愛犬の耳の匂いを嗅いだことはありますか?耳は外から見えにくいぶん、異変に気づくのが遅れやすい部位です。しかし、匂い・見た目・行動の3つを定期的にチェックする習慣をつけるだけで、耳のトラブルに早い段階で対応できるようになります。
この記事では、小型犬の耳の健康を守るための週1回のチェック方法と、垂れ耳・立ち耳それぞれの正しいケア方法を解説します。自宅でできるイヤークリーナーの使い方や、動物病院に行くべきサインも紹介していますので、日々のケアにお役立てください。
健康な耳の状態を知っておく
耳トラブルに早く気づくためには、まず「健康な耳の状態」を知っておくことが大切です。普段の状態を把握しておけば、ちょっとした変化にも気づきやすくなります[1]。
健康な耳のチェックリスト
- 色:薄いピンク色。赤みや黒ずみがなく、均一な色合い
- 匂い:ほとんど匂いがない。鼻を近づけてもわずかに皮脂の匂いがする程度
- 耳垢:少量で茶色〜薄茶色。べたつきが少なく、量が少ない状態が正常
- 温度:体温と同程度の温かさ。熱を持っている場合は炎症の可能性
- 状態:腫れやただれがなく、耳の内側がなめらか
ポイント:愛犬の耳を触ることに慣れさせておくと、チェックやケアがスムーズになります。子犬のうちから耳を触る練習をしておくのがおすすめです。
週1回の耳チェック・3つの観察ポイント
耳のトラブルを早期に発見するために、週に1回は以下の3つのポイントを確認しましょう。ブラッシングやスキンシップの時間に組み込むと習慣化しやすくなります。
1. 匂いをチェック
耳のそばに鼻を近づけて匂いを確認します。健康な耳はほとんど匂いがしません。以下のような匂いがする場合は注意が必要です。
- 発酵臭・すっぱい匂い:酵母菌(マラセチア)が増殖している可能性。垂れ耳の犬種に多い
- 膿のような匂い:細菌感染による炎症の可能性。早めの受診が望ましい
- きつい匂いが急に出た:外耳炎の初期症状である可能性
2. 見た目をチェック
耳を軽くめくって内側を観察します。明るい場所で確認するとわかりやすいです。
- 赤み・腫れ:炎症のサイン。部分的な赤みでも経過観察が必要
- 分泌物・異常な耳垢:黒い耳垢はダニ、黄色い膿のような分泌物は細菌感染の可能性
- 傷やかさぶた:掻きむしりによるもの。耳の中にかゆみの原因がある可能性
3. 行動をチェック
耳にトラブルがあると、犬は以下のような行動を見せることがあります。
- 頻繁に頭を振る:耳の中に違和感や痛みがあるサイン
- 耳を前足で掻く:かゆみがある場合に見られる行動
- 頭を一方に傾ける:片方の耳に問題がある可能性
- 耳を触られるのを嫌がる:痛みや不快感がある場合に普段と態度が変わる
垂れ耳・立ち耳で異なるケアの注意点
犬の耳の形状によって、トラブルのリスクやケアのポイントが異なります。愛犬の耳のタイプに合わせた対策を心がけましょう。
垂れ耳の犬種(トイプードル、ダックスフンド、キャバリア等)
垂れ耳は耳の入口がふさがれた状態のため、通気性が悪く湿気がこもりやすい構造です。そのため、細菌や酵母菌が繁殖しやすく、耳トラブルのリスクが立ち耳に比べて高い傾向があります[1]。
- シャンプー後は耳の水分をしっかり拭き取る - 耳の中に水が入ったまま放置すると、菌が繁殖しやすい環境になります
- 月2〜3回を目安にイヤークリーナーでケア - 立ち耳の犬種より頻度をやや上げるのが望ましい
- 梅雨や夏場は特に注意 - 高温多湿の時期は耳トラブルが増えやすくなります
また、トイプードルなど耳内に毛が生えやすい犬種は、耳毛が通気性をさらに悪くします。定期的にトリマーに耳毛の処理を依頼し、通気性を確保することが大切です。
立ち耳の犬種(チワワ、ポメラニアン、柴犬等)
立ち耳は通気性がよいため、垂れ耳に比べて耳トラブルは少ない傾向にあります。しかし、リスクがゼロというわけではありません。
- 月1〜2回のケアで十分なことが多い - 過度なケアはかえって耳内の環境を乱す原因に
- 外耳道に汚れが溜まっていないか定期的に確認 - 立ち耳でもアレルギー体質の犬は耳トラブルが起きやすい
- 散歩後に耳に異物が入っていないかチェック - 草の種やゴミが入りやすいことがある
アレルギー体質の犬は耳の形状に関わらず耳トラブルが起きやすい傾向があります。慢性的な耳の炎症がある場合は、食物アレルギーの可能性についても確認してみてください。
自宅でできる耳のお手入れ方法
耳のケアは難しそうに感じるかもしれませんが、正しい手順を知っていれば自宅でも安全に行えます。以下の手順を参考にしてください[2]。
イヤークリーナーを使った耳掃除の手順
- 準備:イヤークリーナー液、コットンまたはガーゼ、おやつ(ご褒美用)を用意。犬をリラックスさせた状態で始める
- クリーナーを注入:耳を軽く持ち上げ、耳の中にイヤークリーナー液を適量垂らす。ノズル付きのものが使いやすい
- 耳の付け根を揉む:耳の付け根あたりを外側から優しく10秒ほど揉む。「クチュクチュ」と音がするのが目安
- 犬に頭を振らせる:手を離すと犬が自然に頭を振り、耳の中の汚れがクリーナー液とともに外に出てくる
- コットンで拭き取る:外に出てきた汚れと余分な液をコットンやガーゼで優しく拭き取る。耳の入口周辺だけでOK
- ご褒美を与える:おやつで褒めることで、耳掃除をポジティブな体験として記憶させる
綿棒は使わないでください
綿棒は耳垢を奥に押し込んでしまうリスクがあります。さらに犬が急に動くと耳の内部を傷つける危険性もあります[3]。人間の耳掃除と同じ感覚で綿棒を使うのは避けましょう。
ケアの頻度について
一般的な目安は月1〜2回ですが、犬種や耳の状態によって異なります。やりすぎると耳内の常在菌のバランスを崩し、かえってトラブルの原因になることもあります。汚れが少ない場合は無理に行う必要はありません。
皮膚や被毛のコンディションが耳の健康にも影響することがあります。日頃の食事管理については皮膚・被毛をケアするフード選びも参考にしてみてください。
耳ケアグッズの選び方
耳ケアに使うグッズは、犬の耳に刺激が少なく安全なものを選ぶことが大切です。動物病院で使用されている製品や、犬専用に開発されたものを選ぶと安心です。
ノルバサンオチック 耳洗浄剤
こんな子におすすめ
- 動物病院でも使用されている信頼性の高いイヤークリーナー。弱酸性で肌に優しく日常のケアに最適
- ノズル付きで犬の耳に直接適量を注入しやすい設計。初めての耳掃除でも使いやすい
- 垂れ耳・立ち耳どちらの犬種にも対応。定期的なケアで耳の清潔を保てる
ビルバック エピオティック 耳洗浄剤
こんな子におすすめ
- サリチル酸配合で耳垢を柔らかくして除去しやすくする耳洗浄剤。頑固な耳垢が気になる子に
- 乾燥作用があり耳内の湿気をコントロール。垂れ耳の犬種に特に適している
- 梅雨や夏場の蒸れやすい時期の耳ケアにおすすめ。耳内環境を清潔に保てる
コットンパフ(天然綿100%)
こんな子におすすめ
- イヤークリーナー後の拭き取り用に最適。天然綿100%で繊維が残りにくく耳内を傷つけにくい
- 大判サイズで使いやすく、耳の入口周辺の汚れをしっかり拭き取れる
- 綿棒の代わりに安全に使える。耳掃除初心者の飼い主さんにもおすすめ
ポイント:人間用のイヤークリーナーや消毒液は犬の耳には刺激が強すぎる場合があります。必ず犬専用の製品を使用してください。初めて使う製品は、少量から試して犬の反応を確認しましょう。
こんなサインが見られたら動物病院へ
日常のケアで対応できる範囲を超えている場合は、早めに動物病院を受診しましょう。以下のサインが1つでも当てはまる場合は、自己判断でのケアは控えてください。
動物病院の受診が望ましいサイン
- 強い匂いが続く - 酸っぱい匂いや発酵臭が2〜3日以上続く場合
- 耳垢が急に増えた・色が変わった - 黒い耳垢、黄色い膿のような分泌物は感染の可能性
- 耳の内側が赤く腫れている - 外耳炎の可能性。放置すると中耳炎に進行するケースも
- 頭を激しく振る・耳を掻きむしる - 強いかゆみや痛みのサイン
- 耳から出血がある - 掻きむしりや耳内の傷が考えられる
- 頭を傾けたまま戻らない - 内耳に問題がある可能性
- 耳を触ると痛がって鳴く - 炎症が進行している可能性
耳のトラブルが繰り返される場合は、根本的な原因としてアレルギーが関わっていることがあります。食物アレルギーが耳の炎症を引き起こすケースは少なくなく、特定の食材(牛肉、鶏肉、小麦、大豆など)に反応して慢性的な耳の炎症が起きることがあります[1]。耳のトラブルが何度も繰り返される場合は、フードの見直しも選択肢の一つとして検討してみてください。
よくある質問
Q. 犬の耳掃除はどのくらいの頻度ですればいいですか?
一般的に月1〜2回が目安です。垂れ耳の犬種はやや頻度を上げて月2〜3回程度が望ましいでしょう。ただし、やりすぎは耳内の常在菌バランスを崩す原因にもなりますので、汚れが少ない場合は無理に行う必要はありません。耳に赤みや異臭がある場合は、自己流のケアではなく動物病院を受診してください。
Q. 犬の耳掃除に綿棒を使ってもいいですか?
綿棒の使用は推奨されません。綿棒は耳垢を奥に押し込んでしまうリスクがあり、さらに犬が急に動くと耳内部を傷つける危険性があります。イヤークリーナー液を耳に垂らし、耳の付け根を優しく揉んでから犬に頭を振らせ、外に出てきた汚れをコットンやガーゼで拭き取る方法が安全です。
Q. 犬の耳が臭いのはなぜですか?
耳の匂いが強い場合、細菌や酵母菌(マラセチア)の増殖が考えられます。特に垂れ耳の犬種は耳内の通気性が悪いため、湿気がこもりやすく菌が繁殖しやすい環境になります。アレルギー体質の犬はさらに耳トラブルが起こりやすい傾向があります。酸っぱい匂いや発酵臭、膿のような匂いがする場合は外耳炎の可能性があるため、動物病院を受診してください。
Q. 耳のトラブルとフードは関係がありますか?
食物アレルギーが耳の炎症を引き起こすケースは少なくありません。特定の食材(牛肉、鶏肉、小麦、大豆など)にアレルギーがある犬は、慢性的な耳の炎症や耳垢の増加が見られることがあります。耳のトラブルが繰り返される場合は、フードの見直しも選択肢の一つです。
まとめ
愛犬の耳の健康を守るためには、週1回の耳チェックを習慣にすることが大切です。匂い・見た目・行動の3つの観察ポイントを確認するだけで、耳トラブルの早期発見につながります。健康な耳は薄いピンク色で匂いがほとんどなく、耳垢は少量で茶色〜薄茶色が正常です。垂れ耳の犬種は通気性が悪くトラブルが起きやすいため、立ち耳の犬種よりもこまめなチェックを心がけましょう。耳掃除では綿棒を使わず、イヤークリーナーとコットンを使った安全な方法で行ってください。強い匂いや赤み、腫れ、耳を掻きむしるなどのサインが見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。耳のトラブルが繰り返される場合は、食物アレルギーが原因となっていることもあるため、フードの見直しも検討してみてください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。愛犬の健康について気になることがあれば、必ず動物病院にご相談ください。