合要因が多く、AAHA Senior Care Guidelines[5] では年 1〜2 回の総合健診が推奨されています。突然の頻度増加・歩行異常を伴う場合は受診を検討してください。
ストレスや興奮で震えるのは問題ない?
短時間で落ち着く震えなら多くは問題ありません。ただし、Merck Veterinary Manual[6]では慢性的なストレスは健康に影響すると指摘されており、長期にわたって続く場合は環境改善や行動相談を獣医師にしてみましょう。
急いで受診すべき震えのサインは?
①意識消失・呼びかけに反応しない、②呼吸が苦しそう・舌が青白い、③発作様の動き(口から泡・失禁・全身硬直)、④歩行困難・ふらつき、⑤明らかな痛みのサイン、⑥嘔吐・下痢を伴う、⑦中毒疑い(誤飲後)。これらは ASPCA / Pet Poison Helpline 等[8]でも緊急サインとされています。
まとめ
犬の震えは 「意識の有無」「持続時間」「随伴症状」で緊急度を見分けます。寒さ・ストレスなど短時間で落ち着くものから、低血糖・てんかん・特発性振戦症候群(GTS)など獣医師の診断が必要なものまで幅があります。IVETF 2015 コンセンサス[2]で整理された定義に基づき、発作様の動きが出た場合は動画撮影して獣医師に共有することが診断の助けになります。
Wagner 1997[4]が示すように、白い小型犬種に多い特発性振戦症候群はステロイド治療に反応することが多いと報告されています。シニア犬の慢性的な震えは AAHA[5]が推奨する年 1〜2 回の総合健診で関節・神経・腎臓・心臓を評価しましょう。緊急サインがあれば速やかに動物病院を受診してください。
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参考文献を表示(全 8 件)
- De Risio L, Bhatti S, Muñana K, et al. "International veterinary epilepsy task force consensus proposal: diagnostic approach to epilepsy in dogs." BMC Vet Res. 2015;11:148. doi:10.1186/s12917-015-0462-1
- Berendt M, Farquhar RG, Mandigers PJ, et al. "International veterinary epilepsy task force consensus report on epilepsy definition, classification and terminology in companion animals." BMC Vet Res. 2015;11:182. doi:10.1186/s12917-015-0461-2
- Bhatti SF, De Risio L, Muñana K, et al. "International Veterinary Epilepsy Task Force consensus proposal: medical treatment of canine epilepsy in Europe." BMC Vet Res. 2015;11:176. doi:10.1186/s12917-015-0464-z
- Wagner SO, Podell M, Fenner WR. "Generalized tremors in dogs: 24 cases (1984-1995)." J Am Vet Med Assoc. 1997;211(6):731-735.
- AAHA. "AAHA Senior Care Guidelines for Dogs and Cats." 2024 update.
- Merck Veterinary Manual. "Tremors and Stress in Dogs."
- American Veterinary Medical Association (AVMA). "Cold Weather Pet Safety."
- ASPCA Animal Poison Control Center / Pet Poison Helpline.