「フィラリアの薬、いつから始めるんだっけ」「狂犬病のハガキが来たけど混合ワクチンとどっちが先?」と迷うことはありませんか。予防は1つずつは難しくないのに、5種類が違う周期で回るため、毎年どこかで抜けが出ます。
この記事では、5つの予防を1枚の年間カレンダーにまとめ、それぞれの要点、子犬の1年目、費用の目安、忘れないための仕組みを整理します。混合ワクチンの次回接種日の計算はワクチンスケジュール計算ツールで、ここでは年間の全体像を扱います。
1年の予防カレンダー(早見表)
春に狂犬病・フィラリア・混合ワクチンが集中し、フィラリアとノミダニは毎月続き、冬にフィラリアの最終投薬で締めます。これが日本の多くの地域の1年です。地域の気候と獣医師の指示で前後します。
| 予防 | 時期 | 頻度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 狂犬病予防注射 | 4〜6月(集中期間) | 年1回(法律の義務) | 市区町村への登録と注射済票。生後91日以上 |
| 混合ワクチン | 通年(前回から1年が目安) | 年1回目安・獣医師と間隔を相談 | 狂犬病注射と間隔をあける(通常1週間〜1ヶ月) |
| フィラリア予防 | 蚊の発生1ヶ月後〜終息1ヶ月後(多くの地域で5月〜12月) | 毎月1回(年1回の注射タイプもあり) | 開始前に血液検査。温暖地は通年 |
| ノミ・マダニ予防 | 通年推奨(最低でも3〜11月) | 月1回または3ヶ月に1回(製品による) | 室内飼いでも必要。マダニは人にも感染症を媒介 |
| 健康診断 | 通年(春の来院時にまとめる家庭が多い) | 年1回・7歳〜年2回 | 血液・尿・便・必要に応じて画像検査 |
春の来院を1回で済ませるコツ:4〜5月の来院で「狂犬病注射+フィラリア検査+健康診断の採血」をまとめると、採血が1回で済み、通院回数も減ります。混合ワクチンは狂犬病注射と間隔をあける必要があるため、別日に組みます。
5つの予防で大切なこと
それぞれ「なぜ・いつ・どうやって」だけ押さえれば十分です。詳しい種類や副反応の話より、抜けを作らないことのほうが結果に効きます。
狂犬病予防注射(法律の義務)
- 狂犬病予防法により、生後91日以上の犬は市区町村への登録と年1回の予防注射が義務[1]。注射後に「注射済票」の交付を受け、鑑札とともに装着します
- 4〜6月の集中注射期間に自治体からハガキが届きますが、動物病院でも通年で受けられます
- 体調不良や持病で接種が難しい場合は、獣医師の判断で猶予の手続きができます
混合ワクチン(任意・年1回目安)
- ジステンパー・パルボウイルス・アデノウイルスなどの「コア」と、生活環境で加える「ノンコア」があります[2]。種類の違いはワクチンの記事で
- 接種間隔は年1回が一般的ですが、コアワクチンは抗体価検査で免疫の持続を確かめて間隔をあける考え方もあります。獣医師と相談して決めます
- ドッグラン・ペットホテル・トリミングの利用には接種証明を求められることが多く、予定の1ヶ月前までに済ませておくと安心です
フィラリア予防(蚊が媒介・投薬前検査が必須)
- 蚊に刺されて感染した幼虫が心臓や肺の血管に達する前に駆除する薬なので、「蚊を見始めて1ヶ月後」から「蚊を見なくなって1ヶ月後」まで毎月続けます
- シーズン開始前に血液検査で感染の有無を確認します。感染している犬に薬を投与すると重い副作用が出ることがあるため、検査を省けません
- 薬の形は月1回の経口(チュアブル・錠剤)、皮膚に垂らすスポットタイプ、年1回の注射タイプ。飲み忘れに気づいたら自己判断で2回分飲ませず、獣医師に連絡します
ノミ・マダニ予防(通年推奨)
- ノミは室内で通年繁殖し、マダニは春〜秋に活発で、人にも感染症(SFTSなど)を媒介します[3]。散歩や庭、ドッグランで寄生し、人の衣服からも持ち込まれます
- 予防薬はフィラリア薬と一体になったタイプ、月1回の経口・スポット、3ヶ月に1回のタイプなど。獣医師と生活環境に合わせて選びます
- 散歩後に耳の裏・指の間・首周りを触って確認する習慣も、早期発見になります
健康診断(年1回・7歳から年2回)
- 血液検査・尿検査・便検査を基本に、シニアはレントゲンやエコーを加えます。フィラリア検査の採血と同時に血液検査を組むと負担が減ります
- 体重・体型(BCSのセルフチェック)と歯の状態は、家でも月1回見ておくと診察時に伝えやすくなります
子犬の1年目のスケジュール
子犬は初年度だけ「混合ワクチンを複数回」「狂犬病は生後91日以降」「フィラリアとノミダニは獣医師の指示で早めに開始」と手順が多く、散歩デビューの時期にも関わります。
- 生後6〜8週〜:混合ワクチン1回目。以後3〜4週間隔で2〜3回(初回シリーズの回数と最終接種の時期は獣医師の方針で異なります)
- 生後91日以降:狂犬病予防注射と市区町村への登録。混合ワクチンとは間隔をあけます
- フィラリア・ノミダニ:体重と月齢に応じて開始時期が決まる薬が多いので、初診時に獣医師に開始の目安を確認します
- 散歩デビュー:初回シリーズの最終接種から1〜2週間後が一般的な目安。それまでは抱っこ散歩で外の刺激に慣らします
- 2年目から:この記事のカレンダーどおり、年1回の周期に入ります。初年度の接種日を記録しておくと翌年の予定が立てやすくなります
次回接種日の具体的な計算はワクチンスケジュール計算ツールで、子犬期の食事は小型犬パピーのフード選びで確認できます。
費用の目安レンジ
予防費は年間でおおむね数万円になります。地域・動物病院・犬の体重(薬の量)で差があるため、ここでは幅で示します。生涯の費用全体は小型犬の生涯費用シミュレーションを参考にしてください。
| 項目 | 目安(小型犬・年間) | 補足 |
|---|---|---|
| 狂犬病予防注射 | 約3,000〜4,000円+注射済票の手数料 | 初年度は登録手数料も。自治体で異なる |
| 混合ワクチン | 約5,000〜10,000円 | 種類数(5種〜10種)で差 |
| フィラリア予防 | 検査 約2,000〜4,000円+薬 月約1,000〜2,500円×投薬月数 | 体重で薬の価格が変わる。ノミダニ一体型は高め |
| ノミ・マダニ予防 | 月約1,000〜2,500円 | 3ヶ月タイプは1回あたりが高く、月あたりは同程度 |
| 健康診断 | 約5,000〜20,000円 | 項目数で差。シニアの画像検査は上振れ |
※費用は2026年9月時点の一般的な目安レンジで、地域・動物病院・犬の体重により異なります。正確な金額はかかりつけの動物病院にご確認ください。
忘れないための仕組み
予防が抜ける原因は「知らない」ではなく「忘れる」です。投薬日を固定し、通知を二重にし、記録を1か所にまとめるという仕組みで解決します。
- 投薬日を固定:フィラリア・ノミダニは「毎月1日」「毎月給料日」など覚えやすい日に統一
- 通知を二重に:スマホのリマインダー+動物病院の通知(ハガキ・LINE・アプリ)。片方が届かなくても抜けません
- 記録を1か所に:接種日・薬の名前・体重・次回予定を1つのメモやアプリに。ペットホテルや旅行先の宿で証明書の提示を求められた時にも役立ちます(預ける時の申し送りと同じメモにまとめると便利です)
- 年に1回、カレンダーを見直す:春の来院時に翌年の予定をその場で入れる
季節ごとの注意点
予防の抜けは季節の変わり目に起きます。春は「まとめて始める」、秋は「マダニと最後のフィラリア薬」、冬は「室内のノミ」を意識します。
- 春:狂犬病・フィラリア検査・混合ワクチンの予定を早めに。花粉の時期の皮膚トラブルは犬の花粉症の食事対策も参考に
- 夏:予防とは別に熱中症対策を。危険度の目安は熱中症リスクチェッカーで
- 秋:マダニは秋にもう一度活発になります。散歩後のチェックを続け、「涼しくなったから」で薬をやめない
- 冬:フィラリア薬の最後の1回(蚊がいなくなって1ヶ月後)を忘れない。ノミは暖房の効いた室内で通年繁殖します。寒さの体調変化は小型犬の冬対策で
よくある質問
Q. フィラリア予防は冬も必要ですか?
予防薬は「蚊に刺されてから体内で成長中の幼虫」を駆除する仕組みなので、蚊を見なくなってから1ヶ月後まで投薬を続ける必要があります。多くの地域では11〜12月が最後の投薬になります。温暖な地域や、冬でも蚊が見られる環境では通年予防が勧められることもあります。開始と終了の時期は、お住まいの地域のかかりつけ獣医師の指示に従ってください。
Q. 室内飼いの小型犬にもノミ・マダニ予防は必要ですか?
必要です。散歩や庭、ドッグラン、動物病院の待合室でも寄生は起こり、人の衣服について室内に持ち込まれることもあります。マダニは人にも感染する病気を媒介するため、犬だけでなく家族の健康の問題でもあります。予防薬は月1回や3ヶ月に1回など製品によって間隔が違うので、獣医師と相談して選びます。
Q. 混合ワクチンは毎年打たないといけませんか?
狂犬病予防注射は法律で年1回が義務ですが、混合ワクチンは任意で、接種間隔の考え方には幅があります。日本では年1回が一般的な一方、コアワクチンについては抗体価検査で免疫の持続を確認し、間隔をあける選択肢もあります。持病・年齢・生活環境(ドッグランやペットホテルの利用)で判断が変わるため、かかりつけの獣医師と相談して決めてください。
Q. フィラリアやノミダニの薬は通販で買えますか?
フィラリア予防薬は獣医師の診察と処方が必要な動物用医薬品で、投薬前の感染検査を省くと危険なこともあります。ノミ・マダニ薬には市販品もありますが、動物病院で処方されるものとは成分や効果の範囲が異なります。海外からの個人輸入品は偽造品や保管状態の問題があるため、動物病院で処方を受けるのが安全です。
まとめ
犬の予防は、狂犬病(法律・年1回)、混合ワクチン(年1回目安)、フィラリア(蚊の季節+前後1ヶ月・毎月)、ノミ・マダニ(通年)、健康診断(年1〜2回)の5本立てです。春にまとめて始め、毎月の投薬日を固定し、冬の最後のフィラリア薬で締める。通知を二重にし、記録を1か所にまとめれば、「忘れる」はほぼ防げます。地域と個体で最適な時期は違うので、この記事のカレンダーを土台に、かかりつけの獣医師と1年の予定を組んでください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、獣医師の診断や治療に代わるものではありません。予防薬の種類・開始時期・接種間隔は、お住まいの地域と愛犬の状態に応じてかかりつけの獣医師にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「狂犬病」(狂犬病予防法に基づく登録・予防注射の制度)mhlw.go.jp
- WSAVA(世界小動物獣医師会)「Vaccination Guidelines」(コア/ノンコアワクチンの考え方)wsava.org
- 厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」(マダニが媒介する感染症の情報)mhlw.go.jp