「国産だから安心」は危険な思い込み?
日本では「国産」という言葉に安心感を覚える方が多いのではないでしょうか。食品の場合、国産は品質管理が行き届いているイメージがありますよね。
しかし、ドッグフードに関しては「国産=安心」とは言い切れないのが現状です。
その理由は、日本と海外ではペットフードに対する法規制や安全基準に大きな違いがあるからです。この記事では、国産と海外産ドッグフードの違いを客観的に解説し、愛犬に合ったフード選びができるようサポートします。
💡 結論を先にお伝えすると...
「国産か海外産か」よりも大切なのは、「信頼できるメーカーか」「愛犬に合った成分か」という2点です。ただし、その判断をするためには、まず日本と海外の規制の違いを知っておく必要があります。
要注意!「国産」の本当の意味|原材料は海外産かも
まず知っておきたいのは、「国産」の定義です。
ℹ️ 「国産」の定義
ペットフード安全法における「原産国」とは、「最終的にどこで加工されたか」が基準となります。つまり、海外産の原材料を使っていても、日本国内で最終加工されていれば「国産」と表示されます。
例えば、以下のようなケースはすべて「国産」として表示されます。
- 日本産の原材料を使い、日本で製造したフード
- 海外産の原材料を輸入し、日本で加工・製造したフード
- 海外で一次加工し、日本で最終加工したフード
⚠️ ここに注意
「国産」という表示だけでは、原材料がどこ産なのかはわかりません。原材料の産地が気になる場合は、メーカーの公式サイトや問い合わせで確認しましょう。
日本の安全基準は甘い?ペットフード安全法の3つの盲点
2007年、米国でメラミン混入ペットフードによる大規模な健康被害が発生し、犬猫あわせて4,000頭以上が死亡したとされています。この事件をきっかけに、日本でも2009年に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(通称:ペットフード安全法)が施行されました。
ペットフード安全法の主な内容
- ✅ 製造業者・輸入業者の届出義務
- ✅ 製品名・原材料・賞味期限・事業者情報・原産国の表示義務
- ✅ 有害物質の成分規格(上限値の設定)
- ✅ 帳簿の備え付け義務
- ✅ 違反時の罰則(個人は100万円以下、法人は1億円以下の罰金)
主な成分規格(上限値)
| 項目 | 成分 | 上限値 |
|---|---|---|
| 添加物 | エトキシキン・BHA・BHT | 合計150μg/g(犬用エトキシキンは75以下) |
| 添加物 | 亜硝酸ナトリウム | 100μg/g |
| 農薬 | グリホサート | 15μg/g |
| 汚染物質 | アフラトキシンB1 | 0.02μg/g |
| 重金属 | 鉛 | 3μg/g |
| その他 | メラミン | 2.5μg/g |
日本の規制の特徴と課題
⚠️ 知っておきたいポイント
- 日本ではペットフードは食品衛生法の対象外(法的には「食品」ではなく「雑貨」扱い)
- 「ヒューマングレード」などの表示に法的な規制がない
- 原材料表示は義務だが、産地の表示義務はない
ここが違う!海外のペットフード規制
海外、特にペット先進国と呼ばれる国々では、日本とは異なるアプローチでペットフードの安全性を確保しています。
アメリカの規制(AAFCO)
🇺🇸 アメリカの特徴
- 連邦食品・医薬品・化粧品法のもとで規制
- AAFCO(米国飼料検査官協会)が栄養基準を設定
- ペットフードは食品や家畜飼料と同等の基準で管理
- 「Complete and Balanced(総合栄養食)」の表示にはAAFCO基準への適合が必要
ヨーロッパの規制(EU・FEDIAF)
🇪🇺 ヨーロッパの特徴
- 一般食品法規制(規則178/2002/EC)のもとで規制
- FEDIAF(欧州ペットフード工業会連合)が栄養ガイドラインを策定
- EU加盟国で統一された規制が適用
- 栄養基準は最新の科学的知見に基づき定期的に改訂(2025年版が最新)
- 製造衛生・環境サステナビリティにも配慮
ドイツの規制(ペット先進国の代表例)
🛡️ ドイツの特徴
- EU規制により、ペットフードの動物性原料は「Category 3」(人間の消費に適した動物由来原料)のみ使用可能
- 合成添加物・遺伝子組み換え食材の使用制限
- Bio(オーガニック)認証は世界で最も厳しい審査基準のひとつ
- ペットフードも一般食品法規制(Regulation 178/2002/EC)の対象として厳格に管理
【一目でわかる】日本と海外の規制比較表
| 項目 | 日本 | アメリカ | EU(ドイツ等) |
|---|---|---|---|
| 法的位置づけ・規制法 | 雑貨(食品ではない)/ペットフード安全法 | 食品・飼料と同等/連邦食品・医薬品・化粧品法 | 食品・飼料と同等/一般食品法規制 |
| 栄養基準 | なし(業界自主基準) | AAFCO基準 | FEDIAF基準 |
| 原材料の品質基準・表示 | 品質の法的規制なし/全成分表示(産地は任意) | FDA規制あり/全成分表示 | Category 3原料のみ/全成分表示 |
| 基準の更新頻度 | 不定期 | 数年ごと | 定期的に改訂 |
| オーガニック認証 | 対象外 | USDA認証あり | Bio認証(厳格) |
📋 ここまでのまとめ
日本のペットフード安全法には一定の規制がありますが、「食品」ではなく「雑貨」扱いという点で、海外のペット先進国とは大きな差があります。EUでは一般食品法規制の対象としてペットフードも厳格に管理され、動物性原料は人間の消費に適した品質のものに限定されています。
では、実際にフードを選ぶ際、国産と海外産のどちらを選ぶべきでしょうか?次のセクションで、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
国産フードを選ぶべき人・選んではいけない人
👍 メリット
- 鮮度が保たれやすい:製造から店頭に届くまでの時間が短く、輸送距離も短いため新鮮な状態で届きやすい
→ 「開封したときの香りが違う」「食いつきが良い」という声も - 保存料・酸化防止剤が少ない傾向:長期輸送を前提としないため、添加物を抑えた製品が作りやすい
→ 添加物が気になる飼い主さんも安心して与えられる - 小型犬向け製品が充実:日本は小型犬の飼育が多いため、小型犬に合わせた粒サイズや栄養バランスの製品が豊富
→ チワワやトイプードルなど、小さな口でも食べやすい - 問い合わせしやすい:国内メーカーなら日本語でのサポートが受けやすく、疑問点を確認しやすい
→ 「うちの子に合うか」相談できる安心感がある
👎 デメリット
- 法的な品質基準が緩い:ペットフード安全法はあるものの、食品と比較すると規制が限定的
- 「ヒューマングレード」表示の信頼性:法的な定義がないため、メーカーの自主基準に依存
- 原材料の産地が不明確な場合も:「国産」でも原材料は海外産の可能性がある
✅ 国産フードが向いている人
- 小型犬を飼っている方
- 鮮度を重視したい方
- 日本語でサポートを受けたい方
- メーカーに直接問い合わせたい方
海外産フードを選ぶべき人・選んではいけない人
👍 メリット
- 厳格な品質基準:EUでは動物性原料が「人間の消費に適した品質」に限定され、一般食品法規制の対象として管理
→ 原材料の品質基準を重視する方に最適 - AAFCO・FEDIAF基準への適合:第三者機関による栄養基準のチェックがある
→ 栄養バランスが科学的に裏付けられている - オーガニック認証の信頼性:Bio認証など、厳格な基準をクリアした製品が多い
→ 農薬や化学肥料が気になる方も安心 - 天然素材へのこだわり:人工添加物や保存料を控えた製品が多い傾向
→ ナチュラル志向の飼い主さんにぴったり
👎 デメリット
- 輸送による品質リスク:正規輸入品であれば管理されているが、並行輸入品は注意が必要
- 価格が高い傾向:輸送コストや関税の影響で、国産より割高になりやすい
- 賞味期限に注意:製造から時間が経過している場合があるため確認が必要
- 大型犬向け製品が多い:粒サイズが大きめの製品が多く、小型犬には合わない場合も
✅ 海外産フードが向いている人
- 品質基準の厳しさを重視したい方
- オーガニック・ナチュラル志向の方
- 価格より品質を優先したい方
- 中型犬・大型犬を飼っている方
⚠️ 並行輸入品に注意
海外産ドッグフードを購入する際は、必ず「正規輸入品」かどうかを確認しましょう。並行輸入品は保管・輸送環境が不明確で、品質が劣化している可能性があります。正規代理店や公式販売店から購入することをおすすめします。
フードの品質劣化を防ぐ保存方法については、「ドッグフードの正しい保存方法ガイド」で詳しく解説しています。
【結論】フード選びで本当に大切な5つのポイント
ここまで国産と海外産の違いを解説してきましたが、最も重要なのは「産地」ではありません。
⭐ フード選びで重視すべき5つのポイント
- 原材料の透明性:主原料が明確に記載されているか、産地情報が公開されているか
- メーカーの信頼性:製造基準や品質管理体制が公開されているか
- 愛犬に合った成分:年齢・体格・健康状態に合った栄養バランスか
- 第三者基準への適合:AAFCO、FEDIAF、ペットフード公正取引協議会などの基準を満たしているか
- 愛犬の食いつき・体調:実際に与えてみて、食べ具合や便の状態が良いか
チェックリスト:信頼できるドッグフードの見分け方
- ✅ 主原料(肉・魚)が原材料表示の最初に記載されている
- ✅ 原材料の産地や品質についての情報が公開されている
- ✅ 製造工場の所在地や品質管理体制が明記されている
- ✅ 「総合栄養食」の表示がある(主食として与える場合)
- ✅ 問い合わせ先が明確で、質問に回答してもらえる
- ✅ 不自然に安すぎない適正価格である
よくある質問
「国産」のドッグフードは原材料も国産なの?
いいえ、必ずしもそうではありません。ペットフード安全法では「最終的にどこで加工されたか」が原産国の基準となります。つまり、海外産の原材料を使っていても、日本国内で最終加工されていれば「国産」と表示されます。原材料の産地が気になる場合は、メーカーの公式サイトで確認することをおすすめします。
海外産ドッグフードは輸送中に品質が劣化しないの?
正規輸入品であれば、温度管理されたコンテナでの輸送や、適切な保管環境が確保されているため、品質劣化のリスクは低く抑えられています。ただし、並行輸入品は保管・輸送環境が不明確な場合があるため、購入時は必ず「正規輸入品」かどうかを確認しましょう。
ヒューマングレードとはどういう意味?
ヒューマングレードとは、人間が食べられる品質の原材料を使用しているという意味です。ただし、日本ではペットフードは食品衛生法の対象外のため、この表示に法的な規制はありません。EUでは動物性原料について「Category 3」(人間の消費に適した動物由来原料)のみ使用可能という規制がありますが、これは「ヒューマングレード」という表示義務とは異なります。日本製品でこの表示がある場合は、メーカーの情報を確認しましょう。
AAFCOとFEDIAFの違いは?
AAFCOはアメリカ、FEDIAFはヨーロッパにおけるペットフードの栄養基準を定める団体です。どちらも厳格な栄養基準を設けています。FEDIAFは最新の科学的知見に基づき定期的に基準を改訂しており(2025年版が最新)、EUの統一規制に基づいています。一方AAFCOはモデル規制を起草し、各州がそれを採用する形で運用されています。どちらの基準も信頼性は高いです。
結局、国産と海外産どちらを選べばいいの?
一概にどちらが良いとは言えません。重要なのは「国産か海外産か」ではなく、「信頼できるメーカーの製品か」「愛犬に合った成分・栄養バランスか」という点です。どちらを選ぶ場合も、原材料の透明性、製造基準、愛犬との相性を総合的に判断しましょう。
まとめ:愛犬に合ったフードを見極めよう
この記事のまとめ
- 日本と海外では規制が大きく異なる:日本ではペットフードは「食品」ではなく「雑貨」扱い。海外のペット先進国では食品と同等の基準で規制されている
- 「国産」の定義に注意:最終加工地が基準であり、原材料の産地ではない
- 国産・海外産それぞれに長所・短所がある:国産は鮮度と小型犬向け製品が強み、海外産は品質基準と認証制度が強み
- 産地より重要なのは「信頼性」と「愛犬との相性」:メーカーの情報公開姿勢、第三者基準への適合、実際に与えたときの愛犬の反応を重視しよう
愛犬の健康を守るためには、「国産だから安心」「海外産だから高品質」という先入観を持たず、客観的な情報をもとに判断することが大切です。この記事が、あなたと愛犬に合ったドッグフード選びの参考になれば幸いです。
➡️ 次にやるべきこと
今日学んだことを活かして、愛犬のフードのパッケージをチェックしてみましょう。
- 「原材料表示の読み方がわからない」→ 原材料表示の読み方ガイド
- 「フードの保存方法を知りたい」→ 正しい保存方法ガイド
- 「フードの種類を比較したい」→ ドッグフードの種類と特徴ガイド