毎日の散歩やトイレ掃除で愛犬のうんちを目にしているはずなのに、しっかり「観察」できている飼い主さんは意外と少ないのではないでしょうか。
うんちの色・形・硬さ・頻度は、犬の体内で何が起きているかを教えてくれる貴重な情報源です。毎日のチェック習慣をつけることで、異変に早く気づき、大きなトラブルを未然に防ぐことができます。
うんちは最も手軽な健康バロメーター
犬は体調が悪くても、初期段階では目に見える行動の変化を示さないことがあります。しかし、消化器の状態はうんちにダイレクトに反映されます。フードが体に合っているか、消化吸収がうまくいっているか、腸内環境は整っているかなど、多くの情報をうんちから読み取ることができます。
ポイント:うんちの観察で特に重要なのは「普段との違い」に気づくことです。愛犬の「いつものうんち」を把握していれば、わずかな変化にも素早く対応できます。
動物病院を受診する際も、うんちの状態を伝えることは診断の大きな手がかりになります。スマートフォンで写真を撮っておくと、獣医師への説明がスムーズです。
理想的なうんちの5つの特徴
まずは「健康な犬の理想的なうんち」の基準を知っておきましょう。これが基準線になります[1]。
健康なうんちのチェックリスト
- 色:チョコレートブラウン(ミルクチョコレートからダークチョコレートの間)。フードの原材料によって多少の色味の違いは正常
- 硬さ:ティッシュやビニール袋で持ち上げても形が崩れない。地面にほとんど跡が残らない程度が理想。指で軽く押すと少し凹む程度
- 形:丸太のような形で、表面が滑らかで少しツヤがある。ひび割れているものは水分不足、表面がべたつくものは脂肪分が多い可能性
- 大きさ:フードの量に比例。食べた量に対してうんちが極端に多い場合は、フードの消化率が低い可能性がある
- におい:特有の匂いはあるが、強すぎない。悪臭が強い場合は消化不良や腸内環境の乱れが考えられる
うんちの色でわかる7つの健康パターン
うんちの色は消化器の状態を反映する重要な指標です[2]。以下の7つのパターンを把握しておきましょう。
| 色 | 考えられる原因 | 対応 |
|---|---|---|
| チョコレートブラウン | 正常。胆汁が正しく代謝されている証拠 | 問題なし |
| 黄色〜オレンジ | 肝臓・胆嚢の問題、フードの色素、膵臓の問題の可能性 | 続くなら動物病院へ |
| 黒色(タール状) | 上部消化管(胃・小腸)からの出血の可能性 | 早めに動物病院へ |
| 赤色(鮮血が混じる) | 下部消化管(大腸・直腸)からの出血の可能性 | 早めに動物病院へ |
| 白っぽい・灰色 | 膵臓や胆道の問題で脂肪が消化できていない可能性。カルシウム過多 | 動物病院へ |
| 緑色 | 草を食べた、胆汁の過剰分泌、消化が速すぎる | 一時的なら様子見。続くなら受診 |
| 白い粒が混じる | 未消化のフード(穀物やカルシウムの塊)、寄生虫の可能性 | 粒が動いている場合は寄生虫。動物病院へ |
⚠️ すぐに動物病院を受診すべきケース
黒いタール状の便、鮮血が混じる便、水様の下痢が半日以上続く場合、嘔吐を伴う下痢は緊急性が高い場合があります。特に小型犬は脱水になりやすいため、早めの受診が重要です。
形と硬さから読み取れる消化状態
うんちの硬さは7段階のスケール(Purina Fecal Scoring System等)で評価されることがあります[1]。日常的には以下の5段階で把握しておくと便利です。
| 硬さ | 状態 | 意味 |
|---|---|---|
| カチカチ | コロコロと乾燥した小さな塊。表面にひび割れ | 水分不足、便秘気味。水分補給やフードの見直しを |
| やや硬い | しっかりとした形で、表面がやや乾いている | やや水分が少ない。正常範囲だが水分摂取を意識 |
| 理想的 | 丸太形で表面にツヤ。持ち上げても形が崩れない | 消化・吸収が順調な証拠 |
| やや軟らかい | 形はあるが持ち上げると変形する。地面に跡が残る | 軟便の初期。フード変更直後やストレスで一時的に起こることも |
| 水様 | 形がなく水っぽい | 下痢。半日以上続く場合は脱水に注意。動物病院へ |
軟便が続く場合は軟便時のフード見直しガイドも参考にしてみてください。フードが体に合っていない可能性があります。
頻度と量の変化が示すサイン
正常な排便回数
小型犬の排便回数は1日1〜3回が一般的です。子犬やシニア犬は回数が多く、成犬になると安定してきます。大切なのは「愛犬の普段の回数」を把握しておくことです。
回数が増えた場合
- 消化不良でフードが十分に吸収されていない可能性
- 食物繊維が多すぎるフードに変えた直後
- ストレスや環境の変化
- 腸の炎症(少量の便を頻回にする場合は大腸の問題の可能性)
回数が減った・出ない場合
- 便秘。水分摂取量の不足が最も多い原因
- 運動不足による腸の動きの低下
- 2日以上排便がない場合は動物病院に相談を
量の変化にも注目
食べた量に対してうんちの量が多い場合は、フードの消化率が低い(体に必要な栄養が十分に吸収されていない)可能性があります。逆に急にうんちの量が減った場合は、食欲の低下や腸の通過障害が考えられます。
うんちチェックを習慣化するコツ
- 白いトイレシーツを使う - 白い背景の上だとうんちの色が判別しやすく、血液や粘液の付着にも気づきやすくなります
- 片付ける前に3秒観察 - 色・形・量を確認するだけなら3秒で十分。「片付け前のルーティン」として習慣化しましょう
- 異変があればスマホで撮影 - いつもと違うと感じたらスマートフォンで写真を撮っておきましょう。動物病院での説明がスムーズになります
- フード変更時は特に注意 - フードを切り替えた前後はうんちの変化が起きやすい時期です。切り替え後2週間は特に注意して観察しましょう
よくある質問
Q. 犬の正常なうんちはどんな状態ですか?
正常な犬のうんちは、チョコレートブラウン色で、適度な硬さ(ティッシュで持ち上げても形が崩れず、地面にほとんど跡が残らない程度)、表面にツヤがあり、強すぎない匂いが特徴です。大きさはフードの量に比例し、小型犬であれば1回あたり指1〜2本分程度の量が目安です。
Q. 犬のうんちが黒いのは危険ですか?
タール状の真っ黒なうんちは、上部消化管(胃や小腸)からの出血のサインである可能性があります。血液が消化される過程で黒く変色するためです。ただし、鉄分の多いフードやサプリメントを与えている場合も便が黒っぽくなることがあります。タール状で粘り気がある黒い便が続く場合は、早めに動物病院を受診してください。
Q. フードを変えるとうんちの状態は変わりますか?
はい、フードの変更はうんちの状態に大きく影響します。新しいフードに切り替えた直後は、軟便や下痢になることがあります。これはフード切り替え時の正常な反応で、通常1〜2週間で落ち着きます。フードの切り替えは7〜10日かけて少しずつ混ぜていく方法が推奨されます。2週間以上軟便が続く場合は、そのフードが合っていない可能性があります。
Q. 犬のうんちにゼリー状のものが混じっています。大丈夫ですか?
ゼリー状の粘液は、大腸の粘膜から分泌されるもので、大腸に何らかの刺激や炎症がある可能性を示しています。少量であれば一時的なストレスや食事の変化でも起こりますが、粘液の量が多い、血液が混じっている、下痢を伴う、数日以上続くなどの場合は動物病院に相談してください。
まとめ
愛犬のうんちは、色・形・硬さ・頻度という4つの視点でチェックすることで、体の状態を知ることができる最も身近な健康バロメーターです。理想的なうんちはチョコレートブラウン色で適度な硬さがあり、表面にツヤがある状態。黒いタール便や鮮血混じりの便、水様の下痢が続く場合は早めに動物病院を受診しましょう。白いトイレシーツの使用や、片付け前の3秒観察を習慣にすることで、日常的な健康管理につながります。うんちの変化が続く場合はフードとの相性も見直してみてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。愛犬の健康について気になることがあれば、必ず動物病院にご相談ください。