小型犬の毛玉を放置すると皮膚炎に?もつれやすい部位と予防的ケア方法

小型犬の毛玉予防ケア方法

この記事の結論

小型犬の毛玉は見た目の問題だけでなく、放置すると皮膚炎や血行不良を引き起こす原因になります。毛玉ができやすい部位を把握し、日常的なブラッシングで予防することが最も効果的なケアです。

  • 毛玉は皮膚トラブルの原因になる - 毛玉が皮膚を引っ張り続けることで炎症や湿疹を引き起こし、悪化すると細菌感染につながることもあります[1]
  • 耳の後ろ・脇・内股が要注意 - 摩擦や湿気が多い部位は特に毛玉ができやすく、重点的なブラッシングが必要です
  • 毎日5〜10分のブラッシングが最大の予防 - スリッカーブラシとコームの併用で、毛のもつれを早期に発見・除去できます
  • できた毛玉は無理に引っ張らない - 端から少しずつほぐすか、丸先ハサミで切れ目を入れてから対処するのが安全です

詳しくは本文で解説します

毛玉が小型犬の皮膚に与える影響

「少しくらいの毛玉なら大丈夫」と放置していませんか? 実は毛玉は見た目の問題だけではなく、愛犬の皮膚と健康に深刻なダメージを与える可能性があります。特にトイプードル、マルチーズ、ヨークシャーテリアなどの長毛の小型犬は、被毛が細く柔らかいため毛玉が発生しやすく、注意が必要です[3]

ポイント:毛玉は単なる毛の絡まりではなく、時間が経つにつれてフェルト状に硬くなり、皮膚を持続的に引っ張る「圧力源」になります。この状態が続くと皮膚の血行が悪化し、炎症や湿疹の原因になります[1]

毛玉が皮膚に与える具体的な悪影響は主に4つあります。

  • 皮膚の牽引による炎症 - 毛玉が固まると皮膚を常に引っ張り続けるため、赤みやかゆみが生じます。犬が気にして掻いたり噛んだりすることで、さらに炎症が悪化する悪循環に陥ります
  • 通気性の悪化による蒸れ - 毛玉が皮膚表面を覆うと空気が通らなくなり、蒸れた状態が続きます。湿った環境は細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすく、皮膚感染症のリスクが高まります
  • 寄生虫の温床になる - 毛玉の奥はノミやダニにとって隠れやすい環境です。毛玉があるとブラッシング時に皮膚表面を確認できないため、寄生虫の発見が遅れる原因にもなります
  • 血行不良と痛み - 毛玉が皮膚を締め付けるように固まると、その部分の血流が悪化します。触ると犬が痛がることもあり、飼い主が体に触れることを嫌がるようになるケースもあります

さらに、毛玉によって被毛や皮膚の健康状態を日常的にチェックすることが困難になります。皮膚の異常を早期発見するためにも、毛玉のない清潔な被毛を維持することが重要です。小型犬は体が小さい分、毛玉による影響が全身に及びやすいという点も見逃せません。

毛玉ができやすい5つの部位とその理由

毛玉は全身どこにでもできる可能性がありますが、特に発生しやすい部位には共通の特徴があります。「摩擦が多い」「湿気がたまりやすい」「ブラッシングが行き届きにくい」の3条件が揃う場所が要注意です。これらの部位を重点的にケアすることで、毛玉の発生を大幅に減らすことができます。

毛玉ができやすい5つの部位

  • 耳の後ろ・耳の付け根:飾り毛が長く、首輪やハーネスとの摩擦が起きやすい部位です。耳が垂れている犬種(マルチーズ、シーズーなど)は特に通気性が悪く、湿気がこもることで毛が絡まりやすくなります
  • 脇の下(前脚の付け根):歩行のたびに前脚と胴体が擦れ合うため、日常的に摩擦が発生する部位です。洋服を着せている場合は布との摩擦も加わり、さらに毛玉ができやすくなります
  • 内股(後脚の付け根):脇の下と同様に歩行時の摩擦が大きい部位です。排泄時に汚れが付着しやすく、汚れが乾くと周囲の毛と固まってしまうこともあります
  • 胸・お腹の下側:地面に近く、散歩中に草や泥が絡みやすい部位です。ハーネスを装着する犬はベルト部分の摩擦でお腹周りに毛玉ができやすくなります
  • 尻尾の付け根・お尻周り:飾り毛が豊かな犬種では、排泄物が付着して毛玉になりやすい部位です。自分で毛づくろいする際に唾液で毛が湿り、乾く過程で絡まることもあります

これらの部位に共通するのは、犬自身がブラッシングの際に触られることを嫌がりやすい場所でもあるということです。脇の下や内股は敏感な部分であるため、子犬のうちから触れられることに慣らしておくことが大切です。ブラッシングの際は、まず毛玉ができやすい部位から確認する習慣をつけましょう。

ポイント:洋服を着せた後や雨の日の散歩後は、特に毛玉ができやすいタイミングです。脱がせた直後・帰宅直後にブラッシングする習慣をつけると効果的に予防できます。

毛玉を予防する日常ケアのポイント

毛玉は「できてから対処する」よりも「できる前に予防する」方が、犬への負担も飼い主の手間もはるかに少なく済みます。毎日のちょっとしたケアを積み重ねることが、毛玉のない美しい被毛を維持する最大の秘訣です。正しいブラッシングの基本を押さえたうえで、以下のポイントを実践しましょう[2]

毎日のブラッシングを習慣にする

毛玉予防の基本は、何といっても毎日のブラッシングです。長毛種の小型犬であれば1日1回、短毛種でも2〜3日に1回はブラッシングを行いたいところです。1回あたり5〜10分程度で十分なので、スキンシップの時間として日課に組み込みましょう。ブラッシングの際は、毛先から根元に向かって少しずつとかすのがポイントです。根元からいきなりブラシを通すと、もつれに引っかかって犬が痛がり、ブラッシング嫌いになる原因になります。

ブラッシングスプレーを活用する

乾いた被毛にそのままブラシを通すと、静電気で毛が絡まりやすくなります。ブラッシング前にブラッシングスプレー(グルーミングスプレー)を軽く吹きかけることで、毛の滑りが良くなり、もつれをほぐしやすくなります。特に乾燥する冬場は静電気が発生しやすいため、スプレーの効果を実感しやすい季節です。

シャンプーの前後のケアを徹底する

シャンプー後に毛玉ができやすいという飼い主さんは少なくありません。これはシャンプー中の摩擦や不十分な乾燥が原因です。以下の手順を守ることで、シャンプー後の毛玉を予防できます。

シャンプー前後の毛玉予防チェックリスト

  • シャンプー前:必ずブラッシングして既存のもつれを取り除く。もつれが残ったまま洗うと、水と摩擦で毛玉が悪化します
  • 洗い方:ゴシゴシこすらず、泡で包み込むように優しく押し洗いする。毛の流れに逆らわないことが重要です
  • タオルドライ:擦らずにタオルで挟むようにして水分を吸い取る。摩擦は毛玉の最大の原因です
  • ドライヤー:根元からしっかり乾かす。生乾きのまま放置すると毛が絡まって毛玉になります。ブラシで毛をとかしながら乾かすのが理想的です

洋服選びにも注意する

犬用の洋服は防寒やファッションとして人気ですが、素材によっては摩擦で毛玉を作りやすくなります。ニットやフリースなど繊維が引っかかりやすい素材は毛玉の原因になりやすいため、裏地がサテンやポリエステルなど滑りの良い素材を選ぶのがおすすめです。また、洋服を脱がせた直後は必ずブラッシングする習慣をつけましょう。

できてしまった毛玉の安全な除去方法

日頃のケアを心がけていても、毛玉ができてしまうことはあります。重要なのは、見つけたときに正しい方法で早めに対処することです。毛玉は放置するほど大きく硬くなり、除去が困難になります。

注意:毛玉を見つけても、決して無理に引っ張って取ろうとしないでください。毛玉は根元で皮膚と密着していることが多く、引っ張ると皮膚を傷つけたり、裂傷を起こしたりする危険があります。犬が痛みを感じてブラッシング自体を嫌がるようになる原因にもなります。

軽い毛玉の場合(指でほぐせる程度)

まだ柔らかく、指で触ると少し動く程度の軽い毛玉であれば、ブラッシングスプレーを吹きかけてから、指先で優しくほぐします。ほぐれてきたら、スリッカーブラシで毛先から少しずつとかしていきます。毛玉の端から内側に向かってほぐすイメージで作業すると、犬への負担が少なく済みます。

中程度の毛玉の場合(固まりかけている)

ある程度固まってしまった毛玉には、まずブラッシングスプレーをたっぷりと浸透させます。数分おいてから、スリッカーブラシの先端で毛玉の端を少しずつほぐしていきます。一度にほぐそうとせず、何回かに分けて作業すると犬の負担を減らせます。途中で犬が嫌がったら無理せず休憩を挟みましょう。

硬い毛玉の場合(フェルト状に固まっている)

フェルト状に固く固まった毛玉は、ブラシだけでは除去が困難です。丸先の毛玉カットハサミを使い、毛玉の中心に縦方向(皮膚と平行)に切れ目を数本入れます。毛玉を小さく分割してから、スリッカーブラシで少しずつほぐします。ハサミを使う際は、必ず皮膚と毛玉の間にコームを差し入れ、皮膚を切らないように細心の注意を払ってください。

ポイント:毛玉が広範囲にわたる場合や、皮膚に密着して自分では処理が難しい場合は、無理をせずトリミングサロンや動物病院に相談しましょう。プロの道具と技術であれば、犬への負担を最小限に抑えて処理できます。

よくある質問

Q. 毛玉を引っ張って取っても大丈夫ですか?

毛玉を無理に引っ張るのは絶対に避けてください。毛玉は根元で皮膚と密着していることが多く、引っ張ると皮膚を引き裂いてしまう危険性があります。スリッカーブラシで端から少しずつほぐすか、毛玉が硬くなっている場合は丸先ハサミで毛玉の中心に縦に切れ目を入れてからほぐす方法が安全です。

Q. ブラッシングの頻度はどのくらいが理想ですか?

毛玉予防には毎日のブラッシングが理想的です。特にトイプードルやマルチーズなどシングルコートの長毛種は、最低でも2日に1回はブラッシングを行いましょう。ダブルコートの犬種でも換毛期には毎日のケアが必要です。1回あたり5〜10分程度で十分なので、スキンシップの一環として習慣化するのがおすすめです。

Q. 毛玉がひどい場合はトリミングサロンに連れて行くべきですか?

毛玉がフェルト状に固まってしまい、皮膚に張り付いているような状態の場合は、無理に自宅で処理せずトリミングサロンや動物病院に相談しましょう。プロのトリマーは専用のバリカンや道具を使い、犬への負担を最小限にしながら処理できます。広範囲に毛玉がある場合は全身バリカンでリセットすることも選択肢の一つです。

Q. シャンプー後に毛玉ができやすいのはなぜですか?

シャンプー後に毛玉ができやすい主な原因は、洗う際の摩擦と乾燥方法にあります。シャンプー中にゴシゴシこするように洗うと毛が絡まりやすくなります。また、タオルで強く擦って乾かしたり、自然乾燥させたりすると、濡れた毛同士が絡まって毛玉になります。シャンプー前に必ずブラッシングで毛のもつれを取り、洗うときは泡で優しく押し洗いし、ドライヤーで根元からしっかり乾かすことが予防のポイントです。

まとめ

小型犬の毛玉は、放置すると皮膚炎や血行不良など深刻な健康問題につながるリスクがあります。耳の後ろ・脇の下・内股など摩擦が多く湿気がたまりやすい部位を重点的にケアすることが大切です。毎日5〜10分のブラッシングを習慣にし、ブラッシングスプレーを併用することで、毛玉の発生を大幅に減らすことができます。できてしまった毛玉は無理に引っ張らず、端から少しずつほぐすか丸先ハサミで安全に対処しましょう。広範囲の毛玉や皮膚に密着した毛玉は、トリミングサロンや動物病院に相談することをおすすめします。日々のブラッシングは毛玉予防だけでなく、皮膚の異常を早期に発見する機会にもなります。被毛の健康を内側から支える栄養面のケアと合わせて、愛犬の美しい被毛を守りましょう。

※この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。愛犬の健康について気になることがあれば、必ず動物病院にご相談ください。

参考文献を表示(全3件)
  1. American Kennel Club - How to Remove Mats From Dog Hair(AKC Grooming Guide)
  2. American Kennel Club - How to Brush Your Dog's Coat(被毛タイプ別ブラッシングガイド)
  3. VCA Animal Hospitals - 犬の被毛タイプ別ケアの基礎知識(Grooming Basics)

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