在宅勤務で愛犬べったり…出社再開で「分離不安」にさせない距離感の作り方

在宅勤務と愛犬の分離不安予防

💡 この記事の結論

在宅勤務中に愛犬が常にそばにいる状態が続くと、出社再開時に分離不安を発症するリスクがあります。今のうちから「適度な距離感」を意識し、段階的に離れる練習を取り入れましょう。

  • 飼い主の常時在宅が依存度を高める - 犬は「飼い主はいつもいるもの」と学習し、外出時のギャップが大きくなることでストレスを感じやすくなる
  • 初期サインを見逃さない - 外出準備で落ち着かなくなる、トイレに行くだけで後追いするなど、小さな変化が分離不安の前兆
  • 在宅中でも「一人時間」を作る - 別の部屋で過ごす時間や、犬専用スペースを設けて「一人でいてもOK」な体験を積み重ねる
  • 段階的な練習が鍵 - 5分から始めて少しずつ離れる時間を延ばし、「飼い主は必ず戻ってくる」と学習させる

📌 具体的な練習プランとおすすめグッズは下記をご覧ください

コロナ禍以降、在宅勤務が定着した家庭も多いのではないでしょうか。飼い主がずっと家にいることで愛犬との時間が増えるのは嬉しいことですが、その一方で「出社が再開したとき、この子は大丈夫だろうか」という不安を感じている方もいるかもしれません。

実際に、在宅勤務から出社に切り替わったタイミングで分離不安の症状を示す犬が増えているという報告があります[3]。この記事では、在宅勤務中の今からできる適度な距離感の作り方と、出社再開に向けた段階的な練習方法を紹介します。

在宅勤務が犬の依存度を高めるメカニズム

犬は社会的な動物であり、飼い主との強い愛着関係を形成します。在宅勤務によって飼い主が一日中家にいる生活が続くと、犬は「飼い主はいつもそばにいるもの」という認識を強めていきます[1]

犬は環境の変化に敏感な動物です。毎日のルーティンが安定していることで安心感を得ているため、そのルーティンが急に変わること自体がストレスになります。在宅勤務で「常に飼い主がいる」という状態が当たり前になればなるほど、出社再開で「突然いなくなる」ことへのギャップは大きくなります。

ポイント:問題は「飼い主がそばにいること」自体ではなく、「常にそばにいる状態が当たり前になること」です。犬が飼い主の存在に依存しすぎると、不在時に強い不安やストレスを感じるようになります。これが分離不安の入り口です。

特に在宅勤務中に以下のような行動パターンが定着している場合は注意が必要です。

  • 犬が常に飼い主と同じ部屋にいて、飼い主が移動するたびについてくる
  • 犬が鳴いたり甘えたりするたびに応じてしまう
  • 在宅中ずっと犬を膝の上や隣に置いている
  • 以前は留守番できていたのに、在宅勤務が始まってから一人にさせていない

こうした習慣が続くと、犬は「飼い主が常にそばにいる状態」を基準として認識し、その基準から外れたときに強いストレスを感じるようになります。ストレスは食欲の低下にもつながることがあり、愛犬のフード選びにも影響を及ぼす場合があります。

分離不安の初期サイン5つ

分離不安は突然始まるものではなく、多くの場合、初期のサインがあります。以下の5つの行動が見られたら、早めに対策を始めましょう[1]

  1. 外出準備を始めると落ち着かなくなる - 鍵を持つ、靴を履くなどの「外出のサイン」に反応して、そわそわしたり、鳴いたり、飼い主にまとわりつくようになる
  2. 飼い主がトイレに行くだけで後追いする - 同じ家の中で別の部屋に移動しただけで鳴く、ドアの前で待ち続ける、ドアをひっかくなどの行動が見られる
  3. 留守番中の過度な吠え - 飼い主が外出してから長時間吠え続ける。近隣から苦情が来て初めて気づくケースも多い
  4. 帰宅時の異常な興奮 - 帰宅するとパニックのように興奮し、5分以上落ち着かない。通常の「お帰りの喜び」とは明らかに質が異なる過剰な反応
  5. 留守番中の破壊行動や粗相 - 普段はしないのに、留守番中だけ家具をかじる、ドアを引っかく、トイレの失敗をするなどの行動が出る

注意

上記のサインが複数当てはまり、日常生活に支障が出ている場合は、動物行動学の専門家やかかりつけの獣医師に相談してください。分離不安は適切な対応をしないと悪化する可能性があります。この記事で紹介する方法は軽度の予防・改善を目的としたものです。

今日からできる「適度な距離感」の作り方

分離不安の予防で最も大切なのは、在宅中でも「一人で過ごす時間は怖くない」という経験を犬に積ませることです。以下のチェックリストを参考に、今日からできることを始めてみましょう[2]

距離感づくりチェックリスト

  • 在宅中でも別の部屋で過ごす時間を作る:仕事中の1〜2時間は犬と別の部屋で過ごしてみましょう。最初はドアを開けたままでOK。慣れたら少しずつドアを閉める時間を増やします
  • 犬が寝ている間にそっと移動する:犬が昼寝をしているタイミングで別の部屋に移動し、「起きたら飼い主がいなかったけど大丈夫だった」という成功体験を作ります
  • 犬専用のスペースを用意する:クレートやベッドなど「ここは自分の場所」と犬が認識できるスペースを作り、そこで過ごすことを習慣化させます
  • 甘え鳴きにすぐ反応しない:鳴いたらすぐに駆けつけるのではなく、静かになったタイミングで褒めたりおやつをあげたりすることで「静かにしていると良いことがある」と学習させます
  • 外出・帰宅を大げさにしない:出かけるときに「行ってくるね、いい子にしててね」と長々と声をかけたり、帰宅時に過剰に喜んだりすると、外出が「特別なイベント」になってしまいます。さりげなく出て、さりげなく帰るのが理想です
  • 日中の運動と頭の体操を取り入れる:在宅勤務の合間に散歩や遊びの時間を設け、犬のエネルギーを適度に発散させましょう。疲れた犬は穏やかに一人で休めるようになります

これらは一度にすべてやる必要はありません。できることから一つずつ始めて、犬のペースに合わせて進めていくのが成功のコツです。

出社再開に向けた段階的練習プラン

分離不安の予防・改善で最も重要なのは「少しずつ慣らす」ことです。急に長時間の留守番をさせるのではなく、段階的に離れる時間を延ばしていくことで、犬は「飼い主は必ず戻ってくる」と学習します[2]

4週間の段階的練習スケジュール例

  • 1週目:5分間の別室練習 - 在宅中に別の部屋に移動し、ドアを閉めて5分間過ごす。犬が静かにしていたら戻って褒める。1日2〜3回繰り返す
  • 2週目:15分間の短時間外出 - 実際に家を出て15分間外出する。コンビニに行く程度の外出から始める。帰宅時は大げさにせず、静かに戻る
  • 3週目:30分間の外出 - 買い物や散歩などで30分間家を空ける。外出前にコングやノーズワークマットを与え、犬が集中しているうちにさりげなく出発する
  • 4週目:1〜2時間の外出 - カフェや図書館で過ごすなど、1〜2時間の外出に挑戦。ペットカメラがあれば様子を確認しながら進められる

※各段階で犬が過度な不安を示す場合は、前のステップに戻って練習を続けてください。犬のペースに合わせることが大切です。

練習を成功させるポイント

  • 外出と帰宅をさりげなくする - 「行ってきます」「ただいま」を大げさにしない。外出が日常の一部であると犬に認識させます
  • 外出前に十分な運動をさせる - 朝の散歩や室内遊びでエネルギーを発散させてから練習すると、犬は穏やかに休みやすくなります
  • 成功体験を積み重ねる - 犬が落ち着いて待てた場合は、戻ったときに穏やかに褒めましょう。おやつを使うのも効果的です
  • 失敗しても叱らない - 留守番中に粗相や破壊行動があっても、帰宅後に叱るのは逆効果です。犬は「なぜ叱られたのか」を理解できず、帰宅そのものに恐怖を感じるようになってしまいます

出社再開が決まっている場合は、なるべく早い段階からこの練習を始めることをおすすめします。理想的には出社再開の4〜6週間前から取り組むと、犬にとって無理のないペースで慣らすことができます。ストレスが原因で食欲が落ちることもあるため、愛犬の食事の様子も合わせて観察しておくと安心です。

よくある質問

Q. 分離不安と単なる寂しがりの違いは?

寂しがりは飼い主がいなくなると少し鳴いたり元気がなくなったりする程度で、しばらくすると落ち着いて普通に過ごせます。一方、分離不安は飼い主の不在時にパニック状態になり、長時間吠え続ける、家具を破壊する、粗相をする、自傷行為(足を舐め続けるなど)をするなど、深刻な行動が見られます。帰宅後に異常な興奮が何分も続くのも特徴的です。日常生活に支障が出るレベルの場合は、動物行動学の専門家への相談を検討してください。

Q. 在宅勤務中、犬がずっとそばにいるのは問題ですか?

犬がリラックスしてそばにいる分には問題ありません。ただし、飼い主がトイレに行くだけで鳴いたり後追いしたりする場合は、過度な依存のサインです。在宅中でも意図的に別の部屋で過ごす時間を作り、犬が一人で過ごす経験を積ませることが大切です。完全に離れるのではなく、同じ家の中で別の部屋にいる時間を少しずつ増やしていく方法が効果的です。

Q. 犬の分離不安は治りますか?

軽度の分離不安であれば、段階的なトレーニングと環境調整で改善が期待できます。ポイントは「少しずつ離れる時間を延ばす」ことと「外出=怖いこと」ではなく「外出しても飼い主は必ず戻ってくる」と犬に学習させることです。重度の分離不安の場合は、動物行動学の専門家やかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。行動療法と環境調整を組み合わせたアプローチが必要になることがあります。

Q. 留守番中に音楽やテレビをつけておくのは効果がありますか?

一定の効果があるとする報告があります。環境音や穏やかな音楽は、外の物音(救急車、工事音など)に犬が過剰に反応するのを和らげる効果が期待できます。ただし、音楽やテレビだけで分離不安が解消されるわけではなく、あくまで補助的な手段です。段階的な練習や環境づくりと併せて活用しましょう。

まとめ

在宅勤務で愛犬と過ごす時間が増えるのは嬉しいことですが、出社再開時に分離不安を発症するリスクを意識しておくことが大切です。在宅中でも別の部屋で過ごす時間を設ける、犬専用のスペースを作る、甘え鳴きにすぐ反応しないなど、小さな工夫から「適度な距離感」を作っていきましょう。出社再開が見えてきたら、5分の別室練習から始めて段階的に離れる時間を延ばし、犬に「一人でも大丈夫」「飼い主は必ず戻ってくる」という安心感を学習させることがポイントです。コングやノーズワークマットなどのグッズも上手に活用し、愛犬にとって留守番が「怖い時間」ではなく「リラックスできる時間」になるよう準備を進めてください。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。愛犬の健康について気になることがあれば、必ず動物病院にご相談ください。

参考文献を表示(全3件)
  1. ASPCA - Separation Anxiety in Dogs
  2. AKC - Separation Anxiety in Dogs: Causes and Prevention
  3. Ho J, et al. "Did the COVID-19 Pandemic Spark a Public Interest in Pet Adoption?" Frontiers in Veterinary Science. 2021.

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